奈良正哉(鳥飼総合法律事務所弁護士)

元 みずほ信託銀行(株)総合リスク管理部長、同執行役員運用企画部長、同常勤監査役。みず…

奈良正哉(鳥飼総合法律事務所弁護士)

元 みずほ信託銀行(株)総合リスク管理部長、同執行役員運用企画部長、同常勤監査役。みずほ不動産販売(株)専務取締役。 現 日弁連信託センター委員、(株)タムロン社外監査役、理想科学工業(株)社外監査役、(株)熊谷組社外取締役。

記事一覧

さよなら中国

 中国深圳で暴漢に刺された男児が死亡した。このことが進出企業の中国撤退に直接結び付くことはないだろう。しかし家族は動揺する。特に小さな子供を持つ母親は帰国を強く…

不動産囲い込み

 少し古いが、不動産売買の仲介業者が、同業他社に売り物件情報を紹介しないで囲い込んでいるとの記事がある(8月29日日経)。仲介業者は売主に加えて買主からも手数料…

トランプ氏余裕のゴルフ

 トランプ氏がゴルフ場で銃で撃たれそうになった。暗殺未遂に驚くよりも、大統領選大詰めの段階でゴルフをやる余裕に驚いた。総裁選九人衆にはできない技だろう。  日本…

株主対策は信託銀行

 知った顔の写真が日経(9月13日)に載っていたので、また信託のことを書いてみよう。信託銀行は企業の株主管理・株主総会事務をやっている。事務なので付加価値の少な…

相続には信託

 相続預金のつなぎ止めのために、地域金融機関が本体による信託ビジネス参入を図る動きが見える。人間が絶対に避けられないイベントとして「死→相続」がある。高齢社会か…

中国地方政府は罰金で食う

 中国地方政府は不動産不況で税収不足に悩んでいる。これを補填するため罰金に目を付けた。交通法規違反はもとより、布団を畳まなかったとか皿を洗わなかったとかに対して…

株式報酬の拡大

 株式報酬を役員から従業員にまで拡大する動きが加速している(9月10日日経)。従業員の経営参加意識の向上が期待されるとする。  一方で、従業員株主は与党株主だか…

ネット銀行口座4,000万

 楽天など主要ネット銀行の口座数が合計で4,000万となり、メガバンク合計の半分となった。半面、信用金庫を含む地域金融機関は残高を減らしているところもある(8月28…

伊藤忠年収引上げ1割

 伊藤忠が年収を大幅に引き上げる。課長で3,620万円になるケースもあるそうだ(9月6日日経)。ちなみに日本全国でも物価上昇控除後の実質賃金は2か月連続でプラスとな…

日本株急落と個人投資家

 日本株がまた急落している。前回8月5日の急落については、アクティビストはここを好機と介入銘柄を買い増した。個人投資家も動揺はなかったとされる(8月22日日経)…

フォルクスワーゲン工場閉鎖

 トヨタと世界一を競うフォルクスワーゲンが、ドイツ国内の一つの工場の閉鎖と従業員のリストラ方針を示した。  メディアでは、EV市場の競争激化が主因とされているがそ…

戸籍謄本の電子取得

 戸籍謄本が電子手続きで取得できるようになるようだ(8月22日日経)。戸籍制度は日本とその影響下にあった東アジアにしかない。相続の際に一番重要な相続人を特定する…

英国首相増税政策

 英国スターマー新首相の最初の経済政策は増税になるようだ。不人気にきまっている政策を最初に打ち出そうとしている。前保守党政権の作った不健全な財政の「つけ」を労働…

岸田の次

 岸田の次は誰なのか。候補者候補が多すぎてわからない。中にはまったく知らない人もいる。それでも誰がなっても大きな期待はしないし逆に心配もしない。  行政実務とし…

かくトラからもしハリ

 大統領選挙は「かくトラ」から「もしハリ」に様相が変わった。といっても日本人がどうこうできるわけでもない。心配や期待をしても仕方がない。いずれにせよ、トラは前ト…

野球専門学校

 甲子園大会で優勝したのは、ハングル校歌で話題になった京都国際。ネット情報によると、同校男子生徒70人中9割が野球部に所属していて、その他の部活は(ほぼ)ないと…

さよなら中国

 中国深圳で暴漢に刺された男児が死亡した。このことが進出企業の中国撤退に直接結び付くことはないだろう。しかし家族は動揺する。特に小さな子供を持つ母親は帰国を強く希望する。

