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築地と無職 ♯32日目


今日は久しぶりに築地に行ってみた。


大学生の頃に当時の彼女と行ったのが、最後の築地の記憶。


それ以降は、市場が豊洲に移転されたこともあって、たまに来客があって都内の観光地を案内する時には、豊洲に連れていくようになっていた。


かつての活気は失われてるのだろうと思いながら、地下鉄の駅を出ると、今でも多くの寿司屋や飲食店が軒を連ねていて、何も知らない外国人に、ここには市場があるのだと伝えてもきっと信じるだろうと感じた。


魅力的な寿司屋からの誘惑を何とか退けつつ、予約をしておいた、魚料理の店に入った。用意されていたカウンターの席に座って、とりあえずビールで喉を潤す。メニューとにらめっこをしながら、頭の中では、日本酒のあて選手権をすぐに開催する。早々に勝ち上がりを決めた、ヒラメの刺身と生牡蠣、石川県の手取川を頼む。


手取川のおかわりが注文されるたびに、メニュー上の一品たちが、敗者復活戦開催への期待を高め、自分の名前がオーダーされる瞬間を待ち侘びている。飲みはこれからだから、落ち着くようにと伝えつつ、敗者復活戦の開催を高らかに告げる。そして、厳正な審査を経て、ノドグロの塩焼きと炙り明太子が選ばれた。

気づけば日本酒は、6合空いていた。酔いも少し回ってきたし、お腹も十分膨れてきたというところで、会計をしようかなと思ったが、隣の客が頼んだ、だし巻き卵があまりに美味しそうだったので、さらなる敗者復活戦の開催を検討することになった。ここは、審判が、一人で来ているんだから食べ切れないでしょうと、冷静なジャッジを下し、断念。こういう時に独り身は不利だなと、食事とは異なる観点からの学びを得ることとなった。


海外にいた頃は、少し無理して高い日本酒をわざわざ買って飲むこともあったな、とか、日本に一時帰国した際に大量に日本酒を買って帰ったら、スーツケースの中で一本割れてて悲惨な状態になったな、とか、どうでもないことを思い出しながら、1時間近く歩いて帰った。

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