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月 卒塔婆の月の小町は笑ってる

「いい表情(かお)してるな」
卒塔婆の月の小町と対面しての気持ち。
何日経っても。
 
浮世絵好き江戸好きとして、
芳年や暁斎を殊更に声高に「好き」「見たい」ということには抵抗もある。
近年のいろんなブームや仕掛け方を含めての。
 
でも「月百姿」は「おもしろいな」

最後の浮世絵師ともいわれる芳年が
歴史上の人物たちや物語と月をモチーフに描き切った、描きまくったと言いたいようなこのシリーズ(?)は、
形、構図というか形が、イカレてる。
「漫画みたいやな」「Lineスタンプ的な?」
どれも異様なほど、「わっ」と飛び出してくるようなのだ。
でも、ただ単なる趣向じゃない。
形や角度や構図から物語や人物らの気持ちまで飛んでくる。
画集で見ただけでも強烈だった。
一枚一枚の物語と人物についていくらでも語れるし語りたい語り合いたい。エピソードも、次代が変わっても変わらない人間のナカミ(気持ち)の話も。
 
中でも、とりわけ「へええ」と思ったのが「卒塔婆の月」だ。
ページをめくる手がとまった。
老いた小野小町が月の下で佇む。
能などでもお馴染みの話だが、「絵」なると強烈。
リアルすぎる手の皺の描かれ方と、表情が。
 
やっと実際に目に出来たそれは、館内のとてもいい場所に展示されていた。
流れとして、見て行く気持ちの流れとしていいところにあって、しばらく立ち止まった。
全部廻って、戻ってきて、もう一度立ち止まって眺めた。
 
何日も、なにかしたり考えたりしながら、思い出した。
 
己が若い頃、
いや、若くねぇけど、書き散らしたものを思い出し、読み返したりもした。

歌や舞台に触れたとき、いや、人間を考えたときに、ふとこのモチーフが浮かぶのだ。いつも。今も。
 
7年前、某人気歌舞伎役者と、某日本画家とにかこつけてのこと。

 13年前、とある昭和歌謡にかこつけてのこと。

美人なんだ。

老いさらばえ、傘をかぶり、卒塔婆に座っていても。

美醜じゃなく。
 
たぶん、この小町、笑ってる。

なんの笑いか、どこへのどんな何ゆえの笑いかは、わからない。

でも、なんだか、笑ってる。

そう見える。

月は、うつしますね。

「人間」を。



太田記念美術館では前期と後期でわけられて展示。
前期には、大河でお馴染みの花山天皇のあれとか、
後期は、有名な大物浦の弁慶とか、蝉丸とか、曹操とか、ポスターにもなっている白蔵主も。

なんといっても纏。
烟中月。動く火消しを敢えて直立不動で描き、炎がごぉっと。痺れました。


帰ってきた酒場話、連載第20話もよろしければ。
いつも読んでくださりありがとうございます。

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【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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