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一カ国目 中華人民共和国

※2024年1月3日〜2024年1月4日滞在時の現地情報
※本紀行は私自身の主観に基づいており、正確性は保証できかねます


2024年1月3日(2日目)

緊張の瞬間、中国への入国

今回、私が最も緊張している場面は中華人民共和国(以下、中国)の税関通過だった。トランジット時のビザ免除特例が認められるかどうかが分からないからだ。

2024年1月時点では、日本人のノービザ入国は認められていない。トランジットでの入国もビザ免除に条件があり、中国国外から別の第三国に向かう場合にのみ許可される(例:大阪→上海→シンガポールは可、大阪→上海→東京/大阪は不可)。

条件を満たしているつもりだが、中国は「当局の意向で今日から急遽制度が変更になりました、日本人は入れません」というシナリオも考えられ、それが怖かった。

実は深圳訪問を諦めたのは、日本から深圳を経由してどこかに行くのが非常に難しく、かつ高額になってしまうためだった。北京大興や上海浦東はグローバルハブ空港なので、制度を活用してトランジット旅行をするのは比較的容易だと考える。

非常に緊張する瞬間だが、これを乗り越えれば上海の夜景を楽しむことができる。たくさんのリサーチをしてきたのだ、やるしかない。

中国の上海浦東国際空港(以下、浦東空港)に到着。ahamoのローミングをオンにしたら、LINEもGoogleも普通に使えた。BaiduとWechatの準備もしていたので、驚きと安心があった。

上海最大のハブ空港である浦東(プドン)国際空港

入国審査(トランジット特例適用)

到着アナウンス前に、一斉に荷物を取り出す乗客。中国の人たちはとてもせっかちに見えた。

イミグレで指紋を取られて審査カードを記入。税関での瞬間、「Are you going to stay in China for transit? “Yes, my final destination is Singapore. Visiting China is just a transit reason.” When will you go out? Show me. “OK, this is the flight ticket to next country Singapore.” You come from Japan and go to Singapore via China? correct hah? “Yes” OK. 欢迎来到中国. Welcome to China.」 入国成功だ。

荷物検査を終え、中華人民共和国に特例適用の上で入国することができた。心配していた第一関門を突破できて、本当にホッとした。

無事入国成功して、マグレブの駅に向かう。夜9時なので人は少ない。

まさかのハプニング

まずは宿泊先に向かう。ホテルの場所は前もって調べてあったので、マグレブ(リニア線)と地下鉄2号線を活用して人民広場に到着。ここから徒歩5分とBaidu Mapには掲載されている。

到着してみると、うーん、なんか高級感がすごいな。本当に一泊5000円の宿なのか?と思うほどに堂々たるホテルだった。もう一度Booking.comを確認すると、唖然とした。ホテルの名前が誤っていたのだ。

私が予約したホテルの名前よりも一単語多い名前が目の前のホテルについていたのだ。やらかした。

正しいホテルまでは車で10分程度、歩けば1時間かかる距離。もうすでに22時、ホテルに着いてから浦東・外灘の夜景を見るのはもう遅いと判断し、まずは夜景を見に行くことにした。

空港と上海都市部を結ぶマグレブ、最高速度は430km/h(通常は300km/hまで)

上海の夜景

人民広場から歩いて30分ほど進むと、姿を現すのが大きな川である黄浦江。私が向かった南京路側の西側には、外灘(ワイタン)と呼ばれるエリアが広がり、洋館が美しく立ち並ぶ。

上海は地理的に貿易の中継地として栄え、特に外灘エリアは租界(外国人居留地)として大きく発展した。イギリス、アメリカ、フランスの租界に加え、欧米風の建物が築かれたのだ。

19世紀の阿片戦争に勝利したイギリスが南京条約によって上海を開港させたことが発端で、上海は港町として栄えた。そのため、北京や広州などと比較すると上海は歴史的に見て非常に新しい都市である。

外灘側にある特徴的な江海関(こうかいかん)、税関として今も機能しているらしい

反対側に広がるのは、中国独自の景色である浦東新区。上海のランドマークである東方明珠電視塔や、世界で2番目に高いビルである上海中心などの摩天楼がそびえ立つ。これが上海経済の中心地と言えるだろう。

両岸とも異なる雰囲気を醸し出しており、上海が多様な文化と人々によって形成されたことが見て取れる。

さて、私の体験に戻ろう。-1℃という極寒のなか、30分歩いて到着した先の景色に驚いた。

ほとんど何も見えかったのだ。

時刻は既に23時。ビルの灯りは消え、霧かPM2.5か分からないが、靄がかかっており、期待していた景色がそこには広がっていなかった。飛行機が定刻通りに飛んでいれば見えていたのだろうか。

嘆いても仕方ない。また来ることにしよう。とりあえず写真を撮り、ホテルを目指すことにしたが、ここからが地獄の始まりだったのだ。

靄がかかった上海浦東の夜景、あと2時間早く来れてればなー

不本意な深夜の上海散歩

外灘からホテルまでの距離、車での所要時間はおおよそ10分、地下鉄なら15分とされていた。しかし、タクシーは高額な料金を請求される可能性があり、配車サービスdidiには登録できなかった。また、地下鉄も終電を過ぎてしまっている。結局、歩くしかない状況に追い込まれてしまった。

ここで私らしさが露呈した。他人に助けを求めることなく、自分の力だけで問題を解決しようとする癖だ。これまでそうして何とかやってきたが、今回も例外ではなかった。

初めて訪れた外国で、言葉が通じない23時。気温は摂氏-1℃。こんな状況で1時間も歩かなくてはならないことになった。途中、かろうじて開いていたファミリーマートという店でチーズパンと水を買ってエネルギーを補給した。

