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保存版🇬🇧 行ってみたい!Netflix 『説得』 のロケ地は?

2022年7月より、ネットフリックスにて映画「説得」が公開!

もう、みたという方もいるのでは?
今回は、ネットフリックスの映画「説得」、ロケ地のお話です。
(ネタばれはしないように、心がけました。)

近年に公開された映画「エマ」、Netflix映画「ブリジャートン家」など、最近ジョージ王朝時代をテーマにした作品が流行しています。舞台は、社交界が華やいだ時代。ロンドン、バース、エジンバラを中心に各地にアッセンブリー・ルームと呼ばれる社交場も作られて、紳士、淑女の結婚相手探しの場所として賑わいました。

ジェイン・オーステインの肖像画

そういう時代に、上流階級よりも「下」で、農民や商人よりも「上」とされた階級の人々『アッパー・ミドル・クラス』の人たちの人間模様を描いたのがジェイン・オースティンです。彼女自身もアッパー・ミドル・クラスの家庭に属していました。

ジェイン・オースティンは、自然あふれる美しいカントリーサイドにあるハンプシャー州のスティーブントン村に生まれ育ちました。父は、牧師をするかたわら、牧師館で妻と共に少年達の寄宿舎学校を運営。ジェインは小さな頃から兄、そして学生達に囲まれた生活を送りました。そう考えてみると、彼女の男性に対する視点というのは、当時の一般的な女性達とは少し違っていたのではないか・・・と、思えてきます。小さな頃からたくさんの少年と接するうちに、少し冷めた、現実的に男性を観察するようになったのではないでしょうか。

牧師の父がリタイアしたのを機に両親、姉と4人でバースに移り住みます。この時、姉妹は独身。両親は、社交界の華やかなバースで娘たちの結婚相手を探すことも考えていたことでしょう。

さて、「説得」は、ジェーンが40代の時に執筆し、完成させた最後の作品。その中には、家族と移り住んだバース。そしてホリデーに滞在したライムリージスが登場します。この二つの町からジェインは何かしら特別なインスピレーションを得て、作品に反映させたのでしょう。

当時は、結婚して安定した生活を得るか、親や兄弟に一生頼るしか女性の生きる術がありませんでした。ほとんどの女性は、生活のために結婚相手を探していた時代。ジェインが結婚を選ばすに、自分のパッションであった小説の創作活動を続けた背景には、男性に対する彼女の独特の考え方、恋愛観が反映していたのではないか・・とも思えてきます。好きな人と結婚できないのなら、働けばいい。という現代に通じる考え方を、彼女はすでに実行していたことになります。

彼女の完成された最後の作品となった『説得』には、好きだった人との結婚をまわりから説得されてあきらめたけれど、その思いを断ち切れない主人公アン・エリオットが登場します。話のあちこちに、これは実体験?と思えるような、リアルな描写がちりばめてあります。さらに、わくわく感を駆り立てるのは、美しいバースとライム・リージスが物語の舞台となっていること。南イングランド、南西部にあるこの二つの町は、ジェインが実際に滞在したことで知られる魅力的な場所です。

ジェインは、当時にしては珍しかったのか、普通だったのか?馬車でイングランド各地を旅しています。ケント州に住んでいた兄のエドワードや、ロンドンに住む兄ヘンリーの家にも滞在しました。「高慢と偏見」を執筆中には、イングランド中部のベイクウェルのホテルに滞在していたことも有名です。彼女の作品の中に、それらの地が生き生きと散りばめられていることも私がジェインの作品に惹かれる理由のひとつです。


【ライム・リージス / ドーセット州】

丘陵地になっていて、駐車場は丘の上にあります。

ライム・リージスは、ジュラシック・コーストと呼ばれアンモナイトが大量に眠る海岸線で有名なところ。映画の中でも、ライム(・リージス)へ向かい、崖がある海岸線沿いを「散歩するシーン」がでてきます。ジェインが家族と滞在したころには、海が楽しめるリゾート地として人気のあったところです。

この海岸、どのあたりがロケ地なのかな?

