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居酒屋と無職 ♯35日目


 一昨日の金曜日は、海外駐在時代に一緒に仕事をしていた人たちとの飲み会だった。


 当時からそれぞれが大なり小なり変わっていたが、最も大きく変わっていたのは、間違いなく自分だった。自分が退職したことは、みんな知っていて、どうして…というような反応と、すぐにいい職場が見つかるよという無職の人にとりあえず投げかけておけば安全であろう言葉を一通り受け取った。


 仕事をする者にとって、明日を気にする必要のない金曜日は、飲み会をセットする上で、最も有力な曜日である。しかし、もはや仕事を失った僕にとって、何曜日に飲み会があるかは、大した意味を持たない。飲み会の参加者も含め、店内を満たす人々の顔は、1週間を戦い抜いた疲れを湛えていたが、それが何かネガティブなものには映らなくて、自分もこんな表情して、同僚たちと酒を飲めていたのだろうか、と当時のことで盛り上がる会話をよそに考えていた。


 今まで飲み会を担ってきた金曜日に、今後何か新しい役割を与えてあげられるだろうか。曜日感覚を失わないように、海軍は金曜日にカレーを食べていたと聞いたことがあるけれど、そんな些細なことでもいいのかもしれない。


 金曜日の意味について考える日曜日の午前である。

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