厳しい状況と書いたが、私はこういう時こそが一番燃える。逆にこのような状況が楽しいし、乗り越えたら絶対に良い思い出になるとすら思っていた。

歩いていたら急に現れた巨大なイヌ?キツネ?の像、深夜に見たくなかった、こわすぎる

深夜の上海。観光地を抜けると大半が普通の住宅街で、泥酔したおじさんに声をかけられたり、猫が追いかけっこしていたり(中国は狂犬病のリスクがあるため絶対に近づいてはいけない)、信号無視してきたバイクに轢かれそうになったりと、普通に危なかった。

23:40
Baidu Mapによれば、あと15分で到着とのこと。しかし、24時までにチェックインできないとどうなるか分からない。とにかく道を迷わないように、深夜の街を早歩きで駆け抜けることを最優先にした。

23:50
この道を進めば、私のホテルがあるはずだ。急げ急げ。

23:55
最後の最後で道を誤る寸前だった。違うこっちじゃない!

23:58
見つけた!あそこだ!

私はギリギリでホテルを発見した。ホテルは外国人向けではないようで、AlipayかWechat Payのみが利用可能と告げられた。幸いにも両方のアプリを持っていたため、人生初のAlipayを利用することになった。外国人手数料を差し引かれが、なんとか事なきを得た。

結果的には何事もなかったが、本当に危うかった。諦めず、挫けずによくやった。ホテルに到着した瞬間、ベッドに飛び込み、3元(約60円)の水で歓喜の乾杯を上げた。既に24時を回っていた。

深夜の上海散歩、観光地ではあるがほとんど人は歩いていない

2024年1月4日(3日目)

上海リベンジャーズ(単独)

朝5時、室内でアラームが鳴り響き、目を覚ました。昨晩、シンガポール入国の準備を整えた後、エアコンの調子があまり良くなく、3時頃まで寝つけなかった。だが決めていた通り、2時間の睡眠で浦東・外灘へのリベンジに挑むことに決めた。

地下鉄の始発は5:30頃で、ホテルから一番近い駅まで徒歩15分ほど。5時間の滞在でチェックアウトを終え、地下鉄の駅に向かった。気温は-1℃。

再び寒さと眠気に襲われながら、暗い夜道を15分も歩かなければならなかった。なぜ自らこんなしんどいことをするのだろう。自らに問いたい。

早朝の地下鉄を乗り継ぎ、南京東路駅に着いてからは徒歩5分。昨晩と同じ浦東・外灘の景色が広がった。まだ朝6時で薄暗いが、昨日とそれほど変わらない。なぜこんな早く来たのかというと、次のフライトが10:25で2時間前には到着していなければならないためだ。

外灘側は欧米風の建物が並ぶ、手前は旧香港上海銀行上海支店ビル

6時半になると、おじさまおばさま方が爆音で音楽をかけてリボンのダンスを始めた。普通にうるさい。

その横で少しずつ明るくなってきた。陽が昇ってきたのだ。摩天楼群がうっすらと見え始める。あまりにも幻想的な景色、まるで絵を見ているような感覚だった。

のちにこの幻想的な景色を作り出していたのがPM2.5であり、うっすらしていたのは目がやられていた可能性が判明したことは感動をかき消さなかった。いや、やっぱりちょっと薄れたかも(涙)

一番見たかった夜景を見ることはできなかったが、朝焼けの上海はたとえそれが空気汚染の賜物(?)だとしてもしっかり頭と心に刻み込まれた。来てよかった。

そんなこんなで14時間のトランジットを満喫し、マグレブとメトロを乗り継ぎ浦東空港に戻った。次も同じエアチャイナでシンガポールに向かう。

朝5時半、上海の街を染める朝焼けの風景に魅了される

中国を訪れた感想

たった14時間のトランジットで中国を理解することは不可能だが、ショートステイだからこそ気づくこともあった。

まず一つ目は、観光の難易度が高いこと。言語の壁とシステムの壁が大きな課題だ。中国語ができないとまともな観光や買い物が難しく、英語もほぼ通じない。上海などのグローバル都市でもこの状況であり、他の地域ではさらに厳しいかもしれない。

また、AlipayやWeChat Payがないと基本的な生活が難しい。現金やカードが利用できる場所もありますが、QRコード決済で払う前提のお店が多いため、両方を準備しておくことが重要だ。

二つ目は、空気汚染が予想以上に深刻。滞在した半日の間、街はずっと霞んでいた。最初は寒さからくるものだと思ったが、おそらくPM2.5や黄砂の影響だ。医療用の強力なマスクをしていても、たった14時間で目や喉がやられた。

さらに、2024年1月現在ではマイコプラズマ肺炎や新型コロナウイルス、トコジラミの被害が急増しているという情報もあり、常に注意が必要だ。これは入国の可否にも関わるかもしれない。

三つ目は、これらの課題を差し引けば、予想以上の素晴らしい経験が待っているということだ。私の中国のイメージは、歴史ある文化と最先端テクノロジーが共存している場所だった。上海は外灘の歴史的建造物と世界最先端の高層ビルが共存し、監視カメラと自動販売機が数多く存在する特異な光景が広がっている。

また一食分しか堪能できなかったが、ご飯も美味しかった。次に中国へ来る機会があれば、絶品の中華料理を楽しみたい。

もしあなたが中国へ旅行する予定があるなら、以下をおすすめしておく。

  • 1週間ほど前からAlipayかWeChat Payを登録し、有効にしておく

  • 中国語翻訳アプリをインストールする

  • 医療用のマスクを用意する

とても充実した経験ができたし、また訪れてみたいと思うが、時期や宿泊先の選定は慎重に行いたい。

早朝、外灘の景色。租界として大きく発展し、洋館が立ち並ぶ

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