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生と死を見つめて

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#闘病

SOS

SOS

大人って、もっと強いと思っていた。泣かないものだと思っていた。

大人になればきっと強くなるから。涙は飲み込んで隠すことが出来るようになるから。叱責されることは無くなるから。これらの淡い期待が、子供の頃の消えたい私にとっての光だった。

子供の頃の私へ、ごめんね。
あなたの思う、強くて美しい大人にはなれないよ。自殺は何度も失敗するよ。醜形恐怖に苦しむよ。

昔はお金で何でも買えると思っていたけれど

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雪明かりが照らしたもの

雪明かりが照らしたもの

「思い出は美しい」とはよく言ったもので、時間の流れは恐ろしい程に過去を風化させてしまう。

思い出なんて全てが美しいわけでは決して無いけれど。

私が起こした出来事は風化すべきものかは分からないけれど、一生、この日を忘れることは無いだろう。生死を彷徨った2年前の1月16日の夜の雪明かりは、私が殺したかつての「私」を照らしていた。

この時期はどうも毎年体調を崩しがちなようだ。飛び降りを実行したり自

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こんな世界はぜんぶ嘘だから

こんな世界はぜんぶ嘘だから

「こんな世界、ぜんぶ嘘なんだよ、始めからぜんぶ無かったんだよ、きっとただの悪い夢なんだよ」

この言葉を自分に言い聞かせ、何度、この現実から逃れたい、あの雲の上に消えてしまいたいと思っただろう。何度、「自分に正直に生きたかった、でも正直に生きれませんでした」と後悔しただろう。

目を閉じても息が上がってしまって呼吸が苦しくて眠れない。薬を何錠飲んでも直ぐに寝付くことが出来ない。

布団の中で冷えた

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追憶と叫び

追憶と叫び

昨年6月。酷い悲しみに暮れる日々を送っていた。いっそ絵筆を折ろうか、と、抗うつ薬や精神薬の副作用でぼうとする頭で考えながら瞳を閉じた。創作しない自分は何の価値もないから。絵や文章を辞める、すなわちそれは死ぬことだから。

消えたい死にたい気持ちがいつのまにか日常化し、いつ自殺行為してもおかしくない精神状態だった。常に死と隣り合わせ。生きるってこんなにも辛いものなのだろうか。消えてしまえたら楽なのか

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あの日、

あの日、

『いわば、もうひとつの誕生日だ。自閉症スペクトラムと診断された。』

丁度一年前の日記には、それだけが記されていた。

大嫌いな自分以外の何者かになれなくて、皆と同じことが出来なくて、普通になれなくて。

精神科の診察室で診断名を告げられたその日から、今まで、永遠に苦しむものだと割り切っていた生きづらさを、認められたような気がした。

こわばっていた心が、瞬く間に溶けた。

「もう、無理しなくてい

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1月16日の夜、雪明かり②

1月16日の夜、雪明かり②

あの日から、1年が経った。

先の見えない未来への不安を、眠れない夜を何度も過ごしてきたことを、心が壊れるまで努力してしまったことを、知って欲しかった。

何も理解を示さない両親に自身の苦しみを分かってもらいたかった気がする。そのための、最後の手段だったんだろう。

高校時代、登校するものの朝から嘔吐したり、過呼吸起こして倒れたりと授業をまともに受けられなくなった。見えない筈のものが見える。治まら

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精神科閉鎖病棟に入院した話

精神科閉鎖病棟に入院した話

このnoteでは、初めて精神科へ入院する方や、閉鎖病棟の実態が知りたい方のためにも記録しておく。あくまでわたしの入院した病院の経験上なので、注意してほしい。

きっかけ「死にたくなるの?じゃあ、入院して治療してみようか」という主治医の一言で、9月9日から1週間ほど精神科の閉鎖病棟に入院していた。

その数日前から希死念慮が増してきて、あぁ、このままじゃまた自分が駄目になる、自殺衝動を起こしかねない

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