【エッセイ】自作を活かしたいと思うけど……『佐竹健のYouTube奮闘記(62)』
いつも思うことがあるのだが、正直0から何かを作るのが面倒くさい。
作っている動画は、素のまま話しているわけではない。実は放送原稿があって、それを読み上げて話している。その、放送原稿を書くのがとても億劫なのだ。
何について話すか、そしてそれをどのように話すかを考えたり、考えたことを調べたりするだけでも、かなり時間を使う。特に私は話すことに関しては不得手なので、なおさらだ。それゆえ、原稿なしに上手く話せる人、勢いだけでも話せる人がとてもうらやましく感じる。
最近動画の制作時間かかりすぎ問題について、解決策を見出すことができた。それは、
「過去に書いてきた自作を使う」
ということだ。
一応これでも、小説とかエッセイを書いている人である。変ちくりんな動画ばかり出しているので、最近知った人はYoutuberだと思っている人が多いだろう。
まあ、これも正解ではある。だが、私は、暇つぶしに合同誌的な何かに応募して作品が載ったり、2回もインタビューに答えたりしている。物書きとしての実績は、わずかにながらあるのだ。もちろん、作品がこの世で一番につまらないので、注目されることは無いが。
それでも、考えるという手間が省けるので、多少動画投稿の頻度を上げることに繋がるのは確かだ。
私の自作についての説明とその実現可能性について書いていこう。
まずは、私の代表作? である『ひとへに風の前の塵に同じ』シリーズであろうか。第一部の起では平清盛、第二部の承では源義朝が主人公となっている。ちなみに三部にあたる転では源頼朝を、四部と五部にあたる結では源義経を主人公に物語を展開していこうと考えている。
物語は源氏や平家の争いがメインに語られている。そこに朝廷や摂関家、さらには日本や皇室を陰で護っている八咫烏、そして聖徳太子の予言や末法思想、弥勒菩薩の再臨、超古代の伝承などが絡み、複雑怪奇な様相を呈している。
『ひとへに風の前の塵に同じ』シリーズは、Youtubeでやるにはとことん不向きな作品である。
まず、平清盛元服から平忠正・源為義処刑まで語っている序盤だけでも89話とかなり長い。承もやったら、余裕で160話を超える。
漫画動画でやるとしたら、原作の2話分くらいを消費することになりそうなので、最低でも75~80話くらいは必要になる。あと、戦闘シーンでは、流血だけでなく、手足や首を刎ねる、人間の肉片が飛び散るなどのグロテスクなシーンも数多くあるので、そのままやるのは難しい。どこかで大幅なカットや改変をしなければいけなくなるだろう。
朗読でやっても文字数がやたら多いので、1話やるだけでも前編と後編に分けなければ話が進まない。
『ひとへに風の前の塵に同じ』シリーズは、不可能を通り越して「無理」と判断していい。
次に紹介するのが、題名のない私小説である。noteで去年まで連載していたが、面倒くさくなって以来ずっと放置している。便宜上何か名前が必要なので、仮の題名を『佐竹物語』としよう。
『佐竹物語』は、私小説と言っているように、私のことについて語った物語だ。中学1年の終わりから始まり、18歳の春に世を離れるまでのことについて語っている。ただ、語っていることは、6割くらい嘘なので、私が話していることと乖離しているエピソードも多い。
これも、正直やりにくい。少し気恥ずかしいからだ。
いろんな人が自分について語る動画を出しているので、何かしらの形で別にやっても構わない。だが、自分について語るということは恥ずかしいもので、どんなにいいことであっても、
(こんなの語っちゃっていいのかな……。世の中にはもっとすごい人がたくさんいるのに)
と照れくさくなってしまう。もちろん普通のことであってもだ。
これ以外にも、細かい理由がいくつかある。プライバシーのこととか、心情描写が多いので、それを表現すると仕上がりがシュールな感じになってしまいそうとか。
これらのことから、私小説こと『佐竹物語』の動画化は、するつもりがない。仮にできたとしてもだ。
最後に紹介するのは『僕と君の二年間の記録』だ。
あらすじは、中学時代に躓いた少年が、いつも元気なクラスメート九条明やその幼なじみと出会って、過去の傷と向かい合いながらも少しづつ前を向いていく物語だ。
この作品は未完である。未完の理由は、最初に紹介した『ひとへに風の前の塵に同じ』シリーズの起を完成させるためというのが一つと、もう一つは単に書く気が失せたからだ。
仮にやるなら、これが一番漫画とかラジオドラマとしてやりやすい。もちろん朗読としてもだ。極端にグロい描写があるわけでもなく、自分のことを語っているわけではないから。
仕上がりは、回想仕立ての物語になるだろうか。10年後の主人公が、高校生の頃に書いていた日記を見つけ、ページを開くとともに物語が始まる。時折現代パートも混ぜて、物語を進めていく感じでやっていこうと考えている。あと、少しいじることになるが、大枠は変えないつもりである。
なぜ、終わっていないのにここまで考えられるのかというと、終わりをしっかり考えているからだ。もちろん、どういう経緯でそこに至るかも、しっかり考えてある。
ラジオドラマにするなら、九条明の配役候補なら一人いるので、できないわけではない。その配役候補が承諾してくれるかどうかは別の話ではあるが。
他にも歴史小説の短編がいくつかあるが、これを漫画動画やラジオドラマなどにして、Youtubeやニコニコに投稿しても構わない。最初と二番目に紹介した作品よりもやりやすいだろう。
後で冷静に考えてみたのだが、自作を活かすのは、予算やキャストの関係で難しい。できたとしても、朗読くらいが精一杯だ。仮にキャストを集めることができたとしても、実現できるのはラジオドラマくらいであろうか。
私の過去作がこのまま活かされずに埋もれていくのは、自分ながら非常に残念である。
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