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国家の存立というのは大変だな。内外共に。やはりリーダーは偉大であってほしい。☮ 小説「虚空の旅人」★4

隣国サンガルの新王即位儀礼に招かれたチャグムとシュガ。そこで、魂を奪われた少女と、その背後から忍び寄る、他国の陰謀に巻き込まれていく…。シリーズ第4弾

2001年(文庫2008年)上橋 菜穂子

序章 海から吹く風
 1 風とうたう娘
 2 ラッシャロー<海をただよう民>
第一章 海の都
 1 サンガル・ハサイ<望光ぼうこうの丘>
 2 祝いの演武
 3 <花の四阿あずまやに吹く風>
 4 取り引き
 5 <ナユーグル・ライタの目>
 6 エーシャナの指輪
第二章 まじな
 1 海底の祭り
 2 恐怖のもり
 3 あやつる者とあやつられた者
 4 生命をあずかるとき
 5 運命の歯車
第三章 儀式の夜
 1 暗雲
 2 攻めと守り
 3 歌舞のうたげ
 4 断崖
 5 為政者のけが
終章 虚空を飛ぶハヤブサ

文庫版あとがき「全十巻への舵を切った物語」
解説 小谷真理

~だいたいの流れ~
夜の浜辺、エーシャナうたっている。カルシュ島守りアドルと異国の客人、<ナユーグル・ライタの目>、エーシャナ連れていかれる。スリナァ一家の船襲われる、スリナァ逃げる。
チャグム、サンガルへ、<新王即位ノ儀>、<祝いの演武>、タルサンの無礼。<要の女たち>の話。助かったスリナァ、襲ってきたのはタルシュ帝国、ドゴルと取引、スリナァ旅立ち。チャグムとサルーナ会話、タルサンがエーシャナに気づく。タルサン、夜にエーシャナのとこへ忍び込む、気を失うタルサン。スリナァの船旅、海でエーシャナを見つける。儀式4日目、タルサンが<恐怖の銛>をカルナン王子に投げる暴挙、<新王即位ノ儀>中止、タルサンに呪い。タルシュ帝国のスパイのヤトノイ・ラスグ、タルシュ帝国の侵攻、タルサン目覚め事情を聞く、反逆者扱い、ラスグがアドルに王殺しの話を、サルーナが囚われのタルサン救出、チャグムに助けを求める、スリナァはラコラの所へ、事情を話す、サンガル王家会議。チャグムがカリーナに話、アドルと島守り会議、<ナユーグル・ライタの目>の<魂帰し>の日、外交、歌舞の宴、刺客失敗、チャグムとシュガVSラスグ、エーシャナ救う。
チャグムとタルサン・サルーナ別れ、旅立ち、シュガと約束を交わす。

今回は、バルサが出てこないなーと思ったら、守り人シリーズの外伝的なモノらしい。そういえば、題名も「~の守り人」ではなく、「~の旅人」だった。「旅人」になるとチャグム(&シュガ?)が主役になるのかな。

上橋さん曰く、守り人シリーズ「全十巻へのかじを切った物語」だと。確かに今までは、それぞれ一つの国の中で話が展開してたと思うが、今回は、多数の国家が出てきて絡み合い、この世界が大きく広がった。

奇しくも、現在ウクライナの戦争真っ只中なので、読みながら強く思うところがあった。侵略してくるタルシュ帝国がロシアと重なる。巻き込まれる一般市民の代表の様なスリナァ(一家)。そして、国家の存立など。

改めて、国を維持発展させていく難しさを感じた。国内も国外も、うまいことやらないといけない。小説の中でもリアリティあったけど、実際の世界は、もっともっと複雑に絡み合ってバランスを保とうとしてるんだろーな。

そんな中で、チャグムが奮闘するんだけど、この時何歳なんだろう。十代半ばくらいかな? とにかく、この若さながら、今後、偉大な王になると思わせられる、資質と風格が垣間見えるのが印象的。シュガとの絆も深まる。

話はそういうきな臭いものではあるけど、その反面、舞台が個人的に好きな、海や島々が登場するので、雰囲気好み。どこか、煌めく海面や潮の香りが漂う。住むなら、サンガル王国(の島々)、いいかもなー。

あと、チャグムたちの他に、重要なキャラとして、サンガルの次男・タルサンがいる。タルサンも未熟ではありながら、強い信念を持ち、今後の成長、活躍にも、大いに期待できる。楽しみが増えた。

ちらっと、カンバルのカーム・ムサが出てきて嬉しい。と言っても、はっきりとは思い出せないけど笑 でもそうやって過去の主要キャラが出てきてくれるは、やっぱ胸アツ。タルサンもまた出てきてくれるでしょう。

あとは、女性たちの活躍。サンガルの娘たち、とくに長女カリーナ、恐ろしや~。でも嫌いじゃないな~(想像クールビューティー笑)そして、三女のサルーナ。もしかして、チャグムといい感じになっちゃう!?

どうでもいいけど、本の冒頭にある地図見ると、新ヨゴ皇国が東京で、ナヨロ半島が千葉に見える。となると、サンガルは神奈川か。でも島々を見ると、瀬戸内海みたい。カンバルは埼玉、ロタは静岡?

ということで、今回この守り人シリーズの世界がグッと広がり、深みを増していってるので、今後も展開が楽しみだ。次巻は、「守り人」で上下巻となっているので、少し長いか。またバルサ達の活躍が見れるんだろう。


★\(^^)/☆

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