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パリ条約2条 同盟国の国民に対する内国民待遇等

 パリ条約2条では、内国民以外の同盟国の国民に対して内国民待遇(自国民と同じ待遇)を与えることが規定されています。ここで、内国民とは、保護請求国に少なくとも住所又は営業所を有する者であり、国籍までは不要と言われています。
 同盟国とはパリ条約の同盟国(パリ条約1条)であり、同盟国の国民とは同盟国の国籍を有する者です。

 見方を変えると、同盟国の国民に対して自国に居住する自国民よりも厚い保護を与えることは、内国民待遇に反するものではありません
同盟国の国民に対して自国に居住する自国民よりも厚い保護を与えた例として、韓国において、自国民に認めていなかった物質特許を米国国民に認めていた例があるようです。

 特許出願等が共同出願の場合もあります。この場合、共同出願人に非同盟国民を含む場合には保護を与える義務はありません

 与えられる具体的保護の内容ですが、「この条約で特に定める権利を害されることなく、他のすべての同盟国において、当該他の同盟国の法令が内国民に対し現在与えており又は将来与えることがある利益を享受する」と規定されています。
 内国民と同一の保護が与えられれば良いわけですから、内国民に与えられていない保護は与える必要がありません。ただし、前述のように、同盟国の国民に対して自国に居住する自国民よりも厚い保護を与えること問題ありません。

 法律上の救済とは、具体的には、特許の差し止め等の侵害排除措置などです。

 特許法で、パリ条約2条に関連する規定としては、特許管理人(特許法8条)、在外者の裁判籍(特許法15条)、があります。

 パリ条約2条、パリ条約3条は自己執行的規定です。わが国では、憲法98条2項、特許法25条、26条で適用されます。

・パリ条約2条 同盟国の国民に対する内国民待遇等

(1) 各同盟国の国民は,工業所有権の保護に関し,この条約で特に定める権利を害されることなく,他のすべての同盟国において,当該他の同盟国の法令が内国民に対し現在与えており又は将来与えることがある利益を享受する。すなわち,同盟国の国民は,内国民に課される条件及び手続に従う限り,内国民と同一の保護を受け,かつ,自己の権利の侵害に対し内国民と同一の法律上の救済を与えられる。
(2) もつとも,各同盟国の国民が工業所有権を亨有するためには,保護が請求される国に住所又は営業所を有することが条件とされることはない。
(3) 司法上及び行政上の手続並びに裁判管轄権については,並びに工業所有権に関する法令上必要とされる住所の選定又は代理人の選任については,各同盟国の法令の定めるところによる。

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