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選挙結果振り返り(2024 8.25投票)


 「大阪で維新が負けた!」と話題になっている昨日の選挙。

 ですが、もう少し細かく見ていくと、世間の盛り上がりとは違った面も見えてきます。 少し冷静になった方が良いかもしれません。 というお話をしていきます。




◎北海道・岩見沢市長選挙

 4期目を目指す現職に市職員を辞した新人が挑む一騎打ちは現職が4選を果たしました。

 新人は39歳の若さをアピールしながら争点となっていた新病院の計画を見直すとする一方で道の駅建設やプロ野球ファイターズ2軍の誘致などを掲げ現職に迫りましたが、約1,300票足りませんでした。

 対する現職、3期務めてきた自身は新人より29歳も年上でどうやっても勢いでは敵わない中、新病院計画の推進や災害対策の充実など、より地に足がついた政策で対抗。 それが功を奏したか “現職の強み” で逃げ切ったのでしょう。


◎北海道・中標津町議会議員選挙(定数15/19人)

 8年ぶりの選挙に現職12人、元職1人、新人6人が立候補し、党派別では公明が2人、立憲が1人立てている、女性候補7人出た選挙は現職1人、元職1人、新人2人が落選。 政党候補は全員当選し女性候補は6人当選しました。

 女性候補は全員当選すれば議員のほぼ半数を占めるところでしたが、前回無投票で初当選し今回初の選挙戦となった現職が1人落選。 改選前と変わらず6議席が女性議員となりました。 とはいえこれだけ女性議員が多いのは立派で貴重なので今後も維持発展を続けていただきたいものです。


◎埼玉県・東秩父村長選挙

 3期務めた現職が出馬せず、村会議長経験の有る村議3人と岡山県にある大学の元客員教授の合わせて4人の新人で争う12年ぶりの選挙は、男性村議が当選しました。

 東秩父村は県内唯一の村で高齢化率が県内で最も高く、人口対策や少子高齢化対策が急務となっている東秩父村。 退任する現職が74歳に対し当選した候補が75歳と、なんと年齢が上がるという結果に。 とはいえ他候補も(2位から)74歳52歳77歳という顔ぶれなので予測できた事態ではありますが・・・

 東秩父村は「秩父郡」に所属しているものの秩父市に行くには山を越えなければならず、生活圏である比企郡の自治体との合併話が一時進むも上手く行かずと、独立独歩で自治体運営していくしかない中、人口の半数が高齢者という自治体の長となるのは大変だと思われます。 頑張って下さいっ!


◎岐阜県・坂祝町長選挙

 前の町長が病気療養のため辞職したコトに伴う選挙で、町議会の元議長と元副議長が町議を辞して立候補してきた5年ぶりの選挙は、40歳の元副議長が初当選を果たしました。

 64歳の元議長には自民の国会議員や立憲の元国会議員から為書きが贈られガッツリ組織戦を展開しましたが、そこに立ちはだかったのはまたしても美濃加茂市の藤井浩人市長。 40歳の元副議長を応援し当選に導き、藤井市長が応援した候補は負けないという「不敗神話」はまだ続きます。
 藤井市長は降って湧いたような収賄問題に襲われ有罪となり市長を辞職。 公民権停止が解けて再度市長に当選したという苦労人で確かに人気は高いですが、自身はフツーに自民系なのですよね。 どうも最近、この人の動きに一抹の不安と怪しさを感じる私がいます。 “選挙屋” こと石丸伸二氏と意気投合してるっぽいし。


◎京都府・久御山町長選挙

 4期目を目指す自民公明立憲推薦の現職に町議を辞した新人が挑む一騎打ちは現職が4選を果たしました。

 自公立推薦という与野党相乗りで組織バッチリの割に新人に約600票まで迫られたのは投票率が前回から9.5ポイントも増加したコトが大きかったのだと思われます。 組織候補を超えるものは、投票率アップなのです。


