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気球葬

「僕の心臓が止まったら、気球葬してちょうだい」

従兄弟の君は普段と変わらない口そぶりで告げる。夕暮れ、陽は傾いて影は伸びる。

「なんで気球なの?」
「気球なら、物理的に星に近づくから。僕は死後、お星様になれるかもしれない。」

血が繋がっているのに時折突拍子もないことを口にする、不思議な人。

「大きな病を抱えていないのに、どうして死に耽るの?」
「保険だよ。自分が死んだ後、空に還るのか、違う生き物になるのか、無になるのかは分からない。」
「それはそうだけど。」
「だから今のうちに限りなく星になれる手段を考えたい。そうすると、生きる理由がまた一つ増える。」

変なの。天使の自分と悪魔の自分が拮抗して、返した言葉がそれだった。彼がなぜ死後、星になりたいのかさほど興味は湧かない。

水面に浮かぶ波紋の形が変わらぬように、カランコロンと音を鳴らす鈴のように、予め約束されていたように「そうだね」と口にした。

オレンジを見据えながら、寂しさをその目に宿して。

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