なぜ日本は財政破綻しないのか?
「日本財政破綻論」は現代日本で極めて根強い風説です。
経済評論家の多くが、多少の違いはあれど日本財政破綻論を唱えています。
代表的な存在として浅井隆がいますが、彼は早くも1996年に「97年の逆襲 国家破産か、超食糧危機か」という著作を上梓しています。他にも、2000年に著した「2003年、日本国破産 警告編」、2005年に著した「小泉首相が死んでも本当の事を言わない理由」、2010年に著した「2014年日本国破産 警告編」などで繰り返し財政破綻論を喧伝しています。
他には藤巻健史(2010年著「日本破綻 「株・債券・円」のトリプル安が襲う」など)、朝倉慶(2011年著「2012年、日本経済は大崩壊する!」など)、小宮一慶(2010年著「日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう」など)といった経済評論家が財政破綻論の旗振り役として挙げられます。
財政破綻論を吹聴しているのは経済評論家だけではありません。
2010年著「日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか 」では、経済学者(とされている人々)である竹中平蔵、池田信夫、土居丈朗、鈴木亘が財政危機を主張しています。(他にも、代表的な破綻論経済学者としては小黒一正が挙げられます)
加えて、2012年には東京大学の経済学者を中心として『「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会』が立ち上げられています。当研究会の報告が2014年でストップしていることは兎も角としても、経済学者の少なくない(あるいは大多数の)層で財政破綻が予想されていることは間違いないと思います。
著書や研究報告という明確な形でもなくても、新聞・テレビ・雑誌などのメディアの中で、多くの方が「財政破綻」「財政危機」の言説を長らく目にしてきたはずです。
しかしながら、すでにこのnoteを書いている時点で、日本は2017年半ばを迎えているわけです。
事ここに至っては、「いつ財政破綻するのだろう?」と怯えるのは周回遅れ過ぎます。その時期はとうに過ぎたのです。
「一体いつ破綻するんだよ?」と憤るのもいささか反応として遅すぎます。
「なぜ日本は財政破綻しないのだろう?」……これが我々が抱くべき正当な疑問だと思われます。
この当然の疑問に行き着いた人々のために、現時点での回答をコラムとして著したいと思います。
※※※このコラムは、望月夜の経済学・経済論 第一巻(11記事 ¥2800)、望月夜の財政論まとめ(7記事 ¥1600)にも収録されています。※※※
破綻論① 税収<支出だから破綻する
これは本当によくあるロジックで、生活実感的直観からほとんどの人がこのロジックに説得されてしまっていますが、本当にそうなのか、確認しておく必要があります。
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