斜堂倒子

銀河旋風ブライガーの二次小説。フォレストページのHPに掲載しているものと同一で、こちら…

斜堂倒子

銀河旋風ブライガーの二次小説。フォレストページのHPに掲載しているものと同一で、こちらはサブとして倉庫みたいなものです。

マガジン

  • ブライガー

    銀河旋風ブライガーの二次小説BL要素あり

  • バクシンガー&サスライガー

    タイトル通りです

  • ブライガー小説版以後

    小説版「銀河旋風ブライガー」をベースにした二次小説です。

  • ブライガー(腐なし)

    腐ってない(と、自分では思ってる)作品だけこちらにまとめます

最近の記事

めも

人の住む島は手塩にかけて育てられた防潮林で海岸線が縁取られている。 たいした山もなく平らかな島などはまるで緑色のドーナツのようだ。 一方で、もし白かったなら氷山と見間違えそうな切り立った海岸線のみで囲まれた島もよく見られる。 即席で作ったテラス。すぐに撤去できる。 ソドムの西側の外れ、一キロほど人気のない一角が続く。日当たりもよく一見、住みやすそうにみえるが、露天が並ぶほどの道端がないせいか徐々に住人が減っていった地域だ。 赤い砂岩と黒い岩肌のまだらからなる山地で

    • 日の当たる方の君へ

       空き瓶が一本転がっているだけの、J区にしてはきれいな裏路地。ここを抜けてひとつ角を曲がればパーキング。  J区のパーキングは実にピンキリだ。店舗の無料スペースは短時間ならまあ大丈夫。隕石ごとにたいてい地下に共有しているものは入りやすく安価な代わり、何をされるかわかったものではない。車も人も。それなりのお値段とチップを屈強な警備員に渡すタイプも数あるが、どのコネクションのシマか、時と場合、相性と金だ。 「これで全部だっけ?買い忘れないー?」  両手に下げたマーケットのロゴ

      • 消えないで H2CO3

         上になり下になり。裏返し表返し。さっきまで甘かった息が忙しく切れる。柔らかく波打つようだった体が、硬く、細かく、跳ねる。  乱れても、きれい。言っても許されるくらいの仲にはなったと思ってる。男のくせに、って。  きれいなままで終わんないでよ、ほら。  珍しく俺を押し返しそうなくらい強ばるのを、開かせて押し入って体ごと。  押されるままに腰が逃げたりしないキッドが、格好いいと思う。  格好いい、いつものキッドで終わるなよ。欲しい、欲しい、欲しい、、ソレだけになった欲の垂れ流し

        • Wrap the lupus

           最近お気に入りのマリンテイストのトートバッグの中をそっと覗いて、メイは口元をほころばせた。エレベーターが1階に着く。同じお菓子教室から出てきた大人数人と一緒なので、エレベーターの出入りに用心が要らないのはありがたい。  教室からつれてきた甘い香りを素っ気ないビルのエントランスに振りまきながら、その日だけのクラスメイト達は挨拶を交わして通りを右へ左へと散って行く。 「あなた、お迎えの人が居るのよね?」 「ありがとう、大丈夫です」  アウトローの流れ着くような街であっても

        マガジン

        • ブライガー
          46本
        • ブライガー小説版以後
          15本
        • バクシンガー&サスライガー
          5本
        • ブライガー(腐なし)
          14本

        記事

          まっすぐ

           ベッドサイドの壁に掛けてあるコレクションの銃の埃をちょっとはたいたら、つい細かい部分の埃まで気になりだした。額を下ろしてまで本格的なクリーニングをするつもりはなく、ベッドに膝立ちのまま中途半端にちょいちょい拭いていく。  だらだらとそんなことをしていたらボウイがシャワーを済ませて出てきてしまった。  しまった。俺もまだ風呂上がりでろくに服も着ていない。まるでボウイを待ちかまえていたような有様。 「お・ま・た・せー」  ほらな。湯気の残ってるほかほか野郎が後ろから抱きつい

          Milky Road

           熟睡とはほど遠そうな、リズムの整わない寝息の果て。もそり、とキッドが寝返りを打つ。  寝返りなのか、それとも起きていて体の向きを変えているだけなのか。  眠りに落ちる寸前のぼやっとした意識の中で、ボウイは男性にしては大人しいその寝相の気配を感じていた。  だるい。なにもしてないのに。つまり隣で寝ている相手と。  もういちど、ごそり。  眠い。仕事が、、、しんどかった。  四人とも別行動だった。お町が失敗すればボウイは撃墜されていた。アイザックが遅ければキッドは持

          PINK!

          「どっちが良いかそれぞれ選べってさ」  ボウイが手にしているのは二着のパジャマ。ミントグリーンにライトグレーのお月様柄がプリントされた一着と、パステルピンクにシルバーのペイント柄の一着。  どこぞの番組に影響されたお町が、パジャマパーティーをすると言い出したのだ。  新しいパジャマをプレゼントされてお町の部屋へご招待までされては乗らない手はない。もちろん双子もアイザックも。 「どっちする?」 「じゃ、勝ったほうがミドリな。じゃーんけーん、、、」 「ほい。ハイ俺ちゃんミ

