マガジンのカバー画像

休日の美術館

18
巡った展覧会で感じたことを書きます。
運営しているクリエイター

記事一覧

燕子花を観てたら「マティス 自由なフォルム」に行きたくなった

燕子花を観てたら「マティス 自由なフォルム」に行きたくなった

みずみずしく光る緑のなかで、一層目を惹く紫。
先週、根津美術館にて庭園の燕子花とあの金屏風を駆け込み鑑賞したことから、一連の鑑賞がはじまった。

「リズム」をちょっぴり理解

根津美術館には初訪問。毎年この燕子花の屏風の会期に間に合わず残念な思いをしていたのだが、職場の上司が「あれは行ったほうがいい!」と何度も言っていたので、今年こそはと訪問日のスケジュールを死守した。

会期終了間近ということも

もっとみる
印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵@郡山市立美術館

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵@郡山市立美術館

連休を前に、印象派展が地元へ巡回してきた。

年度はじめの多忙にやられ、東京で展覧会へ行く体力を失っていた私にとって、ちょうど帰省のタイミングでの観覧はビッグチャンスだった。

激混みと聞いたので朝イチで向かったが、開館前に並ぶという前代未聞の事態だった。

メインビジュアルとその画家の威力◎

今回来ていた《睡蓮》、素晴らしかった。
幻想的な色合いや、ひとたび目を離せば画面の様子が移り変わってい

もっとみる
「マリー・ローランサン ― 時代をうつす眼」のためアーティゾン美術館で過ごす休日

「マリー・ローランサン ― 時代をうつす眼」のためアーティゾン美術館で過ごす休日

もう2月。年が明けて1ヶ月経ったが、やっと今年最初の展覧会訪問となった。今回は、アーティゾン美術館で昨年12月から開催中のマリー・ローランサン展へ。
いろんな面で超感動した展覧会だった。

全体的な感想

90点くらいの作品数だったのだが、かなり密度のある展示だったのでめいっぱい時間を使った。

肉感がなく、しなやかな女性たち。表情や色の混ざり合い、サーカスや舞台に関連して女優たちを描いたものは仕

もっとみる
私の展覧会ルーティン〜国立西洋美術館「キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」〜

私の展覧会ルーティン〜国立西洋美術館「キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」〜

やっと国立西洋美術館で開催中の「キュビスム展」へ。

もともとキュビスムを全くと言っていいほど知らないので「もしかしたら全然わからないかもしれない」と思いつつ...。
平日に行ってみたら運良く細部まで観ることができたので、収穫は多かった。

せっかくなので、今回は私の展覧会ルーティンとともに感想を書いてみる。

1.「行きたい!」☞サイトチェック「こういうのやるんだ〜!」って、だいたいXやインスタ

もっとみる
自由な休日のぶらり常設展〜国立西洋美術館「もうひとつの19世紀」〜

自由な休日のぶらり常設展〜国立西洋美術館「もうひとつの19世紀」〜

先週末は久しぶりに人と会わない休日だったので、好き勝手過ごそうと思いつきで国立西洋美術館へ。
最初はキュビスム展を観ようと思っていたのだが、、、

チケット売場にて長蛇の列にガン萎え。
空いているとは言えないだろうと思いつつ、早々に行き先を常設展にシフトした。
特に「あれが観たい!」とターゲットがあるわけでもないのに、ひとり人流をはずれ軽い足取りで常設展示室へ。

ブーグローとの再会

「お!」と

もっとみる
絵を見るために遠出してみる〜山梨県立美術館「ジャン=フランソワ・ミレー 生涯と作品」〜

絵を見るために遠出してみる〜山梨県立美術館「ジャン=フランソワ・ミレー 生涯と作品」〜

久しぶりの遠出を計画してみた。
行き先は初めての山梨県立美術館。
正直まあまあ交通の便は良くないが、プチ旅行したい気持ちもあったのでワクワク。

道中のおとも

ゆったりの気分だったので、全部鈍行で。
往復4h超の移動時間は、年末の観劇の予習!

「くるみ割り人形」は、演奏だけ聞いてみても心踊るものがある。
そんなこんなしていると、あっという間に到着。

コレクション展で生き物の「個性」をみる

もっとみる
有給de美術館〜「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」〜

有給de美術館〜「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」〜

今回は有給休暇でテート美術館展へ。
正直、国立新美術館は個人的にあんまり相性が良くないことが多かったのだが、今回はテートからということで行ってみた。

平日の昼なのにめっちゃ混んでてびっくりした。

今回の展覧会でよかったこと

おもに前半のことです。

1.ジョージ・リッチモンド《光の創造》
来場前はとにかくターナー見たさという感じだったが、
リッチモンドの作品があったのはだいぶ良かった。
ポス

もっとみる
思いがけず大優勝した展覧会〜国立西洋美術館「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」〜

