見出し画像

定期券と無職 ♯24日目


 今日、電車の定期券が切れた。数日前から、改札でかざすたびに、有効期限が迫っていることが表示されていた。

 これまで、定期は切れれば更新するものだった。だから、ただただ有効期限が過ぎゆくのを見守るのは社会人になって初めてかもしれない。

 何の気なしに使っていた定期券。でも、それは毎日行く宛を持っているものにのみ持つことを許された証明書だったのかもしれない。

 今の自分には、自分を、そして、自分の居場所を証明できるものがどれだけあるだろうか。マイナンバーは他の人と同様に付番されている。日本の居住者として認めてもらっている証なんだと思うと、無機質な12桁の数字が、神からの信託のように価値あるものに思えてきた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?