◎大分県・日出町長選挙

 3選を目指す現職に2期目の町議を辞した新人が挑む一騎打ちは新人が初当選を果たしました。

 選挙戦の大きな争点とはなっていない、と言われていましたが実はやはり争点だったのが、

別府市のイスラム系宗教法人が町内に「土葬墓地」を建設する計画が進んでいて、現職は「要件が満たされていれば」と賛成(許可)するとしているのに対し水質汚染の懸念から反対の声が挙がっていますが、やはり「風評被害」の恐れが有るという声が出ており、反対を訴えた新人が現職に大差をつけて当選したのでした。

 どういうものにせよ葬儀に関する施設は反対の声が出るもので、それが(現代の)日本に馴染みのない「土葬」となれば町民が嫌がるコトに不思議はなく「生活」を基準として新人を選んだのでしょうが、この問題に2022年の参院選愛知選挙区で「新党くにもり」から出ると報じられて(その後、公認が取り消され無所属で出馬)、現在「起きる会」なる政治団体の代表を務める山下俊輔氏などが自らの政治思想一丁目一番地である「移民難民反対」に繋げて乗っかってきており、新人が勝ったコトで人種民族に対するヘイトを言っているようなネットユーザーのバカども皆様が歓喜しているのが、キモチ悪い。
 新人候補はあくまで町民視点でこの問題に対応いただいて、 決してバカ外野の声に耳を傾けるコトなど、絶対にないように願います。


◎大阪府・箕面市長選挙

 2期目を目指す大阪維新の現職に、府議だった人と共産推薦を受ける市職員だった人の2新人が挑む選挙は元府議が初当選を果たしました。

 遂に、遂に! 大阪府内で維新の現職首長が敗れました。
 当選した元府議は自民党所属で昨年の県議選では維新の新人に敗れましたが、今回は「完全無所属」を謳い自民系議員と同じ場所に立たない、選挙事務所に為書きも一切貼らないなど「自民色」の打消しを徹底した結果、約1万4千票もの大差をつけての当選です。

 去年の今ごろから大阪万博にかんするズンドコがバレ始めて維新が失速を開始。 最近では河内長野市の選挙など大阪府内にも影響が出始めていて、更に兵庫県知事の悪評も加わる中で迎えた、この選挙。 ではこの結果が維新の凋落を決定づけるものになるかというと、私は必ずしもそうではないと見ています。 それについては次の選挙で触れるとして、当選した現職は、

府議時代に大阪都構想に「メリットが有る」と発言した過去が有る人で、twitter-Xを見ても荒ぶった発言が有ったりなど、結構怪しい人物だと私には見えます。 彼が「反維新」の象徴となれるのか、立ち振る舞いをチェックしておいた方が良さそうです。


◎大阪府・箕面市議会議員選挙(定数23/29人)

 現職16人、新人13人が立候補し、党派別では大阪維新が7人、自民が4人、公明と共産が3人、国民民主、れいわ、参政が1人ずつ立てた選挙で、女性候補が11人出た選挙は現職1人、新人5人が落選。 女性候補は全員当選しました。

 市長選と同時に行われた市議選。 当選者を党派別に見ると自民と共産が1人ずつ落選して残りの党は全員当選しています。 市長選では大敗した大阪維新ですが市議選では前回の選挙から1議席増やしているのです。 大阪維新7候補全ての票を足すと17,339票と前回(6候補)から2千票以上減らしているとはいえ、議席を増やしたのは事実。 この結果を鑑みて話を市長選に戻しますと、

現職は大阪万博の問題を指摘した共産の市議に「万博行くなよ、出入り禁止や!」とヤジを飛ばしたコトが全国ニュースになり、後に「不適切発言だった」と謝罪するも「本心だから謝罪撤回はしない」という無駄なプライドを披露したコトで収束に大失敗したまま選挙戦に突入し、それが響いて落選となったワケで、この敗戦は単に現職という人物「個人」が嫌われた要素が大きいと思われます。
 なので「大阪維新」という看板 “だけ” では勝てなくなったコトは確かですが維新という政党はその歴史や成り立ちから見て候補者にはある程度の “フレッシュさ” が求められ既得権益のニオイが付くと一気に魅力が失われてしまいます。 市長選の現職は65歳。 当選した38歳の元府議と比べられては「維新」の看板を以てしても、というか「維新」の看板を掲げるが故に魅力的ではなくなってしまったのでしょう。
 だから逆に言えば維新がフレッシュな若手候補を立てていけば、まだまだ勝ち続ける可能性は充分に有るので、反維新の皆様におかれましてはこの結果に浮かれるコトのないようにお気をつけいただきたいものです。

