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唄 / 詩

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解離性同一性障害、多重人格者です。 紬さんウタさんによる言葉を綴っています。
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#死

死をひと掬いして見守る
清んでいるか 濁っているか

死をひとすくいして見守る
ひとくち含む 無味無臭

ありきたりな言葉で
在り来たりな愛を

この世の天国と地獄

あなたの顔

想う心にこそ有れば
この身のこの御霊

想う ここに在りて

今は個々 ここは今

ふたつとない

それが何になるって言うの

毎日くたびれるまで生きて

人と関わって楽しくて
幸せで

でもそれが何

人は死ぬし 別れる

居なくなってしまう

この想いも全ては通り過ぎていく

それが何 何になるの

私は 知らない

振り撒く言伝てに
来よ見よと 虫が鳴く

あれにこれに
さざ波たつ心 不知火の言の葉

声なき声
眼なき涙

還ろうや かの人のもとへと
孵ろうや かの地から麓へと

跳立つには早すぎて
留まるには時もなし

さわさわと虫は鳴く

あの道を逝こうや 

時 幽かに震えれども

しとしとと 雨は降り来る

死と死とと 飴は降り来る

足音を鳴らし
影を落とし

夏の終わり 秋風が運ぶ

寒々しく
粛々と

帰らずの川 岸辺には船

じくじくと 雨に熔ける
じくじくと 飴は溶ける

枯れた地を 炙るため
渇れた喉を 潤すため

黄金の光 向こう岸

果て迄

花が咲くように 死は咲く

掬い手のように
摘む手のように

花が裂くように 死は裂く

救い手のように
積む手のように

見慣れた姿を眼の裏に
見知らぬ顔を目の前に

待つ手もあらば
迎え手もあらば

送ること
去ること
赦すこと

揺られ子らよと 天からの導は

続くみちては

消えてた顔が消えなくなって
網膜の裏 金色にひかる

この感情に名前を付ければ
きっと私は死んでしまう

手の震えは止まらないまま
嘔吐く 脳内が侵略される

死んでしまう 死んでしまう

止まらない衝動と
訳のわからない感情と

黒く塗り潰された何かと

死んでゆく
死なないで