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ふとーこーエッセイ【9】ガッコウにガッカリ

がっこうにガッカリ

「…もういきたくない」

出鼻はあっさりとくじかれる。
3学期はたった3日で
息子は学校にいかなくなった。

息子の不登校は家族にとって大事件だった。
だから冬休み、家族それぞれができることで、彼の未来に協力した。

食卓を囲んで、笑い合い
テレビゲームでワイワイ盛り上がる。
学習はやりたいことから少しずつ
わからない所はわかる誰かが、励ましながらていねいに教えた。

どうってことない、ぜんぜん大丈夫って雰囲気を作った。
転んだら、また起き上がって進めばいいって。
家族みんなで、彼にそういって微笑みかけた。


「明日からもう…いきたくない。
ぜんぜん大丈夫なんかじゃない(泣)」
「………」

何があったか尋ねると、体育の授業で起きたことを話しはじめた。
体育教師にみんなの前でひどく叱責されたという。
知らないことだったから、避けようのない失敗だったらしい。
それは本当に些細なことだった。

正直、そんなこと?とも思ったが、
もともと感受性が強いタイプに加え、多感な年齢がゆえに、
息子は、その理不尽に一瞬で心を折られた。

違和感、無力感、孤独感、屈辱感、虚無感
全てが同時に振りかかってきて、居たたまれなくなったそうだ。

逆にいえば、そのくらいのことで折れるほど、彼の心のスカスカだったんだと思う。

学校は協力してくれるんじゃないの??
担任の先生、あなた、そう言いましたよね?

息子の話だけをうのみにはできない。
すぐに学校へ電話した。
状況を説明したあと、学校側からの事実確認を待つ。

折り返しの電話に、担任は平謝りだった。
その流れで、学年主任と名乗る男性教師が電話に出る。
息子さんの言い分は、間違いないとのことだった。
体育教師に代わり、主任が謝罪いたしますとの内容。
しかし、叱責したという教師が直接電話口にでることはなかった。

なんだそれ??

わたしは怒っていた。
いろんなことに怒っていた。

担任、謝るだけなら誰でもできますよ。
学年主任?あなたのことは本日はじめて知りましたが。
体育の先生は、どっかおでかけすか?
た~くさんいる生徒の、たったの一人ですもんね。
おざなりな対応になっても、そりゃいたしかたありませんかね?
てゆうか、先生方は息子が不登校だったこと知ってました?
あなたがた、ほんとに息子を学校へ行かせる気あります?
あなたがた、ほんとに息子を高校へ行かせる気あります?

女の脳というのは、1つキッカケがあると芋づる式に怒りが助長する。
腹を痛めて産んだ子のためなら、さらに怒り倍増だ。
これまでの鬱積(うっせき)が雪崩のように受話器の向こうへ流れ込んだ。


すごく準備して、3学期に挑んだ。
たった3日で行かなくなるなんて、さすがに想像しなかった。
学校の協力なしに、また通えるようになるわけないのに…

しかし

それと同時に、どこかこの状況を客観視する自分がいた。
あー、学校とはこういうものなのだ。
その授業で誰が休み、何を伝えていないのかなど、
いちいち把握できるはずがない。
先生1人が大勢を教えているのだから。
集団を束ねるためには、理不尽な叱責も容易に用いられる。
そしてその権威に逆らうものもいない。
みんな、次は我が身にならぬよう必死なだけだ。

そう、教師は生徒の未来を完全に掌握している。

なぜなら、先生がつける内申点が高校の合否を決めるのだ。


学校とは1度でも道から外れたら、2度と戻ることはできない。
少しでも外れたら、もう終わりなのだ。

学校への期待が消えた瞬間だった。
「学校はもう通わなくていい」
そう思えた瞬間でもあった。


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