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職業サラリーマンの繊細さんはいかにして組織のパワーゲームを生き抜くのか

 感受性が強いとよく言われる。「笑いの沸点低すぎ!」と言われた記憶もある。喜怒哀楽の沸点が低いのだ。コメディー映画でも泣くものだから、笑ったり泣いたり忙しい。「早く帰って休みたい」と家を出た瞬間から考える毎日だ。

 上記の特性は閉鎖的な日本の組織を生き抜くビジネスパーソンにはマイナスだ。今年のGWは表題の戦略を立てることに充てた。

社内政治は「必要悪」ではなく、人間が生きていくうえで必ず遭遇する「現実」……「『課長』から始める 社内政治の教科」を読んだ

 「上司に嫌われてるみたい。私どうなっちゃうんだろう・・・」という不安から、「嫌いな部下」で検索した。以下の記事を発見した。

「『反抗的な部下』を黙らせる方法 争いを避けつつ、部下を掌握する!」高城幸司:株式会社セレブレイン 代表取締役社長 2014.11.7 0:02 Diamond Online 2021年07月05日 21:49閲覧

 なんと恐ろしいタイトルであろうか。対策を練らねばならない。
 本記事で紹介されている「『課長』から始める 社内政治の教科」(高城幸司 著 ダイヤモンド社 2014年10月発行)を手に取った。

 会社は、人の集まりです。そして、人が集まれば、そこには政治が生まれます。政治そのものは、「善」でも「悪」でもない。それは「必要悪」ではなく、人間が生きていくうえで必ず遭遇する「現実」だと思うのです。『課長』から始める 社内政治の教科」(高城幸司 著 ダイヤモンド社 2014年10月発行)P24

 デール・カーネギーの名著「人を動かす」にあるような人間関係の理論をベースに、日本企業で実践できる具体的な方法が書かれている。
 仕事のできるメンターにバーやらティーやらで諭されているのをイメージしながら読んだ。

 政治的闘争は、心身ともに激しく消耗するものです。なぜなら、それは往々にして”全人間的な闘争””感情的な闘争”になるからです。仕事の実績・能力が問われるのはもちろん、どれだけ周りの信頼や好意を勝ち得ているか、敵対する人物といかに上手に駆け引きをするか、腹を据えて修羅場に立ち向かえるか、トラップやゴシップ、悪口が横行するなかいかに平常心を保つか……、いわば「人間力」が問われるのです。(同上)P275

 絶望的な気持ちになってきた。私にできるだろうか。
 癒しが必要だ。

「『気がつきすぎて疲れる』が驚くほどなくなる 『繊細さん』の本」に癒された


「HSP」「繊細さん」という特性を持つ人に関する本が出版されていることは知っていた。気になっていた。
 日経新聞の記事をきっかけに読もうと思い立った。

 ハラスメントなどが問題になり、柔軟な働き方や多様性の尊重が重視される中「タフでない人が悪い、会社や社会に合わない人が自分を変えるべきだとの風潮は弱まっている」(「ありのままの自分でいい…「繊細さん本」が人気のワケ」光井友理 日本経済新聞(電子版) 2021年4月17日 2:00)

 手に取ったのは、「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本 (武田友紀 著 飛鳥新社 2018年7月25日発行)である。

「繊細な人」とは、具体的にはどんな人を指すのでしょうか。
アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱したHSP(Highly Sensitive Person)という概念がベースになっています。「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本 (武田友紀 著 飛鳥新社 2018年7月25日発行)P7

 本書の「繊細さん診断テスト」(P28)を試した。ざっくり95%ほどの度合いで繊細さん寄りな気がする。
 高校卒業が怖くて泣いた(悲しいのではなく)。見ていたクラスメートの一人は「彼女は人間なんだよ」としみじみと言った。そういえば、引っ越しで別の小学校に転入したときにも泣いたなあ。
 環境の変化に極端に弱い私。繊細だ。

繊細さんには、ひとりでゆっくりと心を休める時間が必要です。(同上)P34  

 一人の時間が不可欠な私。少なくとも週に一度は予定を入れない休息日を設けている。忙しい日が続いた後は2~3日連続で。やり方は間違っていなかったことを確認した。
 繊細さんであっても、生活のために会社員をやっている。組織の人間関係の荒波のなかを泳がなければならない。繊細さんは不利だ。でも戦わなければならない。戦略を立てた。

