無職のノート

東大卒。6月17日から無職に。次の仕事が見つかる日まで、日々感じたことを書いていきます。

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東大卒。6月17日から無職に。次の仕事が見つかる日まで、日々感じたことを書いていきます。

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東大卒がとりあえず無職になってみた ♯1日目

 今日は、いつもの時間に起きなかった。いつもの電車にも乗らなかった。いつもの朝のメールチェックも、くだらない会議も、同僚とのランチも、上司の小言も、1日を終えた充実感も疲れも、今日は何もなかった。  東大法学部を卒業し、大手に就職した自分。就職して8年が経ち、中堅社員となり、部下も一丁前に抱えるようになった。会社の大半の人からは(ある程度)優秀な人間として見られ、様々な仕事をそれなりに任せてもらっていた。ただ、ある1人の上司とだけ、全く反りが合わなかった。  それが自分の

    • 変な先輩と無職 ♯36日目

       前にも書いたとおり、自分は東大を卒業している。ひとたび同窓会を開催すれば、大企業の社員、官僚、医者、弁護士・・・立派な肩書を背負った人々が集まる。  その一方で、自ら起業をした者やベンチャー企業で活躍する者なども、少数派として一定数存在する。東大生はビジネスの世界で(特に起業の世界で)成功者が少ないということがよく言われるけれど、黙って就職すればそれまで積み上げてきたものを基に、大企業や士業の世界に行けるのであるから、それを捨てて起業するということにリスクが伴うからしない

      • 居酒屋と無職 ♯35日目

         一昨日の金曜日は、海外駐在時代に一緒に仕事をしていた人たちとの飲み会だった。  当時からそれぞれが大なり小なり変わっていたが、最も大きく変わっていたのは、間違いなく自分だった。自分が退職したことは、みんな知っていて、どうして…というような反応と、すぐにいい職場が見つかるよという無職の人にとりあえず投げかけておけば安全であろう言葉を一通り受け取った。  仕事をする者にとって、明日を気にする必要のない金曜日は、飲み会をセットする上で、最も有力な曜日である。しかし、もはや仕事

        • 就活生と無職 #34日目

           25日目のnoteにも書いたが、先週の木曜日、一念発起して転職サイトに登録してみた。それ以来、様々な企業を紹介するメールの嵐で、僕のGmailの受信Boxは多忙を極めているようだ。  自分がいざ転職活動のスタートラインに立ってみて、退職の意向を人事に告げる1か月前の出来事をふと思い出した。  僕が会社をやめようと思っていることを知らない人事は、僕に対して、海外駐在に関心がある有望な学生がいるから、お茶でもしながら色々話をしてほしいと依頼してきた。そのタイミングでは「実は

        • 固定された記事

        東大卒がとりあえず無職になってみた ♯1日目

          公園と鳩と無職 #33日目

           無職になってからずっとやりたいと思っていたことがあった。  それは、平日の昼しかやってないお店に行くとか、昼間からお酒を飲むとか、そういった類のことではなく、平日の昼間に公園に行き、ベンチで物思いに耽りながら、鳩に餌をあげる、ということである。  理由は明白で、ザ・無職感を感じれるのではないかと考えたから。ドラマや漫画の世界では、無職になると、決まって公園に行き、鳩に餌をやる。  これをやったからといって、世界は何も変わらない。けれど、今の間でしか経験できないことでは

          公園と鳩と無職 #33日目

          築地と無職 ♯32日目

          今日は久しぶりに築地に行ってみた。 大学生の頃に当時の彼女と行ったのが、最後の築地の記憶。 それ以降は、市場が豊洲に移転されたこともあって、たまに来客があって都内の観光地を案内する時には、豊洲に連れていくようになっていた。 かつての活気は失われてるのだろうと思いながら、地下鉄の駅を出ると、今でも多くの寿司屋や飲食店が軒を連ねていて、何も知らない外国人に、ここには市場があるのだと伝えてもきっと信じるだろうと感じた。 魅力的な寿司屋からの誘惑を何とか退けつつ、予約をしてお

          築地と無職 ♯32日目

          半身浴と無職 #31日目

           仕事をしている時の毎日の風呂は、シャワーで済ましてした。どうしても帰宅時間が遅かったので、お湯を溜めてゆっくり浸かる、というよりも、さっさと浴びて、少しでも睡眠時間を確保したかったのである。  髪を乾かす余力を残されていなくて、びしゃびしゃのまま寝てしまうことも多々あった。  今は時間が有り余ってるし、せっかくだから、毎日お風呂に浸かるようにしている。一方で、一人暮らしなので、すぐに出てしまえば、何だかお湯がもったない気がして、(結果として)Kindleを読みながら1時

          半身浴と無職 #31日目

          三連休と無職 ♯30日目

           昨日は海の日。多くの人にとって、海の日は、本来の「海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う」という意味合いよりも、貴重な休日になるという、機能面での意味合いの方が大きいだろう。  そんな海の日のおかげで、この週末はいわゆる3連休であったけれど、かつての上司が、3連休は2度美味しいと言っていたことを、なぜだか思い出した。  それは、休みが1日増えるだけでなく、労働日が1日減るから、2つの側面でうれしく感じるという趣旨のロジックだったと記憶している。当時は、独自の理論を力説

