![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120118399/rectangle_large_type_2_f2ee9d8cb4ef777bb8e1fd1b7a01772f.png?width=800)
Photo by
フィンセント・ファン・ゴッホ / メトロポリタン美術館
【400字小説】銀行に…… pt.7
背の高さが違うカップルが向こうで信号待ち。
男性の方が圧倒的にチビで
180cmの俺は悲鳴をあげた。
その女がモデルを越える美しさだったのだ。
信号が変わって彼女が歩き始めると
横断歩道はランウェイで、颯爽と。
隣の男までカッコ良く見えるという
錯覚さえも錯覚とは思えない錯覚を。
俺は微動だにせず、元いた場所で見とれた。
ずっと見つめてしまったので、
彼女も俺の存在に気づき、
男に気を遣うことなく、ひらひらと右手を振ったのだった。
男は余裕をかまして俺をスルーして
行ったから、すげ~悔しかった。
当然、信号はまた赤になって
俺は無様に取り残された。
銀行が目の前なのに金がない。
彼女を追いかけて3万円、
男にも1万円払っても良かったのだが、
振り向くとTSUTAYAの駐車場で待っていた
BMVに乗り込むところだった。
それで何を思ったのか俺はダッシュして
横断を試みるも、見事に別の車に轢かれた。
彼女の大*爆笑をかっさらうことが出来たのは良かった。
◆◆◆
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?