窓から眺める桜(詩版)

窓から眺める桃色がひらひら踊った。病室のベッドで足を伸ばす私はそっと手を差し出して窓越しに春を掴む。

窮屈な日々が色褪せないのは、一年に一度、君に会えるから。年々、恰幅の良い出で立ちで私を驚かせる。

舞う桜との真反対ではドアを開ける音。君がこの小宇宙に入ってきた。今年もまた、一段と背丈が高くなったね。

「だって育ち盛りだから。」と切り返す、淡々とした君の言葉選びは嫌いじゃない。「桜が綺麗。」と君は言うから「私は?」と訊ねる。

「可愛い系でしょ。」と放り投げる。大人っぽい女性に憧れる私は頬を膨らます。時計の針は無情にも動く。

悲しいことに楽しい時間はすぐに過ぎるよ。昔も今もこれからも、それは変わらないのかな。

また、会いたいね。君も私も敢えて口にしないけど、そう思うからここに来るんでしょ?
不思議。会えない間も確かに君は私を強くしてくれる。

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