 これに対して中国外交当局は「どの国でも起こりうる事件の一つ」と事実ではあるが、言ってはならないことを言ってしまった。外交はわかるが人情はわからないらしい。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

不動産囲い込み

 少し古いが、不動産売買の仲介業者が、同業他社に売り物件情報を紹介しないで囲い込んでいるとの記事がある(8月29日日経)。仲介業者は売主に加えて買主からも手数料を貰えるから、特に優良な物件なら他社に紹介ないで自分で買主を探したいという動機は絶えず働く。

 これは筆者が仲介業者にいたころにも問題になった。大手事業者でもやっているとのうわさは絶えなかった。10年以上経って「まだやっていたのか」という

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トランプ氏余裕のゴルフ

 トランプ氏がゴルフ場で銃で撃たれそうになった。暗殺未遂に驚くよりも、大統領選大詰めの段階でゴルフをやる余裕に驚いた。総裁選九人衆にはできない技だろう。

 日本人の標準的心情としても「庶民の味方と言っておきながら(自分で所有する)ゴルフ場でゴルフとはなんだ」ということになるのだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

株主対策は信託銀行

 知った顔の写真が日経(9月13日)に載っていたので、また信託のことを書いてみよう。信託銀行は企業の株主管理・株主総会事務をやっている。事務なので付加価値の少ない業務で価格競争が厳しかった。

 しかし昨今は信託銀行の当該部門は、株主管理・株主総会事務を超えて、株主(アクティビスト含む)対策やそもそもの企業のガバナスにまで助言サービスを提供している。

 企業とは長い付き合いがあり今後もそれは続く

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相続には信託

 相続預金のつなぎ止めのために、地域金融機関が本体による信託ビジネス参入を図る動きが見える。人間が絶対に避けられないイベントとして「死→相続」がある。高齢社会から多死社会に移行するにつれ、個人ビジネスの有力ゾーンは資産運用から資産承継に移る。

 これまでせいぜい信託銀行の代理店としてその余禄を得てきただけの地域金融機関。今後は相続預金のつなぎ止めに留まらず、相続時の遺言や遺産整理で資産承継ビジネ

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中国地方政府は罰金で食う

 中国地方政府は不動産不況で税収不足に悩んでいる。これを補填するため罰金に目を付けた。交通法規違反はもとより、布団を畳まなかったとか皿を洗わなかったとかに対して罰金を科している。地方によっては財政の罰金依存率が3割になるところもあるらしい。

 強権国家のなせる荒業である。同時に「貧すれば鈍する」の典型例ともいえる。いつか国民の不満が爆発するのではないか。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

株式報酬の拡大

 株式報酬を役員から従業員にまで拡大する動きが加速している(9月10日日経)。従業員の経営参加意識の向上が期待されるとする。

 一方で、従業員株主は与党株主だからアクティビスト対策という側面もあるだろう。この点は個人株主拡大の建前でする株式分割と同じ効果を狙っている。

 他方、従業員株主も自社株の配当は多い方がいいだろうから、その点ではアクティビストと立ち位置は同じだ。社内アクティビストとして

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ネット銀行口座4,000万

 楽天など主要ネット銀行の口座数が合計で4,000万となり、メガバンク合計の半分となった。半面、信用金庫を含む地域金融機関は残高を減らしているところもある(8月28日日経)。メガバンクはいわば社会インフラだから黙っていても預金が流れ込むルートがある。

