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【観劇レポ】ロンドン ミュージカル 『Mary Poppins』

ロンドン留学中の女子大生です🇬🇧

今回はミュージカル『Mary Poppins』を観劇🌂
今月 (2023年1月8日) に一旦千穐楽を迎えるので滑り込みです。
ディズニーとマッキントッシュさんにより繰り広げられる夢と魔法の世界を、記憶が褪せないうちに記録💭



演目『Mary Poppins』 について

誰しもが1度は耳にしたことがあるであろう作品、『Mary Poppins』。
1900年代に P.L.Travers によって描かれたお話で、小説や映画、ミュージカルと、様々な形で今も多くの人々に愛されています。
ミュージカルは2004年にイギリスで初演を迎え、その後ブロードウェイやウエストエンド、東京等で何度も上演されています。ストーリーは小説や映画と若干違うみたいです。


劇場について

Prince Edward Theatre は、レミゼの Sondheim Theatre 等が並ぶ劇場街からは少し外れたところにあります。劇場の外にある大きな電光掲示板の光るポスターが印象的で、近くを通る度に目が引かれます。
周囲にはパブ等が並び、夜でも明るく賑やかな一帯です。


100年弱の歴史を持つ劇場で、Miss SaigonやJersey Boys、Mamma Mia! 等の豪華な作品たちが上演されてきたようです。

ロンドンではよくある形ですが、エントランスを入ってすぐのロビーは小さめです。もぎりの時点で席によって順路が指示され、その方向に進むと、お化粧室やバーがあります。基本的にバーが物販も兼ねていますが、プログラムのみであれば、客席内で案内係さんから購入可能です。便利ですよね。

内装は、劇場の歴史を反映するように豪華で美しく、客席内も赤を基調とした煌びやかな印象です。ザ・ウエストエンドの劇場、という感じで、これまで訪れた数々の劇場の中でも特に好きな内装でした✨
客席は3階まであり、私は3階2列目の下手側でした。見下ろす形にはなりますが、お値段の割に見切れもなく見やすかったです。
クリスマス休暇の時期だからかもしれませんが、作品柄、夜公演であるにも関わらず子供連れの方が多かったです。

客席内装 3階2列目下手側より


感想 (ネタバレ含む)

さすがディズニー、まさにentertaining=観客を楽しませることを第一とした、完成されたショーでした。
'Chim Chim Cher-ee' や 'Supercalifragilisticexpialdocious' を初めとする耳に残るコミカルでポップな音楽と、その雰囲気づくりの一端を担う、カラフルで華やかで可愛らしいダンスやセット、衣装。人物の感情を歌う歌が少なく、日常の一部を切り取って豪華に演出したような、観客のための音楽が多い。すごく「ショー」という言葉がしっくり来ます。
かと言って、深みがなかったり子供っぽかったりする訳ではなく、繊細に丁寧に描かれる世界観の質の高さがプロフェッショナルで、単純に楽しむことができる。嫌なことがあったときや心が重いとき、多忙な現実に疲れたときに浸って癒されるような、良い意味で頭を使わずに観れるミュージカルです。

Mary Poppins という女性の魅力が詰まった作品。
一挙手一投足から溢れ出る丁寧さと余裕、隙のない完璧な女性でありながら、触れられないほどのピリピリした厳格さはない。自分に自信はあっても、自己顕示欲は強くなく謙虚で、女性の鏡ですね。
特に、Mary役の女優さんがとっても美人さんで見惚れました…
その魅力が衣装にも表れています。Maryの象徴にもなっているかと思いますが、ウエストが詰まってスカートがふわっとしたシルエットがすっごく綺麗ですよね。特に、登場シーンで着ていた黒のロングコートの、脱いだ時に見える青の裏地が高級感を増していて好きです。明るいシーンでは華やかな色の服を着ているのも素敵でした。Maryのワードローブ見たいです切実に。

また、本作の魅力の1つが、ワイヤー演出。
Maryが傘を持って飛んで行くシーンや、2幕でBertが舞台の縁 (プロセニアムアーチ) を上下左右1周するシーン等、ワイヤーを使った演出が多くあります。特に、Maryが舞台上から客席の上を通って客席の下手後方に消えるラストシーンが印象的です。Maryが捌ける箇所が私の席の目の前だったので、特に^^
本作、たっくさんの魔法が出てきます。小さな鞄の中から大きい家具が出てきたり、像が動いたり、物が勝手に元の位置に戻ったり。けれど、その中でも特に「空を飛ぶ」って、子供も大人も憧れる能力な気がします。それを舞台上で可憐に実現する様子が、観ていてわくわくしました。

