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コンピテンシー採用面接~科学的手法で絶対に成功する採用面接

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コンピテンシー採用面接とは 「経験」や「直感」に頼った面接は採用ミスを引き起こす。世界のリーディングカンパニーが取り入れる「コンピテンシー面接」で企業と人材のベストマッチングを実… もっと読む
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コンピテンシー採用面接

1.コンピテンシー採用面接とはコンピテンシー採用面接とは、候補者が有する特有の能力やスキル、行動特性、そして価値観など、職務を果たす上で欠かせないコンピテンシー(能力や資質)を見極めるための独特な面接手法です。この手法は、候補者の過去の経験や特定の状況下での行動を通じて、将来にわたって職務を効率的に遂行する能力を予見することを目的としています。 コンピテンシー採用面接の独自性は、従来の面接が経歴や学歴といった客観的なデータに注目するのに対し、このアプローチでは候補者の行動様

きょうから実践できる「科学的評価」の極意―このマガジンを読むとあなたの「人材観」が変わる!Vol.1(1/2)

1.はじめに優れた経営戦略を立てたとしても、その実行者がいなければ、企業は生き残れません。経営者の悩みは、戦略の実行とそれを実行する人材に関するものです。グローバル化が急激に加速し、市場がめまぐるしく変化する中、優秀な人材の獲得は企業にとって今まで以上に重要な課題となっています。 採用ミスは企業の経営を直接的に圧迫します。企業と人材のミスマッチは優秀な人材の流出と余剰人員の増加を招き、これらはそのまま、財産であるノウハウの流出と不採算部門の拡大に直結します。採用担当者は常に

きょうから実践できる「科学的評価」の極意―このマガジンを読むとあなたの「人材観」が変わる!Vol.1(2/2)

3.採用における五つの問題点さて、採用面接の現場に目を向けると、はたして「ヒト 」を採用するということについて、関係者の方々がどれだけの責任感や問題意識をもっているかということに疑問を感ぜずにはおれません。 長年MSCにおいて、ヒューマンアセスメント(人の能力診断、特に管理職の方々の診断) に携わり、「ヒトの能力を観る」仕事をしてきた者として、企業価値創出の原動力である「ヒト」の採用において、面接官の主観や個別の人材観・価値観が合否判定を左右しているように思えるのです。

これでは「採用ミス」が続発する~「第一印象」が90%?そして最後は面接官の「好き嫌い」Vol.2(1/3)

1.面接官の好みや傾向が合否に影響私が、ある会社の新人研修にうかがったときのことです。 そのクライアントとは長年のおっき合いで、毎年研修を通して新人さんを見てきました。その年は、部屋に入った瞬間から、例年の新人さんと雰囲気が違っていました。 まず見た目 (それまでどちらかというつと小柄な人が多い印象でしたが、 今年は全体的に背が高い)、 そして、研修でのようすは例年に比べて、 みんながよく話し行動的だったのです。 研修か終わってから、人事のご担当者にお尋ねしました。

これでは「採用ミス」が続発する~「第一印象」が90%?そして最後は面接官の「好き嫌い」Vol.2(2/3)

4.「能力」を「行動特性」として捉える大筋のポイントの説明は以上ですが、実感として理解しづらかったかもしれません。もう少し具体的に「ありがちな面接」の例を挙げてみましよう。 その前に、「ありがちな面接」とはどういう内容をいうのか、説明しておきます。 これをひと言でいうなら、「面接によって引き出すべき情報がきちんと取れていない」ということです。また「引き出す情報」とは、「応募者が自社で業務を遂行するときに必要な能力をもっているかどうか、それを判断するための材料」だと理解して

これでは「採用ミス」が続発する~「第一印象」が90%?そして最後は面接官の「好き嫌い」Vol.2(3/3)

8.重要なのは「自己申告」ではなく「行動事実」ほかにも、よく見かける「ありがちな面接」の例を挙げておきましよう。その典型的なものは、応募者が書いたり自己アピールする 「自己申告」を行動レベルにまで突っこんで質問しない面接です。 たとえば応募者の履歴書に「体育会系テニス部に所属。全国大会で優勝する」と書いてあれば、「達成意欲が高く、タフなスポーツマン」と思い、「3年生のときに主将を経験」と書かれていた場合に至っては、「リーダーシップもある」と勝手に思い込んで、詳しい話を聞かな

「思いこみ・決めつけ採用」がもたらす組織へのダメージ~<こんなはずじゃなかった>ではもう遅い Vol.3(1/3)

1.思いこみ採用の「サプライズ」前章でご紹介してきたような採用面接は、おそらくどの企業においてもかなり一般的に見られる光景ではないでしようか。だからといって、「面接は難しい。短い時間でヒトを見ているのだから」ではすまされません。 いうまでもなく、「思いこみ・決めつけ」による面接5評価・合否判定が続くかぎり、毎回ある割合で採用ミスによる"サプライズ社員。が確実に入社してど、ることになるからです。 その結果、職場の風土や雰囲気が悪くなったり、会社のカルチャーが微妙に変化したり、

