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きょうから実践できる「科学的評価」の極意―このマガジンを読むとあなたの「人材観」が変わる!Vol.1(1/2)

1.はじめに

優れた経営戦略を立てたとしても、その実行者がいなければ、企業は生き残れません。経営者の悩みは、戦略の実行とそれを実行する人材に関するものです。グローバル化が急激に加速し、市場がめまぐるしく変化する中、優秀な人材の獲得は企業にとって今まで以上に重要な課題となっています。

採用ミスは企業の経営を直接的に圧迫します。企業と人材のミスマッチは優秀な人材の流出と余剰人員の増加を招き、これらはそのまま、財産であるノウハウの流出と不採算部門の拡大に直結します。採用担当者は常にこのリスクを負って、人材の見極めにあたっているのです。

厚生労働省の調査によれば、新卒で入社した社員のうち、約3割が3年以内に離職していることが明らかになっています。この傾向は20年間改善されないまま現在に至っており、依然として多くの企業が自社にフィットする人材を採用できていない現実を浮き彫りにしています。


しかしながら現状、大半の企業は採用ミスを回避する具体的な手段を持っていません。採用の現場では、面接官の経験や直感に頼った選考が行われており、評価基準は極めて曖味です。

自社の求める人材像すら明確にできていない企業も多くあります。ビジネスも顧客も市場も今まで以上に変化している中、企業の行く末を大きく左右する人材の獲得においても、その方法に変化が求められているのです。

今日の「急速なグローバル化」と「ミレニアル世代の台頭」は、採用をますます困難にしています。

グローバル化にともなって、外国人採用が確実に進んでいますが、様々な社会的背景や多様な文化・価値観を持つ人たちの中から、企業は組織と仕事にフィットする人材かを見極めなければなりません。

また、幼い頃からインターネット環境に親しんでいる「ミレニアル世代」は、対面での会話に積極的でなくとも、SNS等を介して幅広く強力な人脈を築く力を持っています。人柄や印象を重視して行われる従来の面接では、彼らの能力を発見できません。

このような状況下で、面接で入社後に活躍する人材を正確に見極め、企業の競争力を高めることは不可能なのでしようか。

私の所属するマネジメントサービスセンターでは、世界最大規模のタレントマネジメント・エキスパートであるDDI(Development Dimensions  International)社と1973年より提携し、過去50年以上、延べ100万社以上の企業の人材の見極めと育成に関わってきました。中でも、 1970年にDDI社が開発した採用システムであるターゲット・セレクションは、世界中で最も広く用いられているコンピテンシーインタビュー(コンピテンシー面接)を用いた行動面接の採用システムです。私は採用プロセスのコンサルテーションに携わり、企業が抱える多種多様の課題を解決してきました。

こうした経験から私が強く確信していることは、採用システムを抜本的に見直すことで、企業は、「組織」と 「仕事」にフィットする人材を、高い精度で獲得できるということです。 コンピテンシーインタビューとは、これまでの体験についての具体的な行動に関する情報を判断材料として集め、その情報をもとに評価・選考を行う面接技法です。

本マガジンでは、採用担当者と応募者が最も密な接点をもつ面接において、「コンピテンシー面接」を導入する方法を具体的に解説していきます。

このマガジンが、優れた人材を獲得し、企業の競争力強化の一助となれば、喜びはありません。

【著者プロフィール】 伊東 朋子
株式会社マネジメントサービスセンター 執行役員 DDI事業部事業部長。国内企業および国際企業の人材コンサルティングに従事。

お茶の水女子大学理学部卒業後、デュポンジャパン株式会社を経て、1988年より株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)。

人材採用のためのシステム設計、コンピテンシーモデルの設計、アセスメントテクノロジーを用いたハイポテンシャル人材の特定およびリーダー人材の能力開発プログラムの設計を行い、リーダーシップパイプラインの強化に取り組む。
(※掲載されていたものは当時の情報です)

2.「企業カ=人材力」

「組織の強さはヒトです」

組織(あるいは企業、経営)は人材の良し悪しによって決まるー企業のトップをはじめ組織で働く人たちは、 一様にそういいます。経営者や人事担当者はもちろんのこと、管理職から一般社員まで、人材の大切さに関する認識はみなさんもっています

私のまわりには、経営・戦略系のコンサルタントから人事系のコンサルタントに専門を変更された方も少なくありません。その方たちに専門領域を変えた理由を尋ねると、多くの場合、次のような答えが返ってきます。

「企業の経営戦略にコンサルタントとして携わっていると、どんなに素晴らしい戦略も、実行できるヒトがいてはじめて役に立っということを痛感します。最後に行き着くのは、その戦略の実現に向けて実行する、その組織に働くヒトだということです。専門を人事系に変更したのは、コンサルタントとして戦略を実行するヒトの問題に目が向いたからです」

人事系コンサルタントとして人事の(HR)テーマに携わってきた私にとって、その言葉はとても重みがあると同時に、再度自分の仕事に責任の重みを痛感させられるものでした。