 話を市議選に戻しましょう。
 一方(事実上)市長選に勝った自民ですが、1人落選して議席を減らしました。 ところが4候補の得票数を足すと9,582票と前回から約2千票も増やしているのもかかわらず、です。 票割りがド下手くそだったのと落選した候補が選挙期間中に新型コロナにかかって満足な選挙運動が出来なかったコトが大きかったようで、議席を減らしたのは事実。 新市長を支えるためには痛すぎる落選です。

 そして共産も1議席減らしたのですが、落選したのが前述の市長から「万博出禁や!」と言われた張本人であるという皮肉。 ヤジ飛ばされたのがプラスに働くどころか前回から約300票減らして落選してしまいました。 市長選のパートで触れもしませんでしたがそこで立候補した共産系の候補は全く歯が立たず得票率6.9%で供託金没収の落選となっており、ヤジ騒動もプラスに変えられない現在の党勢が表れた形です。

 自民と共産が議席を減らした代わりに入ってきたのが、れいわと参政党。 参政党は落下傘候補ながら投票日前日に神谷独裁者代表が応援に入ったコトが奏功したか15位で当選。 来たるべき衆院選では近畿ブロックの得票が鍵となる参政党にとって念願の議席獲得となり、れいわは山本代表と大石共同代表が箕面市に縁の有る人だったコトをアピールし、にわとりを持つという「アレ」なポスターながら最下位当選に滑り込みました。

 とまぁ、イロイロあった箕面の選挙ですが、私としては元N国でつばさの党の黒川被告人と共に活動していたコトも有るような素性を隠したステルス候補が無事に落選したので、とりあえず良かったなぁ、というキモチです。


◎鹿児島県・与論町議会議員選挙(定数10/14人)

 現職8人、元職2人、新人4人が立候補した女性候補1人の選挙は現職3人、新人1人が落選しました。

 唯一の女性候補だった参政党公認候補が、トップ当選です。 昨年の補選で落選したリベンジを果たした形ですが、(少なくとも)20年にわたり女性議員がいないコトと、与論町が2022年参院選比例区の参政党得票率が全国第1位の自治体であるコトを見ればこの結果は然るべきものであり、女性候補の誕生は喜ばしいコトなのですが・・・ ねぇ・・・

(2024年の参政党戦績)
(クリックやタップで拡大してご覧ください)

 と、いうワケで、4か月ぶりの選挙となった参政党、連勝です。


◎鹿児島県・和泊町議会議員選挙(定数12/14人)

 現職9人、元職1人、新人4人が立候補し、党派別では公明が1人立てた、女性候補が3人出ている選挙は現職新人1人ずつ落選し、女性候補は全員当選しました。

 与論町と同じく鹿児島県南西諸島にある沖永良部島東部の自治体ですが、コチラは女性現職が1人いて、今回女性の元職と新人が1人ずつ立候補し、全員当選したコトで女性議員比率25%まで引き上げられました。 鹿児島県南西諸島の自治体議員は女性が少ないので、他自治体の女性議員をけん引する存在になってほしいと期待します。


◎鹿児島県・知名町議会議員選挙(定数12/13人)

 現職8人、新人5人が立候補した “定数プラス1” の選挙は、全員無所属の選挙は現職が落選しました。

 沖永良部島西側のコチラは、残念ながら改選前議員が全員男性。 過去も振り返る限り少なくとも20年女性「候補」すら出ていないという中、今回女性候補が1人出馬。 こういう自治体ではそんな女性候補すら容赦なく落とす風潮が有るため心配していましたが、無事にトップ当選。 良かったです。 超男性社会な議会で孤軍奮闘は大変だと思いますが、挫けずに頑張っていただきたいです。



以上です
当選された皆様の御活躍をお祈り申し上げます


「選挙結果振り返り」テーマ曲
ギターパンダ / 選挙に行ったけど


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