転職サイトと無職 ♯25日目

　仕事をやめてから、１か月近くが経とうとしている。この間、いわゆる転職活動は何一つしてこなかった。ハローワークに行くことも、転職サイトに登録することも。

　他方で、こうした生活を続けていても、貯金は減っていくばかりであるから、転職活動を始めてみようかと考えるに至った。何より、社会の構成員としての責務を果たしていないような感覚が強く、自責の念が堪えないというのが大きい。

　とりあえず、大手の転職サイトに登録してみた。テレビCMやSNSの広告で、自分には縁にないのだろうと思ってみていた企業が、急に頼もしく感じてくるから不思議なものである。

　退職して１か月が経とうとしている自分であるが、東大卒で、大きな組織で働いていたという経歴が手伝ってか、名だたる大企業からの求人案内や、輝かしい経歴を持つ人材コンサルタントからのスカウトがどんどん届く。

　自分は社会にまだ必要とされているのではないかという、久々に覚える感覚に嬉しくなる気持ちと、大企業に転職したとしても、またストレスに耐えられなくなってしまうのではないか、どこかで投げ出してしまうのではないかという、（まだ採用されたわけでもないので杞憂中の杞憂でしかないのだけど）不安が先立ち、パソコンを思わず閉じる。

　まだ少し転職に思いを向けるのが早かったのかもしれない。自分の性格上、どこかできっと焦りだす瞬間が来るであろうから、その時まで、大量に届く求人案内メールとゆるい付き合いをしていこうかと思う。