と気になるところ。はっきりとした場所はまだわからないのですが、もしかするとライム・リージスではなく近くの町なのかな・・・とも思いました。

左側の奥手に『あの階段』があります!

もう一つの注目点。防波堤を歩くシーンは、まさにライム・リージス。今でも観光客でにぎわうスポットで、小高い防波堤の上を歩くと物語の登場人物になったみたいです。



【バース / サマセット州】

バースは、古代ローマ人が温泉の湧く土地として好んで定住したことから栄えた町です。ジョージ王朝時代になると、都市計画によってローマ風の建造物が建設されて、その美しい街並みはユネスコ世界遺産に登録されています。

ロイヤル・クレッセント

社交界のあるバースに滞在する人たちのために作られた三日月の形をした建物。
現在は博物館になっているロイヤル・クレッセント1番地

アン・エリオットの一家の引っ越し先は、ロイヤル・クレッセント

一番手前、1番地が博物館になっています。

バースの町は、ジョージ王朝時代に拡張されて坂の上まで広がりました。その上部にあたる部分に、社交界にやってくる方々が滞在するための建物としてつくられたのが、ロイヤル・クレッセントです。近くには、ザ・サーカスや舞踏会が開かれたアッセンブリー・ルームもあります。


グラベル・ウォーク(Gravel Walk)

私が、『ああ、ここは!』と、
思ったのが、グラベル・ウォーク(Gravel Walk)でのシーン!

お話の中でもとっても重要なシーンです。

ザ・サーカスの裏手にある静かな通りで、かつてジェインが住んでいた頃には、 Lover's Laneと呼ばれていたところ。隠れ家的な存在で散歩するのに最適です。街中から、ロイヤル・クレッセントが目の前にあるヴィクトリア・パークにつながっています。バースに行ったら、ぜひ訪れてほしいスポットです!ちなみに、グラベルとは砂利道、未舗装の道の事。


バース・ストリート(Bath Street)

もうひとつ、物語の中で登場するのが、Bath Streetです。ジョージ王朝時代の石造りの建物が並ぶ一角にある小さな通り。特徴のあるコロネード(列柱廊)に見覚えのある方もいるのでは?ローマンバスやパンプルームが近くのエリアです。


【ソーズベリー / ウィルトシャー州】
トラファルガー・パーク(旧スタンドリンチ・パーク)

Trafalgar House circa 1880

アン・エリオットの実家 Kellynch-Hallとして登場したのが、バースから東へ電車で30分ぐらい離れたソーズベリー(ウィルトシャー州)にあるトラファルガー・パーク(Trafalgar Park)

このお屋敷は、映画「いつか晴れた日に」(1995年)のロケ地にもなっています。

なぜ名前が、トラファルガーなのでしょうか?

英国史に残る「トラファルガーの海戦」で、ネルソン提督は勝利しながらも船上で亡くなり、未亡人には子供がいませんでした。よって、弟のウィリアム・ネルソンが、ネルソン伯爵になります。それから様々な経緯で、この家をネルソン家が所有することになったのにちなんで、政府によってトラファルガー・パークと改名されました。

【ヨービル / サマセット州】
ブリムトン・ハウス(Brympton House)

Circa 1900: A boating party on the "pond" created by Lady Georgiana Fane in the mid 19th century.
Entrance front c. 1868.

サマセット州のヨービルにあるお屋敷(マナーハウス)で、現在は豪華な結婚式会場となっています。

映画では、アッパークロス(Uppercross )として登場。アン・エリオットの妹が結婚した男性の実家とその敷地。妹は、敷地内にあるアッパークロス・コテージに夫と息子二人で住んでいます。アンの実家から3マイルほど離れたところにあるご近所。

と、物語の中でもポイントとなる場所を取り上げてみました。
いかがだったでしょうか?

イギリスへご旅行に来てロケ地巡りをしたい場合は、
ぜひバース、ライム・リージスを訪れてみてください!


参照 
新井潤美 「ジェイン・オースティンとイギリス文化」

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