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愛猫の「楓」を亡くし、泣き暮らす千里は暗闇のなか目覚めた。そこには黒髪の少女アケルと仮面の総支配人ケルビムがいた。そこはホテルエデンの東館。なぜそこにいるかもわからぬまま、ケルビ…
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#料理
「ホテルエデン」第一話
プロローグ
白い光に目が眩む。この光は外からやってくるものなのか、内からやってくるものなのか……。破裂するほどの痛みに発する声は他人のものようにぼんやりと響く。
「まだですよ! まだいきまないで!」
助産婦の手に汗が光り、私の顔を布のようなもので拭いている。
そうだここは処置室……。白い処置室……。
何度も訪れる無意識の狭間に、意識を失いかけるほどの激痛が私を呼び覚ます。
今、ひとつの新
「ホテルエデン」第八話
美しい変化
(7)
大広間の奥、大きな木の植えられた左手に厨房への開かれた入口がある。中へ入っていくと厨房の中もなかなかの広さだった。
「竹輪かー。冷蔵庫かな? どこかしら?」
厨房というからには、きっと業務用の大きな冷蔵庫があるはず。だが見当たらない。おかしいな、と思いながらさらに奥まで進みかけると、後ろから「おねえちゃん!」とアケルが呼んだ。
「どうしたの?」
「あった!」
アケルが指