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特許/意匠/商標の権利取得費用を賄える売上高とは(2021年度)

 以前、「特許/意匠/商標の権利を取得しても「損」をしない だけの売上高とは?」という記事を見つけました。

この記事では、財務総合政策研究所さんの年次報告書に示された各業界の利益率に基づいて、特許出願等の費用を賄える売上高(最低)を計算していました。

少しデータが古くなってきていたので、こちらで、再計算しなおしてみました。

前提となる権利取得費用は、特許権が70万円/件、意匠権が25万円/件、商標権が15万円/件としています。

※なお、この費用における権利維持期間は、特許権:最初の3年間、意匠権:最初の3年間、商標権:最初の10年間、です。

 さて、財務総合政策研究所さんの年次報告書に示された売上高営業利益率は、食料品業界で4.6%、電気機械業界で10.5%、情報通信機械業界で10.2%、卸売業・小売業で3.0%、サービス業で7.4%でした。

上述の権利取得費用と、これらの売上高営業利益率から計算すると、最低売上高(特許出願等の費用を賄える最低売上高)は以下の通りです。

卸売業・小売業だと、1件の特許出願に要する最低売上高が2300万円強ですから、特許出願等の費用面でのハードルは高そうです。一方、一般的な電機メーカーが該当すると思われる電気機械や情報通信機器だと、1件の特許出願に要する最低売上高が700万円弱です。

商売をする際に商標を使わない企業は殆どないと思われます。そこで、商標についてみると、1件の商標登録出願に要する売上高が最も高いのは卸売業・小売業で500万円程度です。上述の表では商標権は最初の10年間分の費用が含まれますので、1年あたり50万円です。

商標関連で意外に失敗事例が多いのが、年間売上はそれほど多くないが、長く売れ続けている商品・サービスに使われている商標です。これらの商標について、他社に商標権を取得されて差止(使用中止)や損害賠償を求められる例もあるようです。このような場合の処理に要する費用が、上述の「1件の商標登録出願に要する売上高」よりも圧倒的に高いのであれば、予め商標登録出願をしておくべきです。

結論として、特許権であれば売上700万円を大幅に超える売り上げ、商標であれば200万円を大幅に超える売り上げがある場合には、いずれかの権利取得をお勧めします

●参考動画

●情報元
特許/意匠/商標の権利を取得しても「損」をしない だけの売上高とは?
財務総合政策研究所 法人企業統計調査 年次別調査一覧(2021年度)

●関連記事
特許法 特許権を取得する意味と売上

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