 しかし、地域金融機関側は防戦しないと飯のタネである預金がなくなってしまう。ネット銀行による浸食の他にも、相続を契機に預金はメガや信託銀行に流れて

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伊藤忠年収引上げ1割

 伊藤忠が年収を大幅に引き上げる。課長で3,620万円になるケースもあるそうだ(9月6日日経)。ちなみに日本全国でも物価上昇控除後の実質賃金は2か月連続でプラスとなった。余力のある会社がリードして日本企業の賃金をどんどん上げてもらいたい。賃金上昇を原動力として否応なく生産性も上がるだろう。

 それにしても、企業の年収がこんなに高くなると、苦労して勉強して士業を目指す学生はいなくなってしまうかもし

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日本株急落と個人投資家

 日本株がまた急落している。前回8月5日の急落については、アクティビストはここを好機と介入銘柄を買い増した。個人投資家も動揺はなかったとされる(8月22日日経)。

 今回はどうだろう。経済メディアでの識者の間では、こうした急落(8月5日)はすぐには収まらないという論調が多かったように思う。今回も個人投資家が淡々と買い続けられれば「貯蓄から投資」も本物だろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正

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フォルクスワーゲン工場閉鎖

 トヨタと世界一を競うフォルクスワーゲンが、ドイツ国内の一つの工場の閉鎖と従業員のリストラ方針を示した。

 メディアでは、EV市場の競争激化が主因とされているがそれだけではないだろう。前政権から続く貿易面での中国偏重、エネルギー面でのロシア偏重。加えて過激ともいえる環境原理主義もあるだろう。これらの合わせ技でドイツの生産拠点としての競争力がなくなってしまった。他山の石か。

鳥飼総合法律事務所 

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戸籍謄本の電子取得

 戸籍謄本が電子手続きで取得できるようになるようだ(8月22日日経)。戸籍制度は日本とその影響下にあった東アジアにしかない。相続の際に一番重要な相続人を特定するには便利な制度だが、戸籍謄本の取得に大変手間がかかる。

 相続手続きはそれ自体なんの付加価値も生まない。にもかかわらず、相続人や関係する金融機関などでは相当な負担になっていた。一部とはいえこれが電子化されるのは歓迎すべきだ。

鳥飼総合法

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英国首相増税政策

 英国スターマー新首相の最初の経済政策は増税になるようだ。不人気にきまっている政策を最初に打ち出そうとしている。前保守党政権の作った不健全な財政の「つけ」を労働党新政権が払うという説明のようだ。こうした持って回った説明が国民に響くか実験だ。

 いずれにせよ、日本の政治家にはできない芸当だ。ましてや日本の野党政治家には絶対にできない。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

岸田の次

 岸田の次は誰なのか。候補者候補が多すぎてわからない。中にはまったく知らない人もいる。それでも誰がなっても大きな期待はしないし逆に心配もしない。

 行政実務としては党の縛りがきつい。建前としても法に基づく行政という縛りがある。アメリカ大統領のような権限はない。誰がなっても与党の中の争いだから、かつての鳩菅のような大外れはないだろう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

かくトラからもしハリ

 大統領選挙は「かくトラ」から「もしハリ」に様相が変わった。といっても日本人がどうこうできるわけでもない。心配や期待をしても仕方がない。いずれにせよ、トラは前トラをやるだろうし、ハリはバイデンをやるだろう。

 両者とも政治家としての経歴は浅いから、大事なことは優秀なブレーンが主導してやるだろう。大統領は拡声器だ。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

野球専門学校

 甲子園大会で優勝したのは、ハングル校歌で話題になった京都国際。ネット情報によると、同校男子生徒70人中9割が野球部に所属していて、その他の部活は(ほぼ)ないということだ。これで高校の中の、部活動の中の、野球部と言えるのだろうか。高校ではなくて野球専門学校ではないのか。

 高野連や朝日新聞は「高校生」らしさがお好きだが、「高校生」らしさの前に「高校」らしさを問題にしなくていいのだろうか。

鳥飼

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