嫌いな上司の対応法―女優になって「あなたが好きです、尊敬しています」という演技をして相手を癒す

 心理学で、「ラポール」という用語があります。こちらが好意を示せば、相手もこちらに好意を寄せてくれる。そうして互いが歩み寄って築く、安心して付き合える人間関係のことを指します。この「ラポール」を築くためには、まずあなたが何らかの形で相手に好意を伝えることです。『課長』から始める 社内政治の教科」(高城幸司 著 ダイヤモンド社 2014年10月発行)P192

 社風がパワハラと言えるほどハラスメントがデフォルトの組織に属している。パワハラで育った人が適正な指導方法を知るはずない。自身も上司からパワハラを受けているのだろう。現在進行形で。
 たまったストレスを弱い立場の人にパワハラすることで解消する。パワハラの連鎖。

 こんな上司を尊敬することなどできるはずがない。しかし尊敬する演技をしてみよう。女優になったつもりで。
 そうすれば機嫌がよくなるであろう。いつかきっと。ストレス発散の矛先を別の人に変えるだろう。その前に、上司を癒すことができるかもしれない。彼も傷ついているのだろうから。

 トランプ前大統領の振る舞いで傷ついた米国民を癒そうとするバイデン大統領のように、癒すことを考えてみよう。演技で。

 嫌いな同僚の対応法―「こいつ嫌い」という心の声を大事にしながら笑顔で挨拶して、速攻でその場を去る

 実は「キライ」は生きていくうえで大切なセンサー。「キライ」というのは「この人は、自分に不利益をもたらす気がする。嫌な予感がする」ということでもあるのです。「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本 (武田友紀 著 飛鳥新社 2018年7月25日発行)P106

 嫌いな上司を癒すという大プロジェクトに全力を注ぐので、嫌いな同僚に対する力は残っていない。非・繊細さんならその余力はあるかもしれないが、繊細な人間にはとても無理だ。

 たとえば、会社の廊下ですれ違っても挨拶ひとつせずに通り過ぎる人がいます。これは、恐ろしいことです。なぜなら、挨拶をしないということは、「あなたは、私が相手にするほど重要な存在ではない」というサインを送っているのと同じことだからです。日々、「敵」をつくっているのと変わりません。『課長』から始める 社内政治の教科」(高城幸司 著 ダイヤモンド社 2014年10月発行)P45

 物理的にも心理的にも大幅な距離を保ちつつ、挨拶だけはしておく。話しかけられても気づかないフリしてその場を去ろう。急いでいるフリして。聞こえないフリして。
 一人の時間を長めに確保すれば、繊細さんでも息ができる。全力で距離をとっていこう。

どんどん断って、一人の時間を確保しながら、繊細さんも賢く効率的にパワーゲームに参加していこう

 これまで強く自分を抑え込み、相手を優先してきた人が自分の意見を言い始めると、「人間関係の入れ替わり」が起こります。
 自分の感情を顔に出したり、意見を言ったり、ときには友達の誘いを断ったりすることで「誘ったら断らないあなた」「なんでも頼みごとを聞いてくれるあなた」が好きだった人が離れていく。「あなたの”殻”が好き」という、本当はあなたに合わない人たちが去るのです。「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本 (武田友紀 著 飛鳥新社 2018年7月25日発行)P98

 「社内政治の教科書」には、人と会話して情報を得ることの重要性が書かれている。これに費やせる時間も労力も、非・繊細さんよりずっと少ない。繊細さんはパワーゲームには不利だ。
 しかし作戦を立てれば乗り越えられぬことはない。

 繊細さんの特性をよく理解して、社内政治に重要なポイントを押さえて、効率よくやっていこう。
 私のように労働で糧を得る庶民な繊細さん諸君!繊細な特性をうまく生かして、賢く戦略的に、パワーゲームの荒波を華麗に泳いでいこうではないか。

(おまけ)究極の解決法「早期リタイヤ」

 会社頼みの人生に限界を感じた。
 思い悩んだ時、インターネットでセミリタイアを知った。若いうちから資産形成を進め「経済的自立と早期退職(FIRE)」を志向する生き方が国内外で広がっているらしい。同年代のブログを見ると、数千万円を元手に資産運用だけで生活する人もいた。(「セミリタイアで夢探し 36歳、仕事見切り株で生活」佐藤淳一郎 日本経済新聞(電子版) 2021年5月3日 2:00 )

 資産を潤沢にもつ繊細さんは、リタイヤするという選択肢もあるかもしれない。
 願わくば私も早期リタイヤしたいものだ。

 リタイヤできる日まで、賢く戦略的にがんばります。長文お読みくださりありがとうございました。

 


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