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「清潔好きな現代人」昭和の食卓

 「僕の昭和スケッチ」121枚目

<「箱膳」画 ©2022 もりおゆう 水彩 サイズF5>

上の絵は、昭和30年代半ば頃に母親の在所で私が見た箱膳の記憶です。
在所は大きな百姓屋で食事の時間になるとこの箱膳が各自の前に並び、皆それぞれ食事をするのでした。

当時、庶民の家庭では丸いちゃぶ台を囲んで食事をしているところが多かった様に思います。もちろん僕の実家も同様でした。漫画「巨人の星」星飛馬の父親がひっくり返す、あれです😅

ですので、在所でこの箱膳で初めて食事をした時は驚きました。
食べ終えると、お茶碗はお茶で濯ぎ、そのまま箱の中に収納するのです。洗ったりしないのです。もちろん、箸なども同様でした。
食器を洗うのは十日に一度位だった様です。
「え〜〜〜っつ!」っと思われる若い方もいらっしゃるでしょうね。

この箱膳は、その後次第に田舎でも見られなくなり、消えていきました。

現代では食事のたびに台所で食器を洗います。当たり前の様に洗剤も使います。加えて、昨今は流行病のため手指のアルコール消毒も推奨されています。もちろん、私もそのように心がけていますが、この厄災が去った未来に食事のたびに食器をアルコール消毒する時代になっていたら世も末だな、と思う今日この頃です。

*ちなみに、私の子供の頃には、台所洗剤というものはまだ普及していませんでした。一般的には食事毎に茶碗をタワシで水だけで洗っていました。ちょっと汚れが目立って来ると、米ぬかや磨き粉などを使ったようです。
やがて食生活が洋風に変わっていき、油を頻繁に使うようになると台所洗剤が普及して行きますが、それはまだもう少し先の話です。

<©2022もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(©2022 Yu Morio This picture and text are protected by copyright.)

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