中央銀行の存在意義と機能限界 前編
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中央銀行の役割・役割範囲については、いくつかのnoteで間接的に触れてきました。
例えば、なぜ異次元緩和が失敗に終わったのか(及びアベノミクス(ないしリフレ派)の理論、及びその欠陥(マニアック))では、中央銀行がマネーサプライおよび総需要に影響を持たなくなる経済状況(信用創造の罠)について論じました。「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?では、マネーサプライの"直接の"発行体は中央銀行ではなく市中銀行であること、及び中央銀行と市中銀行の実務上の関係を論じることで、中央銀行とマネーサプライの間の断絶の可能性を論じました。
直近では、財金協調型の名目GDP水準目標政策のすすめにおいて、中央銀行にNGDPへのアクセサビリティがあるとするマーケット・マネタリズムを批判する形で、改めて中央銀行の"不能性"を強調しました。
今回は、あくまで中央銀行を議論の主軸に据え、その実態を詳らかにすることで、マクロ経済における中央銀行の存在意義と機能限界を明確にしていきます。
以下の章立てで論じていきます。
前編(当記事)
①中央銀行と財政(国債)の関係とそれを通じた金融調節
②金利調節メカニズムの概略
後編(リンク)
③信用緩和(質的緩和)の効果経路と問題
④中央銀行と財政の望ましい分業
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①中央銀行と財政(国債)の関係とそれを通じた金融調節
中央銀行と財政の関係については、簡潔にして十分な説明を「お金」「通貨」はどこからやってくるのか?の第一節で行ったのですが、端的にまとめると、中央銀行の発行する通貨の流通価値は、それが唯一の納税手段であることに基礎づけられているので、中央銀行と財政を機能の面から本質的に分断することは不可能だ、ということです。(実際、現代の中央銀行の原型であるイングランド銀行は、元々戦費調達のために創設され、その機能が"拡張"されることで現代型の中央銀行へと変化を遂げてきたわけです)
また、なぜ日本は財政破綻しないのか?の方では、実際の国債発行→支出の実務の方を概説しました。詳しい説明はかの記事に譲りますが、大ざっぱに言えば、中央銀行は国債を新規発行する際に応分のマネタリーベースを(既発国債の買いオペによって)供給し、政府支出によってマネタリーベースが"還流"してきた際に(国債売りオペによって)回収するというオペレーションを行っているわけです。ちなみに、租税→支出の場合も同じで、租税の際に応分のMBを供給し、支出による還流の際にMBを回収、というオペを行います。
このように、中央銀行は、財政の円滑化機能を元来より持つわけです。
また、中央銀行は、そこから発展して、金融の円滑化機能も持つようになりました。
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