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ADHDとASDを併存する子どもに対する診療評価で重要な22の項目


今回参考にした論文はこちら↓


雑誌名:BMC Medicine
Impact Factor: 9.3


※内容には個人の見解と解釈が含まれます。ご理解の上ごらんください。




ADHDとASDにおける診療の評価について、英国のADHDパートナーシップ(UKAP)が、多領域の専門家を集め、さまざまな視点から会議が行われて、まとめられた結果を以下に示す。



1.アセスメントは複雑さが伴うため、適切な訓練と技能をもつ医療従事者のみが評価を行うべきである。


2.包括的なアセスメントには、何年にもなる対象者の発達と機能に関する詳細な情報が含まれるべきである。両疾患ともに、症状の現れ方は時間経過とともに変化している。


3.診断基準を明確に対応した半構造化臨床面接は、評価者が包括的な発達及び臨床面接を行うための指針として有用である。


※半構造化面接とは…診断の確定や治療効果の研究のために用いる一連の順序だった、決められた質問によって構成された面接のことを構造化面接という。 これに対し、あらかじめ面接の目的や質問をある程度決めておくけれども、状況や相談者の反応によって面接者が自由に質問を変えていくものを半構造化面接といいます。


4.面接の前段階として、小児期の発達に関する健康記録や報告書などを見ること。または、子どもの人生における重要な転機(転居や転校など)について考えてもらうことが有用。


5.評価者は、簡略化したアプローチをとるべきである。ADHDとASDの両方に見られる症状を”ダブルカウント”することは好ましくない。


6.個人の機能がどの程度年齢相応であるかを考慮し、家庭や教育環境において、困難さがどのように機能や発達を妨げているかを確認することが重要。


7.男性に比べ、ADHDの女性は破壊的行動の問題が少なく、ASDの人は知的能力が低い可能性がある。


8.評価者は、アイコンタクトの使い方や遊びの種類など、文化的な問題の潜在的な影響を考慮すべき。


9.可能な限り、保護者や養育者、教師との面談を行うことや学校やその他環境での観察や報告書の熟読など、独立した情報源から付随的な情報を得るべきである。


10.家族は、ADHDまたはASDを持っている可能性があり、それが「典型的な」行動の判断に影響を与える可能性がある。


11.ADHDとASDの両方の症状は、様々な要因により臨床的な判断を不明確にするかもしれない。例えば、家庭内で症状への配慮がなされていたり、社会的コミュニケーションや相互作用における障害を最小するために代償的な戦略を用いている場面、特定の状況や短期間の困難さを隠すためのスキルを発達させているかもしれない。


12.ADHDとASDには高い確率で併存している可能性があり、アセスメントでは併存する病的な障害があるかどうかを確認する必要がある。ASDの初診を受けた幼児は、この2つの疾患の平均診断年齢が異なっていることを考慮すると、ADHDの発達を継続的に観察すべきである。
→遅れて、ADHDの診断に該当するかもしれない。


13.機能不全の評価とともに、リスク評価を含めるべきである。例えば、若者や成人の場合、社会的不安や気分の落ち込みに対処するためのアルコールや薬物の乱用などがそれに該当する。


14.重度の障害を持ち、実質的な支援を必要とする成人のASD患者には、能力のアセスメントが必要である。


15.評価尺度は診断のための道具ではなく、診断を助けて臨床経過をモニターするための物である。スクリーニングに使用される場合、ボーダーラインスコア(カットオフ値をわずかに下回るスコア)を受けた人は、包括的な臨床診断評価への紹介から除外するべきではない。


16.多くのスクリーニングツールの規範は、主に男性のサンプルに基づくことが多く、女性への使用は不利になる可能性がある。


17.気分状態の視覚的表現や視覚的尺度などの報告ツールは、評価者が自分の考えのもと、感覚を特定したり記述することが困難な対象者から主観的情報を得ることを容易にするものである。


18.神経心理学的検査を含む観察的評価は診断的なものではない。対象者の機能に対して有用な情報を提供することで、臨床的意思決定を補強するものである。


19.知的評価は、適応機能の評価とともに常に考慮されるべきであり、その実施には低い閾値が適用される。


20.知的評価は、就学中または進学中の子どもにとって、認知の長所と短所を判断し、治療目標を設定し、適切な教育的介入を目標とするために有用である。


21. 両疾患(ADHD・ASD)とも、言語能力、パフォーマンス能力、ワーキングメモリー、処理速度にばらつきがあり、得意不得意がはっきりしている。


22.評価結果には、診断的定式化だけでなく、保護因子、素因因子、誘発因子、永続化因子を含む病因論的定式化も含まれるべきである。また、異なる養育者間で一貫したアプローチを提供することを目的とした、積極的行動支援計画も含まれるべきである。ケアプランは、必要に応じてすべての関係者と共有されるべきである(同意があれば教育機関を含む)。



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