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ニッポンのヒャッカ

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日本百貨店のテーマは”ニッポンのモノヅクリ”と”スグレモノ” 。 日本全国から集めた、モノづくりにこだわった職人の手による商品をお届けします。
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2020年2月の記事一覧

なぜ黒糖は白砂糖より高い? 疑問に挑むサトウキビ農家の取り組みーニッポンのヒャッカ 沖縄編4ー

なぜ黒糖は白砂糖より高い? 疑問に挑むサトウキビ農家の取り組みーニッポンのヒャッカ 沖縄編4ー

なぜ黒糖は白砂糖よりも高いのか、考えたことがあるだろうか。

黒糖は、収穫したサトウキビから汁を搾り取り、不純物を取り除いて加熱したもの。
白砂糖は、それをさらに遠心分離器にかけて糖蜜と分離させ、残った砂糖の結晶を精製して作られる。

自然の道理であれば、黒糖よりも何倍も手間のかかる白砂糖のほうが高価になるはずだ。

であるにも関わらず、白砂糖のほうが低価格で販売できる背景には、ある不思議なカラク

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沖縄の食文化を支えるローカル食材「島豆腐」の作り手たちが願うことーニッポンのヒャッカ 沖縄編3ー

沖縄の食文化を支えるローカル食材「島豆腐」の作り手たちが願うことーニッポンのヒャッカ 沖縄編3ー



多くの人が布団の中でまどろむ朝5時、
住宅街のなかにあるその工場は動き出す。

そこで行われる仕事の多くは機械化されているものの、
キモとなる工程は、今も職人が手作業で行っている。

そのひとつが、豆乳とニガリを合わせて反応を待つ、「寄せ」という工程だ。

かるくかき混ぜて時間を置くと、大豆に含まれるたんぱく質とニガリが反応しあい、少しずつ凝固してくる。豆乳の濃度やその日の気温・湿度などによっ

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メガネの町・鯖江生まれの「常識外れの」レンズたちーニッポンのヒャッカ第12回ー

メガネの町・鯖江生まれの「常識外れの」レンズたちーニッポンのヒャッカ第12回ー

 「めがねのまち さばえ」というキャッチコピーを掲げ、地域産業としてメガネ製造に取り組む福井県鯖江市。その町で66年以上続くサングラスレンズ専門メーカー・乾レンズのオリジナルサングラスが、発売10年目にして公益財団法人日本デザイン振興会主催の2019年「グッドデザイン賞」を受賞した。
その名は「オールタイムサングラス®」。
開発のきっかけと乾レンズについて、常務の諸井晴彦さんに話をきいた。

発売

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伝統に「かわいい」をオン!した熊野筆ーニッポンのヒャッカ第11回ー

伝統に「かわいい」をオン!した熊野筆ーニッポンのヒャッカ第11回ー



 周囲を山々に囲まれた、人口2万5000人ほどの小さな町、広島県安芸郡熊野町。10人に一人は筆づくりに関わるとされるほどの、国内屈指のブランド筆「熊野筆」の産地だ。

 熊野筆の歴史は江戸時代から。農閑期の仕事として筆づくりを学んだ者が熊野に帰り、その技術を広めたことに始まるという。昭和になると、書道筆づくりの技術を生かして化粧筆なども生産されるようになり、広島県の伝統工芸品にも指定。熊野筆は

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おもてなし文化の残る島・伊是名島が選んだ「自分たちらしさ」ーニッポンのヒャッカ 沖縄編2ー

おもてなし文化の残る島・伊是名島が選んだ「自分たちらしさ」ーニッポンのヒャッカ 沖縄編2ー



「うちの商品は、良さを分かってくれる人に買ってもらえればそれでいいんです」

そう語るのは、沖縄の伊是名島で、島の素材を使った商品開発を行う「島の元気研究所」の代表・納戸(のと)義彦さん。はじめ、あまのじゃくにも聞こえたこの発言は、のちに、伊是名島の人々にとって重要な意味を持つ言葉だと知ることになる。

伊是名島は、那覇から車で2時間ほど北上し、本部半島にある「運天港」からフェリーに乗り換え、

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開拓者スピリッツと独自のチャンプルー文化で「しまちゃび」を切り開く 絶海の孤島・北大東島の挑戦 ーニッポンのヒャッカ 沖縄編1ー

開拓者スピリッツと独自のチャンプルー文化で「しまちゃび」を切り開く 絶海の孤島・北大東島の挑戦 ーニッポンのヒャッカ 沖縄編1ー



「しまちゃび」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
沖縄の方言で、意味は「離島苦」という。

適切な治療を受けられない、インフラの料金が高い、住居を構えるのに費用が倍以上かかる、激しい台風、それによって長期間途絶える交通手段……など、離島には、本島に住む者が経験したことのない苦労が数多く存在する。

そんなしまちゃびに挑み続ける離島のひとつに、「北大東島」がある。

(写真提供:北大東村)

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「人がにっこりする」切り絵のある暮らしーニッポンのヒャッカ第10回 ー

「人がにっこりする」切り絵のある暮らしーニッポンのヒャッカ第10回 ー

「絵を描くことは独学で学びました。モチーフや図形、形態を組み合わせて絵をつくる切り絵は、僕にとって自由に表現しやすい方法でした。個展を開いたことがきっかけになりましたが、まさか仕事にするとは思ってもいませんでした」

 話してくれたのは、切り絵作家であり、イラストレーターとしても活躍するYUYA(ユウヤ)さん。東京・中野区にアトリエ・フォークを構え、鳥や動物、木や花、太陽など、自然や身近な暮らしの

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