他にも、家の中を、家具や壁を置いて再現するのではなく、家自体の大枠から、ちゃんとした箱で作られているのも凝っていて好きです。
子供部屋も三角屋根とセットで可愛いです。
これらのセットは基本、日本で上演されたものと同じです。

さらに、Maryからも、Maryが仕えるBanks一家からも、清楚でリッチで高貴な印象を受けるのですが、それにイギリス英語の響きがぴったりなんですよね。こんなにイギリス英語とマッチする作品があるのか…!と感動でした。

この作品って、Maryの繰り広げる非現実的な魔法の世界と、様々な問題や悩みを抱えるBanks夫妻の現実的な世界という2つの側面が描かれていると思うんですけど、それらを結ぶ橋の役割をしているのがBertです。
なぜかMaryと自然に親しく、公園の像が動き始める時も、Maryが傘と共に空に飛んで行く時も、サポートをするように近くで見守っている。かといって本人が不思議な力を持つわけではなく(前述の舞台の縁を一周するのは除いて、ですが)、子供たちに気さくに話しかけたり、お父さんに気づきを与えたり、親しみやすく身近に感じやすい。
一見高貴なMaryとやんちゃなBertは不自然なペアに見えますが、2人の関係性をよく見るとお互いを信頼・尊敬していることがわかるので、とってもお似合いな気がします。BertがMaryをエスコートする様子が微笑ましい。推せるカップルです。なので、ラストシーンでMaryがBanks家のみならずBertにもお別れを告げたのには「Bertも一緒にMaryの次の地へ行けばいいのに…」と思いました。まあ、Maryの登場で物語が始まり非日常が展開され、去って行くことで日常に戻って物語が終わる、という形は綺麗ですよね。

Banks家の子供たちはお人形さんのように可愛かったです。子供の持つ素直さや純粋さを持ちつつも、Maryの言うことをまずは疑ってかかるところ等、結構現実主義で大人びている一面も。
2人の歌唱力は他の大人のキャストさんに決して劣らず、子役さんも本場はクオリティが高いんだなあ…と実感しました。子役沢山のミュージカル『Matilda』も見たいミュージカルリストに追加です^^

日本で数年前に『Mary Poppins』を観劇した際に、バード・ウーマンを島田歌穂さんが演られていたのが印象的だったのですが、ロンドンの本作でも、同役は経験豊富な女優さんが演られていました。圧巻の歌唱力と威厳で歌い上げる ’Feed the Birds’ 、曲後の、舞台上の時が一瞬止まったかのような盛大な拍手、これも見どころですよね。


総じて

所謂大作として挙げられるレミゼ等はすごく考えさせられる得るものの多いミュージカルですが、その分ストーリーが重かったり観劇後に疲労感を感じたりするので(笑)、本作のような無条件で幸せな気持ちになれる作品を挟んでバランスを取るのが大事ですね。
ロンドンにはディズニーリゾートのような「夢の世界」みたいなテーマパークがないのですが、代わりに毎日毎晩劇場の舞台の上で「夢の世界」が繰り広げられているんだなあ、と思います。
「明るくて華やかでキラキラする舞台 〜最高レベルのクオリティの歌・ダンスと共に〜」最高に楽しかったです!



※見出し画像は『Cameron Mackintosh』公式HPより


作品情報

Date: 23 December 2022 7:30 PM
Venue: Prince Edward Theatre
Cast: 
   Mary Poppins - Zizi Strallen
   Bert - Charlie Stemp
   Bird Woman - Petula Clark
   George Banks - Charlie Anson
   Winifred Banks - Francesca Lara Gordon
Creatives
   Presented by Cameron Mackintosh and Disney
   Book by Julian Fellowes
   Original Music and Lyrics by Richard M. Sherman & Robert B. Sherman
   New Songs and Additional Music and Lyrics by George Stiles & Anthony Drewe
   Directed by Richard Eyre

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