経済のグローバル化(ボーダレス化)の進展やITをはじめとする急速な技術革新などによって企業を取り巻くビジネス環境の変化があらゆる領域において加速の度を強めているのは周知のとおりです。象徴的に述べるなら、かっての成功モデルがもはや通用しなくなった時代、商品やサービスの差別化だけでは競争力が維持できなくなった時代の中に、どの企業もいやおうなく立たされているといっていいでしょう。

経営資源として位置づけられていた「ヒト・モノ・カネ・情報」 の意味合いも、こうした時代の変化と無縁ではありません。なかでも「ヒト」は、競争優位を保つ要素としてますます重要となっています。

ひとー人材は今や企業の競争力の源泉という意味で、企業価値を生み出す最大の経営資源といっても過言ではないでしょう。現在はまさに「企業カ=人材力」 の時代であり、人材力の優劣がそのまま企業力の格差に反映される時代となったのです。

では、人材の優位性をつくりだすのは何か。

それにはさまざまな要素が考えられます。社員の士気とモチベ1ションを高める評価制度・処遇制度の見直しゃ適切な設計、社員の育成や能力開発、社員教育・研修制度の充実、ならびに現場のマネジメントやコーチングの的確性、あるいは社員一人ひとりのキャリアを支援する、適材適所の実施と人材活用など。 いろいろなことが挙げられます。

これらがすべて重要な要素であることは間違いありません。多くの企業が、これらの質的向上、強化拡充のためにたいへんな時間と労力を費やしています。私たち (マネジメントサービスセンター)もまた、ヒトにかかわる多岐にわたってのコンサルティング業務を通じ、これらの要素に対して多くの企業と一緒に問題解決のサポートをしています。

ここでもう一度考えてみたいのは、企業に人的資源それ自体を供給する「採用」活動についてです。

本マガジンはまさに、企業の優位性をつくりだす「ヒト」の最初の入り口となる、採用活動、採用戦略をとらえなおし、それにフォーカスして書いたマガジンです。

なかでも、紙幅の多くを「採用面接」に費やしました。なぜなら面接は、入社希望者を企業にとって「人材力」たり得るヒトかを見極め自社の経営資源として迎え入れるための、最も重要なステージであり、最終的な、「フィルター」にほかならないからです。また、見方を変えれば、「採用」は、応募者のキャリア、ひいてはその人の人生そのものにも大きな影響を与える可能性があるからです。

3.すべての人材課題は採用のあり方にさかのぼる

採用を取り巻く環境もまた、時代の変化とともに様変わりしました。グローバル戦略において、新興国に活路を求め、外国人採用に積極的な企業も増えています。

新卒採用の時点で、すでに50パーセント以上が日本人以外、というメーカーやIT企業もあるのです。

加えて、今後は「ミレニアル世代」と呼ばれる、デジタルネイティヴ環境で育った、コミュニケーションのあり方自体がこれまでと異なる人々も増加していきます。2025年には、ミレニアル世代が世界の労働人口の75%を占めると予測されています。

このような状況下で人事担当者は、社会的背景や価値観を共有しない人々のなかから、優秀な人材を見極める必要に迫られているのです。面接官の経験や勘に頼った採用手法は、今後ますます通用しなくなることが、容易に予測されます。

また、若い人たちの就職に対する意識も変わりました。その象徴的な現象が、入社後の早い時期に転職していく人たちの増加です。その理由や背景として、識者は「終身雇用の慣習的制度が崩れたことによる企業へのロイヤリティの衰退」や「若い人たちのあいだで強くなった欧米的な『キャリア志向』」、あるいは「不安定な将来への備蓄を優先させた金銭的要因(給与志向)」などを挙げていますが、その実態はよくわかっていません。

ただ、優秀と目される社員ほど早く転職していくという現実を前に、企業は処遇制度の見直しや職場環境の改善など、 さまざまなリテンション (引き留め) 対策を講じる必要に迫られていることは事実です。 ことに将来の幹部 (リーダー) と期待する人材を早く見いだし、 そうした人材をどのように社内に確保し続けられるかは、企業にとってきわめて重要な課題といえるでしょう。

こうしたことは、 すべて採用に深くかかわっている問題なのです。 「優秀な学生の選択的採用」は 「何をもって優秀とするか」という求める人材と採用基準の問題として、 また「内定辞退者対策を含むリテンション対策」 は、 「どのような特性をもった学生が自社の環境 (事業特性やカルチャーなど) にマッチングするか」 など、 採用面接の基本設計、 大きくは経営戦略に基づいた採用戦略そのものの策定と連動させなければなりません。

こと学生の特性と自社の特性のマッチングについては、 あらためて考えていただきたいテーマといえます。 本マガジンがその契機になれば幸いです。

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【著者プロフィール】 伊東 朋子
株式会社マネジメントサービスセンタ- 執行役員 DDI事業部事業部長。国内企業および国際企業の人材コンサルティングに従事。

お茶の水女子大学理学部卒業後、デュポンジャパン株式会社を経て、1988年より株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)。

人材採用のためのシステム設計、コンピテンシーモデルの設計、アセスメントテクノロジーを用いたハイポテンシャル人材の特定およびリーダー人材の能力開発プログラムの設計を行い、リーダーシップパイプラインの強化に取り組む。
(※掲載されていたものは当時の情報です)

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント


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