          どこかで響いた銃声

          ※診断メーカー※ 【貴方はキッドとボウイで『どこかで響いた銃声』をお題に140文字SSを書いてください】  街のどこかで響いた銃声に走り出す二人。仕事でもないのにすぐ反応していた。  走ってからふと、ボウイは舌打ちする。二人で街歩きは久々だったのに、と。  キッドが急に止まり片手でボウイを制止した。  現場を窺う引き締まったキッドの表情。斜め後ろからのこの角度。 「やっぱコレ、最高よね」                  ♪♪♪

          どこかで響いた銃声

          たった二人の世界

          ※診断メーカー※ 【貴方はKBで『たった二人の世界』をお題に140文字のSSを書いてください】  ニュースの画面に映る痩せた狼が二頭。病で激減したメキシコオオカミの話題だった。 「よりによって狼かよ」 「どうする?俺とお前でたった二人の世界になっちまったら」 「そ、そりゃ、」 「南の島パラダイス想像してんじゃねーぞ?」 キッドによるサバイバル講義は小一時間に及んだ。                   ♪♪♪

          たった二人の世界

          ★Overflow The second act

           俺の腹の上に二人分ぶちまけて、息を整える間もなくボウイが囁く。 「もっかい、、このまま、、」 「ねーよ。カートリッジ空だぜ、俺は」  押せ押せで続行させようと頬をすり寄せてくるボウイに、俺はつまらない仕草で、、つまらないって言うのは、そう、服を着ている時みたいな雑な仕草で、、頭をぽんぽんしてやる。 「うっそだー、まだ余裕で撃てるだろ?」  ボウイの声からも色気が抜けて、少しだけ体の距離が開く。でも指先はまだチャンスを探して俺の肌を行ったり来たり。 「切り替え悪い

          ★Overflow The second act

          Klohto

             アイザックは初めて訪れた超ど級のコロニーにすっかり心を奪われていた。南アステロイドの農場などよりはるかに大きな人工太陽。それもさることながら、連邦政府の外宇宙の研究機関を中心に、各大学や企業の研究施設が居並ぶ町並み、研究を支える膨大な資料を抱えたいくつものデータ図書館。光速駆動船の製造ドッグ、外宇宙とのコンタクトにフル稼働する通信施設群。  何より胸が高鳴ったのは、光速駆動船の係留港である。発着プレート自体は、普段見慣れたタイプと大差なく、規模としても、大量の輸送力を必

          MOVE 14

           ◆◆◆  ソドム外輪の崖の内部をアイザックは歩いていた。  入り組んだ通路から通路へ、そして崖の縁に沿って歩き、更に上の階層にあがり、張り出した崖どうしをつなぐ橋を渡る。ひとつの洞窟の入り口で名前を告げると、ランプを下げたナルキネ族が、内部で何方向にも枝分かれした洞を先に立って案内した。 「こちらでございます。ごゆっくりどうぞ」  まるで蟻の巣のように、枝分かれした先がそれぞれ小部屋になっている。初めて来る場所だが、到着した部屋には毎日見る顔が待っていた。 「よっ!

          MOVE 13

           ◆◆◆  部屋割りが決まらずに終わったミーティングのあと、全員が集まるのは五日ぶりだ。  あの夜、連絡だけを入れ、二人はメイの予定通りクアンのトラックで翌朝ソドムの北の朝市に着いた。途中、ガス欠でアイザックが乗り捨てていたホバーバイクを回収しつつ、二泊するほどのゆっくりペースで帰ってきたのだった。  到着したメイはポロポロ泣きながら真っ先にシンに飛び付き、身長の逆転し始めた弟に結構な剣幕で怒られた。  お町にげんこつで出迎えられてからメイが取り出したのは、収穫から三日経っ

          MOVE 12

           皆にメモを残した。ほんの少しの着替えも用意していた。けれどその時はまだ、、朝市でクアンを見つけても、ここへ着いてもまだ、、この先どうするかなど、はっきりしたものは無かった。  最初はこのまま東の方へ回って、海レタスと呼ばれる野菜を見に行く事も考えていた。それは野菜ではなく、海岸の岩場で採取する海草だとさっき言われて、ルイーズ達と大いに笑った。  リンダの頼みを果たして、ルトを見て、海レタスを見て、それから、それから、、、。  どこか外で大人になりたかった。恋の一つや二つも経

          MOVE 11

           ◆◆◆  メイを乗せたトラックは川沿いを北へ進む。円環都市の周辺や南側に向けては乾燥気味のワイルドステップが広がっているが、今見えている景色の中で緑はどんどん濃くなってきていた。  ルトの畑を、初めて見た。てっきり木に生っているものと思っていたが、どうやら背の高い一年草に見える。  荷台に立ち上がって、なんとか景色が見渡せる。どこまでも続くルト畑と張り巡らされた用水路。所々に木に囲まれた集落や、遠くの方では別の作物の畑がモザイクを描く。ソドム辺りに居ると気づかなかったが、

          MOVE 10

           ◆◆◆  聞いた事もないようなお町の取り乱した声に二人は叩き起こされた。  ホバーバイクを地下通路に引き入れて、キッドは暗闇の中へ滑り出した。地下通路はこれが初走行になる。ボウイが確認してからの筈だった。障害になりそうな岩などがないか、慎重に飛ばしていく。床に簡単な金属の板が並べてあるだけで、他は岩盤が剥き出しになっていた。所々、染み出した水が溜まっている。黴混じりの土の臭いがするが、ソドムの埃っぽさよりは湿度が心地よい。  夕べ一人でこの通路を帰っていったシンの事を想像