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【取材記事】障がい者雇用の常識を変えていく。誰もが仕事を通じて自己実現ができる世の中に!〜障がい者雇用特化の人材紹介会社KindAgent〜

2022年2月14日に設立されたKindAgent株式会社(カインドエージェント)。障がい者雇用に特化した人材紹介会社です。既存の障害者雇用支援サービスでは実現が難しいとされる、「障がい者雇用率」にとらわれない雇用の在り方を追及しています。
代表の茅原さんに、事業の沿革、事業を展開する上での課題や展望についてインタビューしました。

【お話を伺った方】

KindAgent株式会社 代表取締役
茅原 亮輔(かやはら りょうすけ)

栃木県出身。慶應義塾大学を卒業後、衆議院議員茂木敏充事務所にて秘書を務める。退所後、障害者専門の人材紹介会社である株式会社ゼネラルパートナーズに入社。コンサルティング室立ち上げに参画し、障害のある方の雇用支援に尽力。その後はパーソルチャレンジ株式会社にて同じく障害者雇用領域業務に従事。退職後独立を志し、障害者や働く事に工夫が必要な方が幅広く活躍出来る社会の実現を目指して、KindAgent株式会社を設立、代表取締役に就任。



■創業から1か月。障がい者雇用業界の厳しい現状に向き合う

mySDG編集部 多田(以下多田):先月会社を設立されたとのことで、おめでとうございます!まずは創業経緯について教えて下さい。

茅原さん:ありがとうございます!先月サービスをローンチし、まだ1ヶ月ほどです。
弊社は、障がいがある方や、障がい者手帳の有無に関わらず働くことに何かしら工夫が必要な方の転職活動を支援する会社です。会社は設立したばかりですが、私自身は障害者雇用業界には長く携わってきました。業界大手の企業に在籍し、障がい者雇用が果たす良い役割を感じつつ、課題も感じながら就業をしておりました。コロナの影響で、障がいのある方が職を失ってしまう、環境の変化で体調を崩してしまう問題がより顕著になり、自分自身が能動的にサポートに回りたいと強く思い独立しました。

多田:コロナで顕著になったとのことですが、コロナ前から同じような課題があったんですね。

茅原さん:そうですね。障がい者雇用の中では、真の意味での「人材活用」がなかなか生まれづらいんです。採用側の企業の一部は、その方のキャリアやスキルにマッチすることよりも、法律で定められている「障がい者雇用率」の数字を達成することが第一の目的になってしまっているのが現状です。

多田:そうなんですね。雇用率ありきの採用はどのあたりで感じられるのでしょうか?

茅原さん:はい。まず障がい者雇用市場の現状をお話します。現状、様々な障害者雇用のサービスがありますが、最もシェアを占めている方法は「農園型」です。この手法は、国が推進する農業と福祉の連携モデルとして、農業法人や農家の深刻な担い手不足の課題に対し、障害者などの新しい労働力を担い手として活用するというものでは全く無く、運営会社が日本全国の農地を管理し、農園区画と障がいのある方の労働力をセットとして農業とは無関係な事業会社に販売するシステムです。障がいのある方と企業が直接雇用契約を結ぶことで、企業は障がい者雇用率の達成を目指します。農園の管理や雇用管理はそのサービス提供会社が代行し、障害者雇用数を契約企業に還元するモデルなのです。

また、農業の本質という観点でも、本来は農地に堆肥を混ぜたり、焼き畑を行ったりして豊かな土壌を作り、美味しい作物を作ることに本質があると考えますが、こういった農園型の一部のケースでは、土ではなく軽石のようなものを土壌として作られるため、売り物にはならず廃棄するケースもあるとお聞きしています。
土を使用すると、障がいのある方が口に含んでしまう恐れなどがあるためとの事です。まさにこの現状が雇用率ありきの雇用だと感じています。

多田:なるほど・・・スキルが全然活かされていないですね。

茅原さん:このような雇用モデルを導入しているのは世界を見ても日本だけなんです。障がい者福祉に力を入れているヨーロッパ、例えばフランスでは、日本と同じく「障がい者雇用率」を定めていますが、日本が2.3%なのに対し6%でありとても高いです。もちろん障害者の定義も一部異なるところもありますので、一概に比較は出来ませんが、教育の段階から、障がい者と共に歩んでいる傾向にあります。
そもそも、日本ほど健常者と障がいのある方の働き方をここまで変えている国はないですね。農園型モデルが生まれること自体が社会的に問題だと感じています。
SDGsという観点からも、2030年に向けて障害者も含めた人材活用という取り組みが世界基準で評価される傾向が加速すると考えております。その中で、今後、持続可能な障害者雇用の有り方というものが議論され、大きなパラダイムシフトを迎えると考えております。

■課題解決への道はシンプル。「障がい」ではなく身体的特徴

多田:なるほど。茅原様はこの業界に長くいらっしゃるとのことですが、以前から障害者雇用に興味をお持ちだったのでしょうか?

茅原さん:元々は国会議員の秘書をしており、そこから人材業界へ入りました。子どもが生まれるタイミングで、子どもが誇れる父親になろうと決意し、兼ねてから課題があると感じていた障がい者雇用に積極的にアプローチしていこうと思いました。

多田:素敵です。今後、どのように課題を解決していくのでしょうか?

茅原さん:人材紹介会社としての役割を確実に果たすことに尽きると考えています。障がいのある方も健常者も関係なく、人にはそれぞれ違いがあるのが当然。障がいのある方に対しては、障がいの種類や程度を無視して一括りにするのはおかしいと感じています。みんな違いがあって、得意不得意はさまざま。その違いをふまえたキャリアカウンセリングを行い、強みを生かすことができる企業とのマッチングを進めていく。そうすることで「障がい者雇用率」のために事業と関係ない農園を買い取るのではなく、障がいのある方も強みを活かせるポジションを創出する企業が増えていくんじゃないかなと思っています。
候補者にとってはもちろん、企業側もせっかく雇用するならそうする方がいいですよね。
そのためには、シンプルなんですが「寄り添った支援」をしていきます。
企業側の人材活用についてもこちらから提案ができるようナレッジを共有していきます。

多田:それが当たり前となる世の中が楽しみです。そういえば、御社のロゴは障がい者アーティストの方がデザインされたんですよね?

茅原さん:そうなんです!僕はこのような可愛らしいデザインは出来ないですし、才能だと思います。どのような場面で強みを生かしていくかが大切だと思っています。
そう考えると、障がいという言葉はそもそも間違っていて、身体的特徴と捉えるべきだと思います。例えば盲目のシンガーとして有名なスティービー・ワンダーさんについて、障がいという言葉を使う方は少ないと思います。目が見えないぶん聴力が優れており、その特徴を生かして世界的なアーティストになっています。彼のように、身体的特徴を最大限に生かしていくことができる世の中になればと思います。

多田:これからがとても楽しみです!今後の展望について改めてお聞かせください。

茅原さん:障がいのある方、ない方も含め多くの人が職業を通じた自己実現ができるような社会を作るため引き続きサポート、応援をしていきたいと思っています。今後は日本全国の方をサポートしていけるよう拡大していく予定です。

多田:障がい者雇用業界についても改めて知ることができました。私自身も今後学んでいかなければならないなと感じています。本日は、ありがとうございました!



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