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佐藤優の美味しい〈撒き餌〉

勘のいい人なら、ピンと来ただろう。佐藤優の「撒き餌」とは、無論「対談本」のことだ。

なにしろ、売れっ子である佐藤と対談を出せば、確実にたんまりと印税が転がり込んでくるし、それほど有名じゃない評論家や学者なんかだと、佐藤優との対談本の刊行というのは「名前を売る」「箔をつける」ためには、たいへん好都合だ。

しかし、人気作家の佐藤優のことだから、こっちから対談本の話を持ちかけても、ハイそうですかと受けてもらえるわけではない。やはり、決定権を握っているのは、売れっ子である佐藤の方なのだから、たとえ印税の割合が悪くても、受けてもらえれば万々歳だ。

しかしまた、佐藤は売れっ子なので、「どうでもいい人物」と対談本を出していられるほど暇ではない。
書き下ろしの著作よりは、お手軽に作れるとは言っても、そこはやはりそれなりに手間もかかるのだから、佐藤だって、なんらかの「メリットのある人物」としか、わざわざ対談本を作ろうなどとは思わないだろう。

だから、佐藤に対談本の話を持ちかけた人なら、もうその場合は完全に、決定権を持つ佐藤優の方が「先生」の立場になる。したがって、対談本刊行以降は、佐藤優一派に所属したも同然だ。

一方、佐藤優の方から対談を持ちかけるのは、佐藤の人脈作りにおいて、手薄だった部分に属する人たちだろう。
つまり、八方美人のコウモリ男たる佐藤優としては、「全方位外交」で媚を売って、自分の周囲に鉄壁の防御壁を構築するつもりなのだから、人脈的に弱い方面や、自分より格上の人間については、遜って対談本の話を持ち込むのだろう。そして、相手を褒めまくれば、お互いの「手駒」として認め合える関係にもなれるだろう。安倍晋三前総理が、よく言ってた「ウィンウィンの関係」というやつだ。

そんなわけで、佐藤優の対談相手は、全方位にわたる。
超有名人もいれば、マイナーな学者もいるが、それぞれ各方面において、それなりに味方につけておく価値のある人たちであり、有名であれば誰でも良いというわけではない。肝心なのは、人材の配置なのである。
どこで何があっても、どこでどんな火が噴いても、どこから敵襲が来ようと、それなりに盾になってくれる駒を、全方位に配置しておく必要がある。それでこそ、鉄壁なのだ。

しかし、佐藤優と対談したことのない、二流の人からすれば、佐藤と対談本を出したというだけで、自分の「ブランド力」が上がるのだから、ちょっとくらい印税率が低くても、是非とも対談のお相手に、ということになる。
まして、売れっ子の佐藤の方から声をかけてくれたりしたら、佐藤がどんな本を書いているのかよくも知らなくても、ホイホイとついて行くだろうし、まして、印税は折半だなんて言われたら、恐縮しまくって「佐藤さんは、なんて素晴らしい人なんだ」と感動することにもなるだろう。
こうして、佐藤優人脈は、右にも左にも、上にも下にも、全方位的に着々と築かれてきたわけだ。

でも、対談に応じなかった人だって当然いる。
だけどその場合は、その事実が世間に知られないから、普通の人は気づかない。

しかし「佐藤優があれほど褒めまくっていたのに、対談してないなあ」とか「対談本になってないなあ」と思ったら、それは「共著」を断られたんだと考えていい。

一流の人は、佐藤優の「権威」にぶら下がるは必要などないし、すでにひとがどの人ならば、佐藤優のような、うさんくさい人間との「共著」の刊行など、頼まれても断るだろう。

私だって断る。
金を積まれても断ります。

なにしろ私は、個人的な知り合いでもなければ、頼まれてもいないのに、佐藤優にスラップ裁判を仕掛けられた佐高信を支持して、もしも佐高が裁判に負けたら、些少ながらカンパさせてもらう、などと公言する奇特な人間なんだから。

佐藤優さんには、悪いんだけど、世の中には、金や名誉では靡かない人間もいるんですよ。


【関連論文】
・〈薄く広くかつ創造性なし〉が、雑学王・佐藤優の本質
 (2021年10月15日、管理者により削除)

・〈ナイーブな読者〉は騙される: 真説 佐藤優論
https://note.com/nenkandokusyojin/n/nfced1c06423d

・ボロを出し始めた〈コウモリ男=佐藤優〉
https://note.com/nenkandokusyojin/n/na65a5c1944c8

・プロテスタントの〈ペルソナ〉:佐藤優批判
https://note.com/nenkandokusyojin/n/nadc6b2b553a3

・「右でも左でもなく下」でしかない、山崎行太郎の批評
https://note.com/nenkandokusyojin/n/n85313c7f0818

・トラの威を借る〈ネトウヨ系プロテスタント〉:富岡幸一郎
 (2021年10月15日、管理者により削除)

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