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「凄いものが銭湯や子供に…」昭和の記憶

 「僕の昭和スケッチ」イラストエッセイ135枚目

<「DDT」© 2022 もりおゆう 水彩/ガッシュ>


戦後の荒廃した社会にノミやシラミが大発生して衛生上の大問題となり、その防疫対策として力を発揮したのが、上の絵の薬剤DDT。

終戦直後から昭和30年代半ば頃までは子供の頭髪に直接散布される随分乱暴な時代。(小学校での頭髪への直接散布の写真資料/昭和35年)
まだテレビは普及しておらず、僕らは映画館のニュース映像でそれを見た世代。自分自身が頭にDDTを撒かれたかどうか、、、記憶は曖昧だ。

ただ、覚えているのは或る日銭湯へ行くと、脱衣箱や脱衣籠が小麦粉でもふりかけたように真っ白になっていた事。それがDDTだった。そんな事が何度もあった。

このDDTは、発疹チフス(シラミが媒介)やマラリア(ハマダラ蚊が媒介)の伝染病予防に大きな役割を担うのだが、その後発癌性など人体への悪影響や環境汚染が大きな社会問題となった。
(DDTの化学物質としての危険性は、1962年に出版されたレイチェル・カーソンの名著「沈黙の春*」によって初めて取り上げられる)

現在、先進国では使われていない。

*「沈黙の春」は、農業生産に多大な功績を果たした農薬が、残留化学物質として人体や環境に大きな問題となることを最初に示した環境問題の嚆矢となる一冊. 
*GW中は不定期に記事をアップさせて頂きます.  


<©2022もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(©2022 Yu Morio This picture and text are protected by copyright.)

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