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そらのうた

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2021年3月の記事一覧

YOU

文字に恋をした

あなたが綴る綺麗な文字に強く惹かれた

言葉に恋をした

あなたが口にする柔らかなそれに癒された

感性に恋をした

あなたが切り取る世界は新しさに富んでいた

あなたに恋をした

あなたに話を聞いてもらって
あなたの声を聴いていると不思議

辛いことや涙を促す不安も
忘却の彼方へ飛ぶみたい

春、白昼、詩

想いを風と光に乗せ
春の白昼に詩を綴る

光は屈折するもの
水が入ったグラスに着地した
誤って器に入った水が袖に飛びかかった

今は僅かな水滴のみ器に残って

光は直線に進むもの
矢のように前を突き抜ける
渇きはどこへやら濡れた衣服は乾いた

過去と決別するよう梢越しに陽を見つめて

光は虹のようなもの
星彩に青光りまで色彩豊か
忘れかけていた七色の表情が反射した

その美しさに改めて気付いて

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風光る午後

風光る午後

「君らしくいてね」

風光る午後
あなたがくれた言葉

ありふれたそれも
君からだと意味を帯びる

挫けそうなとき
つまづきそうなとき
真夜中眠れないとき

先が見えなくて
不安が喉に詰まっても
記憶の欠片を拾い上げて
その言葉を馴染ませる

たったそれだけで
光芒が視界に映るように
立ち上がる勇気が湧く

気付けば四季は何度も巡る
香りをゆらゆら移ろわせて

今の世界に君は不在でも
眼を閉じて耳

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既定通り春は訪れる

既定通り春は訪れる

既定通り春は訪れて
君が不在の世界でも

柔らかな風がそよぐ
髪と戯れて頬を掠める

最後の言の葉
変わらない面持ちと声の高さで
君からの「ありがとう」

刻々と針は動き
2人の思い出は
クリスタル色に染まる

既定通り春は訪れて
君が不在の世界でも

木漏れ日は揺蕩う
その円形の眩さに
記憶の君を重ねる

既定通り春が訪れるその前に
君は世界から去っていった

その事実が
ガラス色の心に響いて

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気球葬

気球葬

「僕の心臓が止まったら、気球葬してちょうだい」

従兄弟の君は普段と変わらない口そぶりで告げる。夕暮れ、陽は傾いて影は伸びる。

「なんで気球なの?」
「気球なら、物理的に星に近づくから。僕は死後、お星様になれるかもしれない。」

血が繋がっているのに時折突拍子もないことを口にする、不思議な人。

「大きな病を抱えていないのに、どうして死に耽るの?」
「保険だよ。自分が死んだ後、空に還るのか、違う

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窓から眺める桜(詩版)

窓から眺める桃色がひらひら踊った。病室のベッドで足を伸ばす私はそっと手を差し出して窓越しに春を掴む。

窮屈な日々が色褪せないのは、一年に一度、君に会えるから。年々、恰幅の良い出で立ちで私を驚かせる。

舞う桜との真反対ではドアを開ける音。君がこの小宇宙に入ってきた。今年もまた、一段と背丈が高くなったね。

「だって育ち盛りだから。」と切り返す、淡々とした君の言葉選びは嫌いじゃない。「桜が綺麗。」

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