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モパのメガネ 創作文庫

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モパが書く文章用のマガジンです。ときどきですが、浮かんでしかたのない書き物をここに載せています。お楽しみください。
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記事一覧

豆鬼

豆鬼



森の入り口に住んでいて

頭のてっぺんから少しづつ緑色に変わっていく様で

それとわかる

パックリとふたつに割れた胸の中に

茹でた豆を隠して持つ

その豆を食べた者は

一生その味を懐かしむという

鬼えんぴつ

鬼えんぴつ

小鬼の お風呂上りに 様子をみに行くと
いつものように 小鬼は消えていて

でも その身代わりみたいに 1本の えんぴつが 残されていた

部屋にもどり そおっと いっぽん 線をひいてみた
線は サラサラ流れる水へと かわった

ためしに
魚を描いて 水を流してみたら
スイスイ泳いで とっても気持ちが よさそうだった

鬼のえんぴつで バラを描いた
花壇で 今年初めて花をつけた ピンクのバラ

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風景に

風景に



大きな木の下に すわっていると

風景に 溶けていく

      とけていく

気がつくと

 私は あの ゆれる葉 に なって

 山の上の あの 青い空は 私になる  

輪郭は にじんで あいまい 

いい大人なので

困ることにも たまに なるけど

そんな時は 途方に暮れて

また 大きな木の下に すわるといい

雲の病

雲の病

ふんわりうかぶ 雲をみると
鋭く尖り 刺さって痛い

わたる風が はこぶ季節を うけとると
赤くただれて血がにじみ
ジュクジュク溶けて骨までみえる

そういう病にかかりました

原因は
カラリとかわいて 透明な夜
望まずとおした嘘でした
  夜風が肌に きもちよかった 

みあげれば ただ 流れてゆく雲は わたしだったと
病を得て ようやく きがつきました

あじさいの谷

あじさいの谷

埋めつくすあじさいの谷
見上げる斜面にも花が群れ その上に杉木立、あとは空

伸ばした手の先にも 花の色は浮かび

水の気配に流れて谷の底へ 
寺の敷地に供養塔は建ち
依るは球形のあじさいか
無念を色へ映し
枯れると一緒に天へ戻ればいい
そう思った

花の球は霊魂にも似て