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へこたれない凡人集団は、どう組織をフレキシブルなものに変えるのか?


あれこれ気になって手をつけるけど、
特別秀でた才能なんてないし、
世界をこうしたいとか、強烈な野望なんてのもない。

あるのは、
とりあえずやってみようの精神と
決めたところまではやり抜く力くらい

「凡人」
それが自分にふさわしい呼び名だ


というのは、偽らざる僕の僕自身に対する評価です。

ずいぶん悲観的と思われるでしょうか。

そう思ってしまうのは、あなたが「器用貧乏」と揶揄されたりしたことがあるからかもしれません。

僕自身は、この特性に誇りを持っています。

「起業家を育成し、さまざまな事業を生み出すことでグループ全体として時価総額1兆円を目指す」というCROOZ株式会社の野望は、僕のような人間もいてはじめて実現の可能性が出てくるのですから。

今日は、特別へこたれない凡人集団をテーマに、僕も所属するクルーズ独自の「社長特命執行部」という組織とともにお話しします。

特別へこたれない凡人集団

「社長特命執行部」を一言で言えば、代表直下の組織として、メンバーそれぞれが固有のミッションを携えグループ経営の中核を担う“特殊部隊”

次の章で詳しく話しますが、この組織なしには、たくさんのグループ会社をこれだけ効率よく、これだけスピード感を持って成長させることは難しい。

そういって差し支えないほど、大事な役割を担っています。

そんな特殊部隊にいる者たちを表すのに最適な言葉が、
まさに“特別へこたれない凡人集団”です。

何かのスペシャリストではないけど、好き嫌いせずなんでもやる。何より、絶対にへこたれない。やり抜く。

そういう人材がなぜ必要なのか?
どのようにしてそんな人材を育てているのか?

次章から詳しくお伝えします。

すべてに携わる社長特命執行部

CFOとか、CHROとか、
いわゆるCxOというポジションがありますよね。

最高〇〇責任者と訳されるポジションで、ふつうはその道のスペシャリストを付けるポジションです。

もちろんうちのCOOやCFOはこれまでに複数の事業を
急成長させてきた経験を持つツワモノ揃いですが、
そうでない人もいます。

僕のように未経験の人をいきなりそのポジションに抜擢したりしますし、
一人で何役もCxO的なポジションを担ってもらうこともあります。

だから、決まったポジション名があるわけではなく、あれこれやる精鋭集団として、社長特命執行部というのがあるんです。

そこにいる約10名の精鋭が、技術系のことと法務以外のことを、全部責任を持ってやります。誰かがどれかやるのではなく、それぞれが全部をやるのです。

子会社のKPI管理、重要プロジェクトのPM、経営会議や重要会議のファシリテーション、人事、IR活動、ベンチャー企業への投資、広報、ブランディング、労務、財務、経理、合宿のための準備や情報集め、M&A、事業提携…。

これらの業務をすべて一度は経験したことのある集団が、僕ら社長特命なのです。

なぜCxOを増やしたいのか?

さて、なぜCROOZは社長特命執行部という組織を作ったのか?

組織を創設したときの代表の狙いはこうでした。

1兆円企業になるときには、大量の子会社を抱えることになるはず。子会社の社長が誕生したとき、一番困るのは何か?

人材の確保だ。

スペシャリストを外部から探すのはなかなか骨が折れるし、複数の分野の人材を雇うとなるとけっこうなお金もかかる。

そんなとき、もし一人でCxO何人分もの働きができる人材が自社にいたら?

圧倒的なスピードと低コストで事業を育てられる!

