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RTD(Ready To Drink)というお酒をご存知ですか?アメリカをはじめ世界で人気のRTDは、日本の缶酎ハイのことなんです!

こんにちは、缶チューハイのマーケティング担当だったDJムッチーです。

アメリカをはじめ世界で人気のRTD(Ready To Drink)は、日本発祥の缶酎ハイのことなんです。缶入りでプルトップを引けばすぐ飲めるということから、Ready To Drinkって呼ばれてるらしいのです。

実は僕は、日本最初の缶チューハイのマーケティングに新入社員の時から参加させてもらったんです。
商品企画では、フレーバー選びがかなり難航しました。当時の技術では、お店のチューハイ(サワー)の味がイマイチ再現出来なかったのです。
レモン味は少し苦めになりますし、プラムはウメとは言い難い味になってしまいます。案外簡単だったのが、そもそも苦味のあるグレープフルーツ味。
(今でも、レモン味には各社苦労していますよね・・薬っぽくなるので)
試作を重ねては感度分析を繰り返し、何とかOKが出たのが発表直前。同時進行してたパッケージデザインは、グラフィックデザインの巨匠にお願いしてコンセプトにマッチした意匠をいただき上司は納得するも、社内お偉い爺さんたちが二の足を踏むので、上司は調整に翻弄。僕は、何枚もの企画書をつくりました。

初代缶チューハイ 松永 真デザイン

そんなある日、会社直営の居酒屋のカウンターで、ふてくされて一人でチビチビ吞みながら考え込んでいると、隣に身なりの良いお爺さんが座られて「仕事に失敗したんか?」と関西弁で話しかけられました。
仕事に失敗したように見えるのかなと少し反省しながらも、知らない人だからいいかと思い、パッケージデザインの話をかくかくしかじか、したところ大笑いされてしまいました。
なにがおかしいのか良く分らないので、笑ったことを非難すると、笑ったお詫びにとご馳走してもらいました。

そして数日後の役員会議で、あれだけてこずったパッケージデザインは、巨匠の案ですんなり承認されたのです。
結果を聞いた上司は、嬉しそうに部全員に知らせてくれた後、「うちにも、おもろい若い社員がおるな・・・と会長がおっしゃってたらしいけど、心当たりがあるものいるか?」と聞かれたのです。
もちろん僕には心当たりはなかったので黙っていました。後で分かったことですが、実は大笑いしたお爺さんは、会長さんだったのです。
当時はまだ新入社員で、入社式で訓示された社長や副社長は知っていても、会長さんの顔は会社案内でしか見たことが無かったんです。
ドラマみたいな話ですが、本当のお話で、それ以来ちょくちょく会長とお話ができる機会ができました。
僕がプロデュースした日本酒が、CMソングだけが有名になって商品がさっぱり売れなかった時は、お爺さんかと思うほどの剣幕で叱られたのを憶えています。

発売まで紆余曲折した缶チューハイは、販売と同時に大ヒットして、その年の日経新聞ヒット商品番付の横綱になりました。
また、CICマーケティング国際賞もいただきました。
ヒットに伴って、製造ラインは24時間稼働を余儀なくされ、営業部門も深夜までの残業の連続になってしまいました。
そんな思い入れのある、缶チューハイが発売から40年後にアメリカでブームが来てることは、とても嬉しい話です。

世界で急成長するRTD

RTDは、小売金額ベースでみて、2018年と2023年を比べると2.2倍余りの伸びで、このうちアメリカは3.3倍以上に伸びています。この間の年平均の成長率も18%で、アルコール飲料のなかでかなり高い成長分野となっていて、注目されています。世界のRTD市場の拡大をリードしているのがアメリカです。

NHKさんが7月下旬の週末、ニューヨーク州にあるビーチリゾート、ロングアイランドにあるレストランバーを取材しています。
そのお店で多くの若者たちが手にしていたのはアメリカブランドの缶チューハイです。友人たちで集まって時にダンスしながら会話を楽しみ、おおいに盛り上がっていました。

アメリカ人には、ライトな飲み物なんでしょう

人気の秘密は、健康志向の高まり、さまざまな味、手ごろな価格、この3つの要因があげられます。
<健康志向>
アメリカでも消費者のあいだで健康志向が高まり、低アルコール化が進んでいます。専門家に聞くとワインやカクテルよりもアルコール度数が低く、低カロリーや低糖をうたった商品は若い世代でも人気だといいます。

<さまざまな味>
いろんなフルーツを使って新しい味が楽しめるのは新しいモノ好きな若い消費者の心をとらえやすいという利点があります。
パッケージデザインも慣習にとらわれず、斬新なものを取り入れやすく、SNSで映える点も若者受けしやすいそうです。
デザインの専門家はRTDのことを英語でinstagrammable(インスタグラムを使った造語)だと指摘、これは日本語のいわゆる「SNSで映える」にあたる言葉です。

<手ごろな価格>
さらに価格が安いというのは大きなポイントです。
アメリカでは2021年から始まったインフレで、消費者は物価高に苦しめられてきました。少しでも安い商品を手にしたいという人が多く、RTDはその点でも強みを発揮しています。
ここは、日本と同じですね、こちらはデフレで安いものが人気です(笑)

やはり缶チューハイは安い・・日本とよく似たお値段ですね

日本も手をこまねいていない

成長するアメリカ市場には日本の飲料メーカーも参入しています。
サントリーさん、2024年2月から本格的に現地で缶チューハイの販売を始めたそうです。果物を瞬間凍結することで、果実感を強く出して、自然な甘みをいかしているのが特徴です。
日本ではじめて缶チューハイを販売したメーカーが一番にアメリカ進出していないのが、何とも悲しい気がします。アメリカには現地法人があるはずなんですけどね・・・・

アメリカで販売するサントリーの缶チューハイ タコハイブランドじゃないんですね

お酒メーカー時代のお話は、またいつかさせていただきますね。
新入社員時代から、みっちりマーケティングを叩き込んで貰ったので、モノを作ったり、売ったりしたことのない人が語るマーケティングの弱みが良く分ります。

それでは、今日はこの辺で失礼します。

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じゃあまたこの次
DJムッチーでした。

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