          三連休と無職 ♯30日目

          無職になってから1ヶ月 ♯29日目

           今日で、退職してから1ヶ月になる。あっという間という気もするけど、実はいつも通りの1ヶ月だったような気もする。  この1ヶ月、とりあえず毎日投稿することを目標に続けてきたけれど、最初は何気なく始めたことが、自分の中で習慣に変わりつつあることを、少し他人事みたいな感じで興味深く捉えている。  自分が日々感じたことを、徒然なるままに書いたものには、社会的に何の価値もないであろうから、単なるデスクトップの日記としておくか、あえてインターネットの海に流すかは、最初少し悩んだのだ

          無職になってから1ヶ月 ♯29日目

          トイレの砂と無職 ♯28日目

             猫は今日ものんびり元気に暮らしてくれている。今も、僕の布団の真ん中に鎮座して、気持ちよさそうに昼寝している。  人間が暮らしていく上で重要なものはたくさんあるけれど、猫にとって重要なものは結構限られていて、うちだと、自動給餌器、水飲み機、キャトタワー、遊び道具、餌、トイレ(砂を含む)くらいである。  このうち、トイレ砂については、(体内に入る餌や水と違って)あまりこだわってこなかったけど、限られているからこそ、一つ一つの必需品ににこだわってあげた方がよいのではないか

          トイレの砂と無職 ♯28日目

          大阪と無職 ♯27日目

           昔から新幹線で飲むお酒が大好きだった。もともと1人でも晩酌する程度には酒を飲むのが好きではあるが、新幹線で駅弁を突きながら、飲む缶ビールや酎ハイは格別である。  仕事を辞めると、当然出張もなくなるし、負い目からか、どこかに遠出をしようとすると気も生まれて来ず、生活圏内の移動に留まっていた。  とはいえ、閉塞した日常から一時的に抜け出すために、旅行があるのかもしれないし、(閉塞の意味が違う気もするけど)無職にだって「非日常」を味わう時間が必要なはずだ。そして、無職であって

          大阪と無職 ♯27日目

          両親と無職 ♯26日目

           両親に仕事を辞めることを告げた日のこと。  電話で話す勇気もなく、ラインでメッセージを送った。自分で言うのも何だけど、今まで親の期待通りに生きてきたと思っている。高校まで地元にいて、東大に入り、そして、ちゃんと就職もした。  レールが敷かれた人生、という陳腐な言い方があるけど、本当に自分の目の前には、定年まで続くレールが見えていた。そして、親もそんな確実な人生設計を子どもが歩んでいることに安心していたと思う。  きっと怒られるだろうと思っていた。でも、両親は、早く仕事

          両親と無職 ♯26日目

          転職サイトと無職 ♯25日目

           仕事をやめてから、1か月近くが経とうとしている。この間、いわゆる転職活動は何一つしてこなかった。ハローワークに行くことも、転職サイトに登録することも。  他方で、こうした生活を続けていても、貯金は減っていくばかりであるから、転職活動を始めてみようかと考えるに至った。何より、社会の構成員としての責務を果たしていないような感覚が強く、自責の念が堪えないというのが大きい。  とりあえず、大手の転職サイトに登録してみた。テレビCMやSNSの広告で、自分には縁にないのだろうと思っ

          転職サイトと無職 ♯25日目

          定期券と無職 ♯24日目

           今日、電車の定期券が切れた。数日前から、改札でかざすたびに、有効期限が迫っていることが表示されていた。  これまで、定期は切れれば更新するものだった。だから、ただただ有効期限が過ぎゆくのを見守るのは社会人になって初めてかもしれない。  何の気なしに使っていた定期券。でも、それは毎日行く宛を持っているものにのみ持つことを許された証明書だったのかもしれない。  今の自分には、自分を、そして、自分の居場所を証明できるものがどれだけあるだろうか。マイナンバーは他の人と同様に付

          定期券と無職 ♯24日目

          展覧会の絵と無職 ♯23日目

           大学受験の勉強のお供は、クラシック音楽であった。昔、地元の本屋のレジの近くに、一枚100円のクラシックのCDが売られていて、圧倒的なお得感とクラシック音楽という高尚な響きに引かれ、有名な作曲家のCDをせっせと購入しては、よく聴いていた。  仕事をしていた頃は、毎朝せわしい朝を迎えていたが、今は、コーヒーを飲みながら、クラシックやジャズを聴くという、優雅な朝の時間を過ごしている。世間から隔離した生活を少しでも味わって、厳しい現実から目を背けておきたいという甘えからか、心身が

          展覧会の絵と無職 ♯23日目

          都知事選と無職 ♯22日目

           昨日、7月7日は、七夕である。物理的なプレゼントが用意されている、クリスマスやお正月、誕生日と異なって、七夕は単に天にお願いをする機会を与えられるのみであって、祈りの結果までを保証するものではなかったので、子供ながらにして、イベントとしての位置付けは、どうしても重要度の低いものになっていた。  しかし、今年の7月7日は、彦星と織姫の頃には存在していなかった、東京都知事選の投票日でもあった。無職でも平等に与えられる選挙権を行使すべく、自治体から案内のあった近所の投票所に行っ

          都知事選と無職 ♯22日目