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#物語
過去に書いた1場面物語
フカフカとしたシート。
ゴトゴトと揺れる足元。
流れてゆく景色には誰もおらず
窓に反射した自分だけが映る。
名前も知らない花達で埋め尽くされた風景に
少しだけ、ほんの少しだけ笑みが溢れる。
昼間の太陽とは違う、凍るような満月の光が
花畑を青白く照らしている。
熱くも寒くもない車内に一人きり。
外の匂いも感じない。
外はきっと花の香りに包まれている。
そして思っているより寒いはずだ。
『こ
過去の1場面物語 「約束」
『心には替えがないから…』
少女は目をふせ、一旦口を閉ざす。
しかし、すぐに顔をあげて目の前にいる人物に言葉を続ける。
『私にくれるって言ってくれたのは嬉しかったけど…駄目。もらえない。』
「どうしても。か?俺があげたいからあげるんでも駄目か?」
少女の言葉を受けた人物…少年は少女をじっとみつめた。
『うん。』
少女は少年を瞳に映しながら
『物語は、アナタのもの。アナタが紡ぐ物語を
創作物:一場面物語:夢の途中、砂の島(彼女の独り言)
私はいつもここに在る。
あなたが、辛い時や悲しい時。嬉しい時や楽しい時。そう、あなたがどんな状態や状況だとしても、私はいつもここに在る。
ここは何もないでしょう。砂浜だもの。砂はあるけれど、他には何もないでしょう?
夢の海は、思っていたより荒かった?あなた、どう見ても準備不足だもんね。
……………。
わかるよ。青くて、綺麗で、心が踊って、、、夢の海のそんな姿も本当だもの。
でもね、嵐も
過去の1場面物語『夢物語』
「少女は夢を見る。少女は夢を見続ける。
醒めない夢。
『それが世界の正体なのよ。』
魔女はそう言いました。」
枕元でアルコールランプがゆらゆらと揺れた。
春の嵐が真っ暗な世界を吠えながら駆け抜けてゆく。
窓がガタガタと鳴る音が、酷く恐ろしく布団を目の隠れないギリギリまで持ち上げながら絵本を読む母の顔を見る。
仄かな灯りに照らされる母の顔は陶磁器のように滑らかで、何時もの温かな安心する人とは違うよ
1場面物語『とある猫から聞いた話』
『まぁ、だから結局私達は孤独なのさ』
猫はそう言います。
今は暖かい部屋の中。
元野良だった猫は淡々と己の心を話します。
私はそれをウンウンと聞いたのです。
これは元野良猫の話。
『私に帰る場所はなかった。
ま、親から離れるのが早かったね。なんでって?それは、やってられなかったのさ。だいたい、親の持つ縄張りは碌な事が無かった。だから、私は1匹で街に出た。』
猫は思い出すように上を少し見る。
思いつき1場面物語~ざわめき
スポットライトの熱。観衆の歓声。ざわめきが裏の世界まで届く。
「すごい人気だね」
「本当、なにがそんなにいいのかしら?」
「僕らには解らない何かさ」
小さなネズミ達は口々に思った事を言い合う。そんな会話になんの意味も無い。それでも、その時思った事は音にされて舞台裏の狭い通路に小さく響いた。
「もう、お喋りしてないで手を動かしてよ」
「そうだよ、怒られちゃうよ」
「そうね、何より食いっ