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地域団体商標における産地の変化 商標「大間まぐろ」

●●●本記事は、知財系Advent Calendar 2022の企画に参加した記事です●●●

 商標関係に詳しい方はご存じだと思うのですが、地域団体商標ってありますよね。特許庁が公表しているサイト(地域団体商標登録案件一覧)では、たくさんの登録された地域団体商標が公表されています。

 その地域団体商標のうち、魚関係の商標に「大間まぐろ」というものがありました。

具体的には、商標登録第5051377号として登録された標準文字商標「大間まぐろ」であり、権利者は「大間漁業協同組合」です。また、指定商品等は、「29類 青森県下北半島大間沖で漁獲されるまぐろ」が指定されています。

 さて、この地域団体商標に関するまぐろですが、Yahooニュースによると、産地が変わるようです。

「要するに、この辺に(マグロの餌となる)イカとかサンマが来なくなって。そうなると、大間の船はマグロ漁で生活できなくなる。だから広範囲に場所(漁場)を探して、結局、太平洋の方が獲れるから、向こうさ行って獲ってきたんだ。ここ(大間沖)にマグロはいねえから。向こう(太平洋)で獲ってきたのが高値で1万5000円(1キロ)さ。この辺は餌がないからマグロの脂の乗りが悪い。ここで獲って3000円、向こうで獲って1万円なら、当然向こうで獲ってくるさ。(売値が)高(たけ)え方がいいってのが我々漁師の考えだから」

https://news.yahoo.co.jp/articles/d1312d46383774dfa975ba2b3c16bfccee505654

この産地変更を受けて再出願されたのが、商願2022-122837と思われます。商願2022-122837の指定商品は、商標登録第5051377から大幅に変わっています。具体的な商願2022-122837の指定商品は以下の通りです。

青森県下北郡大間町大字大間の港に水揚げされ大間漁業協同組合で荷受けされたまぐろ,青森県下北郡大間町大字大間の港に水揚げされ大間漁業協同組合で荷受けされた冷凍まぐろ,青森県下北郡大間町大字大間の港に水揚げされ大間漁業協同組合で荷受けされたまぐろを用いたまぐろの切り身,青森県下北郡大間町大字大間の港に水揚げされ大間漁業協同組合で荷受けされたまぐろを用いた加工水産物

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2022-122837/2610703C76CD1FFD1CE13ED82D5E92D12B361CE19FBF2063C39E9FA6D5814FFA/40/ja

これらを表にまとめると、以下のようになっています。

商願2022-122837は、マグロ等に貼り付けるシールの画像を商標登録出願したものと思われます。

なお、標準文字商標の再出願はされていませんでした

地域団体商標の指定商品等の産地が変わった場合、変わった後の産地等で再出願するのは正しい措置と思います。

しかし、個人的には、加工食品ではない「荷受けされたまぐろ」等の産地を商願2022-122837のように変更してしまうと、何でもありになってしまう気もします。極端な話、特定の港等に運び込めば良いわけですから。

今回の産地変更が原因で、大間まぐろのブランド価値が毀損されないかを不安に思います

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