そんなわけで、現在僕ら社長特命執行部は、子会社の経営層と伴走する存在として配置されています。

自分でいうのもなんですが、
かなり頼りにされている組織だと自負しています。

どんなレベルで頼れられている存在かというと、
子会社が上手くいっていないときに、代表の小渕が
「社長特命が付いていながらこの事態はなんだ!」
僕らをどやすことがあるくらいです。

なんで俺たちやねん!
と普通なら思うかもしれませんが、
僕らはそこまで責任を持たせてもらってることに
喜びを感じるドM集団なんです笑

それは置いといて。

この仕組みを発想できたとしても実行できる人は稀だと思います。

驚くべきは、素人集団である僕らに上場企業の決算などを思い切って任せてしまうことです。普通なら気が気でない人選でしょう。

遠い先を見据えて、覚悟を持って仕事を“託している”
そんな断固たる意志を感じます。

経験の多様性の意外な効果

社長特命執行部という仕組みには、単に効率がいいとか、スピード感があるという以上の意義もあります。

好き嫌いせずやり切る人たちに、
次々と多様な経験をさせる。

このことが、他社にはない
クリエイティビティを育んでいると感じるのです。

ひらめきというものは、一見かけ離れているような領域の間に生まれます。世界でもトップクラスにクリエイティブなノーベル賞受賞者の実に9割以上がアートを趣味としていることも、それを裏付けているのではないでしょうか。

生物学の問題を、バイオリンを弾く中で得た感覚をもって理解しようとする、みたいな飛躍の中で発見が生まれたりするわけです。

端的に言って、視野が広い。

それと比較するのはおこがましいですが、うちの人事はマーケティングの視点も、営業の視点も持っています。だから、単に“他の社員と仲良くできるか”とか“頭がいいか”とかの理由で人を採用したりはしません。

「事業を伸ばすのに貢献するか?」「会社の売上、営業利益につながるか?」そういう大局的な視点から採用を決めることができます。

同じことが、人事に限らず、売上に直接的に貢献するわけではない、その他のバックオフィス業務をしている者にも言えます。

すべての部署は最終的に会社の売上、営業利益のため(その先の社会への貢献のため)に存在している。この当たり前のことを、特に社長特命の人間は実感を伴って、徹底的に理解しています。


「多様な視点を持て」という無理な注文

よく「社員もみな経営者視点を持つべき」「多様な視点を持て」みたいな主張を見かけます。

もちろん、その主張は分かりますし、好奇心や探究心が弱く視野を広げようとしない人たちが現実にたくさんいることも知っています。

しかし、もし食わず嫌いせず何でも取り組む姿勢がある人を採用できたとしても、その特性を上手く活かせるかはまた別問題です。

多様な経験をさせる環境、失敗させない、失敗しても大丈夫な環境を用意して思い切りバットを振らせる。

そういう堅牢な守りの仕組みなしには、「多様な視点を持て」なんて土台無理な注文ではないかと思うのです。

いくら天才的な画家を雇えても、工房の資金繰りが火の車で、マーケティングのイロハがなければその才能が花開くはずがないですよね。

才能を活かせるかどうかは、仕組みにかかっている。

今回紹介した社長特命執行部という仕組みもそういった中の一つです。

クルーズがどれほど力を入れてディフェンスの仕組みを作っているかは、こちらの記事にまとまっているので、よければご一読を。


打開策はないのか

とはいっても、全部の会社がいきなり社長特命執行部を持つべきなどとは僕も思っていません。

要は、多様な経験をさせ、視野を上げられればいいわけです。

有名な例としては、リクルートのトップセールスを人事に異動させるといったやり方があります。

数字を見る癖がついている人を一見そういうものとは関係のなさそうな部署につけるということです。

最近では、ヒトクセという会社が同じことをしていました。彼女は、営業とマーケを経験した後、現在は人事を主軸に、広報、労務、総務を担っています。


一番成果を上げた人に自分より成果を上げられそうな人を採用してもらったり、同じような成果を他の人に上げてもらう仕組みを作ってもらうことで、全体としての売り上げが上がり、かつ個人への依存度は下がる。

そういう流れを作れれば強いですよね。


というわけで。

食わず嫌いしない凡人よ、自信を持て!笑
活躍できる場は、必ずあるのですから。