「思いこみ・決めつけ採用」がもたらす組織へのダメージ~<こんなはずじゃなかった>ではもう遅い Vol.3(2/3)

5.採用活動におけるゴールの勘違いとコア人材の不足あるクライアントの経営企画室の責任者から、 こんなお話を、つかがいました。 そのクライアントの業界全体では大きなビジネス環境の変化が起こり、 経営者は抜本的な経営変革に向け、それを担う中核組織として経営企画室を新設しました。 「経営企画室で策定したビジネス戦略の内容については、 社長は大いに満足してくれました。だけど、その戦略実施の中心となって、実務的にプロジェクトを推進できるだけのコアとなる人材が、 わが社には不足してい

「思いこみ・決めつけ採用」がもたらす組織へのダメージ~<こんなはずじゃなかった>ではもう遅い Vol.3(3/3)

8.サプライズ社員は組織の活力を殺いでしまうそして、 サプライズ社員のインパクトが大きいのが⑤(職場の士気)にある職場の士気の低下なのです。 サプライズ社員が配属された職場では、 「なんでこんな人を採用したの?」という、人事(ひいては会社) に対する疑念と不信感が募ることになります。 みなさんもたぶんそうであるように、社員は採用に敏感なものなのです。 しかも、 それだけではありません。業務を満足に遂行できない、あるいは職場の風土になじめない異質な社員の流入は、 それまで保

「合否の理由」を明確に語れますか?~コンピテンシー面接・行動質問のススメVol.4(1/3)

1.役員を採用ミスして組織が崩壊「〈コンピテンシー面接〉を、役員採用にも導入していれば、私が以前働いていた会社もあんなことにならなかったと思います」 ある外資系IT企業の元役員の方(Aさんとよぶことにします)が、しみじみと私にこうおっしゃいました。 この会社はべンチャーから急速に成長した、業界ではかなり規模の大きな会社です。私はそのクライアントに対し、次世代リーダーの発掘と育成のためのアクセラレーションプログラムを、若手リーダ1クラス対象に実施するコンサルティングを担当し

「合否の理由」を明確に語れますか?~コンピテンシー面接・行動質問のススメVol.4(2/3)

4.「コンビテンシー」を採用面接に活用する理由次に、採用面接において、私たちが「コンピテンシー面接」を強く推奨する理由を述べることにしましよう。「コンピテンシー面接」のメリットは何か。それを表にまとめてみました。 ①~③について、その要点をご説明しましよう。 ①の「情報収集の手引きとなる」とは、「自社にとって必要なコンピテンシーとは何か」をリストアップすることにより、面接で収集すべき重要な情報の内容や種類をあらかじめ理解でき、合否判定で必要となる情報収集に面接中専念するこ

「合否の理由」を明確に語れますか?~コンピテンシー面接・行動質問のススメVol.4(3/3)

7.「観念的質問」「誘導質問」から「行動質問」へこうした脚色を回避する方法――それは同時に、面接官の印象評価や主観的評価を回避する方法でもあるわけですが――は、応募者が実際にとった「行動」を尋ねることです。これを「行動質問」とよび、対して「考え・希望・意見」などを尋ねる質問を「観念的質問」とよびます。 ほかにも、「あなたは問題解決が得意なほうだと思いますか? それはなぜですか?」や「あなたは新規の見込み客をどのようにして探しますか?」といった質問も観念的質問に属します。その

行動科学で考える人材採用~偶然を期待する採用からの脱却―「名人芸」から「科学的」へVol.5(1/4)

1.人柄のセレクションから能力のセレクションヘ~行動は繰り返される採用面接は、先にも述べましたが、企業にとって重要な投資活動です。 ある役員の方が、「採用だけは理屈じゃない。結局は“勘”を頼るしかない。もし根拠や理由を明確にできる採用があれば、知りたいところだ」とおっしゃっていました。これは、「ビジネスの世界において、唯一偶然によるところが大きいのは、採用だ」と言い換えることができるでしょう。 一方で、企業側のこうした弱点を突くかのように、ことに学生の場合、巷(ちまた)に

行動科学で考える人材採用~偶然を期待する採用からの脱却―「名人芸」から「科学的」へVol.5(2/4)

3.行動情報を複数収集すると真偽がわかるところで、面接において行動事実を聞きだす場合、一つの事例だけではりスクがあると考え たほうがいいでしょう。というのも、応募者は面接官からの行動質問を予測して、一つだけはとびきり上質の行動事実を用意していることが小なくないからです。 最近、「学生時代に頑張った経験について詳しく話をする」ノウハウが流布しているようです。ある人事担当者の方から、「学生時代に最もあなたが力を入れた経験について話をしてください」という質問に対して、すばらしいエ