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安藤むるめ
2020年7月17日 23:23
■進路[読]しんろ進む路[例文]理学療法士になりたいと両親に告げて浪人生活の許しを得た。その間、キャバクラでアルバイトをした。成り行きでそうなっただけだが、ここで私が学んだのは、一時の決意がいかに脆く崩れやすい光であるか、ということだった。その一年の間、母は人生の標識を指差しながら仕切りに勉強しろと私に言ったが、試験対策という名前の勉強に私が励んだのは、最初の4ヶ月程度だ
2020年7月14日 22:39
■若者[読]わかもの若い者は[例文]灯りの乏しい県道を北に進み、遠くに見える山が近くなってきたなと気がついたところにキャバクラがあった。元々カラオケボックスだった店は頑丈そうなモルタル造りの平屋で、屋根だけがピンクに塗り替えられていた。その屋根と入り口に提げられた下劣な電飾がいかにもいかがわしく明滅していて、県道を走る車がその光に吸い寄せられて右折し、敷地に入ってくる。車
2020年2月9日 14:02
■旅路[読]たびじ旅してきた路[例文]病気になって、生き方を変えることになった。ほとんど中古車みたいにクタクタになった私が飛び込んだ新しい街には、みたことのない絵や、聞いたことのない話、嗅いだことのない体温を教えてくれた人がいた。当時の私は、この人こそが自分のここまでの人生とこれからの人生とを結びつける環になってくれた人だと気付いていなかった。しばらくして新古車くらいに快復し
2020年2月3日 08:46
■行進[読]こうしん行くさきに進む[例文]母親たちは均質化の象徴みたいに皆同じ髪型で、よく似た化粧をしていて、昼間はtvの整形番組と韓流ドラマに夢中だった。行く先は同じだったので、どの道に進もうと構わないと思っていた。でもどうせなら綺麗なままで、感情を揺らして生きていたかった。自分が物語の脇役であるのを受け入れてからも。