思いがけず大優勝した展覧会〜国立西洋美術館「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」〜

油彩画ばかり観てしまうので、版画がメインの展示に行くのは久しぶり。
例に漏れず滑り込みになってしまった展覧会、「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」。

これが期待値以上だったので、今回も印象に残ったことを書いておく。

今回の展覧会で良かったこと

①巨匠の作品大集合special回

マネ、ドラクロワ、ピカソなど巨匠大集合。
個人的にはダリが優勝だった。

一年くらい前に、地元福

もっとみる
現代日本画の鑑賞にチャレンジする!〜郷さくら美術館 東京「水ー巡るー現代日本画」展〜

現代日本画の鑑賞にチャレンジする!〜郷さくら美術館 東京「水ー巡るー現代日本画」展〜

もともとはカラヴァッジョやルーベンスなど、バロックの絵画が大好きな私。

最近ちょっとずつ写実主義や印象派の作品を観るようになってからというもの、水の描写をついつい観察してしまうように。

ここ最近西洋画の展覧会しか行っていなかったが、noteで「水」がテーマの現代日本画の展覧会の存在を知った。

郷さくら美術館 東京。
初めての美術館に、初めての現代の日本画、、、。
ドキドキしながら、会期最終日

もっとみる
行けなくて涙した展覧会を画集で楽しむ雑記〜「クールベと海」展〜

行けなくて涙した展覧会を画集で楽しむ雑記〜「クールベと海」展〜

2021年。
私はコロナ禍の新卒2年目社会人として、ふらふらになりながら生きていた。
人見知りなのにオンライン会議とマスクでみんなの顔もはっきりせず、覚える前に異動の繰り返し。
「辛い」と吐き出せるような友達とも、感染症対策で直接会えず。

せめて美術館に行きたいよ、新年度で辛いけどギリギリいけるかな?

と思っていた矢先に決まる休日出勤。
あれよあれよという間に時間がすぎて結局この展覧会を逃した

もっとみる
人間は「いきもの」だと気づく。有給de美術館〜ルーヴル美術館展 愛を描く〜

人間は「いきもの」だと気づく。有給de美術館〜ルーヴル美術館展 愛を描く〜

行きたい行きたいと思いながら、結局いつも駆け込みになってしまう展覧会の鑑賞。
今回はたまった有給を使って国立新美術館へ。

晴れの日の国立新美術館は最高だ。

今日おぼえたことば「リベルティナージュ」

18世紀ごろ、フランスの知的エリートたちのなかで流行した、奔放な性生活を肯定する考え方を「リベルティナージュ」と言うらしい。
イギリスでいう摂政時代の人の考え方の拡大版みたいな?「リスペクタビリテ

もっとみる
都民、はじめて東京ステーションギャラリーへ。佐伯祐三を観に

都民、はじめて東京ステーションギャラリーへ。佐伯祐三を観に

社会人4年目の初日に私が向かったのは東京駅。
無理やりねじ込んだ予定、「佐伯祐三 自画像としての風景」の鑑賞。

佐伯祐三の作品を観たことがなかったが、展覧会の広告で存在を知って一瞬で行こうと決めた。

せっかくの新しい画家との出会い。なので事前準備なし、下調べも音声ガイドもなし。
どんなことを考えられるか、わくわくしながら丸の内北口を出た。
見どころたくさんの今回の展覧会は、各作品を見て想起した

もっとみる
地元の優良美術館、郡山市立美術館を自慢したい!〜ヨハネ・パウロ2世美術館展〜

地元の優良美術館、郡山市立美術館を自慢したい!〜ヨハネ・パウロ2世美術館展〜

郡山市立美術館は東北は福島県郡山市、私の地元にある公立の美術館で、少し前に創立30周年を迎えた。

私がこの美術館と出会ったのは、おそらく小学校3年生くらいのとき。学校の図工の時間に作ったものを、地元の小中学生の作品の展示スペースに置いてもらえることになって、母と一緒に見に行ったのだった。

それからことあるごとに通い続けるうち、時は流れて私は25歳になり、大の美術館好きになり美術館だらけの東京都

もっとみる
絵画もよいが額縁もよい〜国立西洋美術館「自然と人のダイアローグ」より〜

絵画もよいが額縁もよい〜国立西洋美術館「自然と人のダイアローグ」より〜

私が額縁に興味を持ったのは最近で、昨年秋に三菱一号美術館で開催された「印象派・光の系譜」を訪れたときが初めてだった。
セザンヌの《湾曲した道にある樹》とその額縁を観た時である。

この額縁、寄りで見てみるとこんな感じ。

なんて可愛い額縁!艶のある果実のモチーフは豊かな実りを暗示しているみたいだ。
額縁ってこんなに素敵なものだったんだと、今まで全然注目してこなかったのが悔やまれた。

そして今回、

もっとみる