マガジンのカバー画像

隠者のひらめき

14
衝動的に思いついた詩のようなものを更新していきたいと考えています。
運営しているクリエイター

#ポエム

〈詩〉終わりの鴉

〈詩〉終わりの鴉

運命を呪う というよりは

はっきり見えていないんだよ

どこかで鴉が 鳴いているんでしょう

育たない というよりは

そうあらざるを得ない それだけさ

なぜ 田んぼに蓮華が咲くのか

きみは 知っているかい

美しい 蓮華の畑に

鴉はそのうち やって来る

脅かしているんじゃないよ

そういうものだから 仕方ないのさ

有無を言わさぬ ブラック

準備はできたかな

鴉がまっすぐ 見えるこ

もっとみる
〈詩〉いちごの季節

〈詩〉いちごの季節

あたしはいちごが食べたいと言ったのに

ママはリンゴを買ってきた

安かったしおんなじバラ科だし いいよね

リンゴおいしいね ってママは笑った

ママの笑顔って ピエロのお化粧みたい

あたしのきもちは 揉消されたタバコみたい

悲しくて怒りたいけど

ママはピエロになっちゃったから

あたしが泣いたって 笑ってるの

いちごといっしょに あたしも捨てられた

でもきっと ずっとずっと昔どこかで

もっとみる
〈詩〉鉛筆

〈詩〉鉛筆

思い通りにいかない癇癪を握って

妹に振り上げたヘレン・ケラーの

その手を引っ張って連れてった

サリバン先生

そこから始まる Water

Water Water Water Water

何度でも その掌に

指で

Water Water のなぞり書き

サリバン先生はヘレンの

トラウマになったのだろうか

仏の笑みは三度まで

ミッキーの微笑は何度まで

仏の知恵を産んだのは この世

もっとみる
〈詩〉シンデレラ・アルケミー

〈詩〉シンデレラ・アルケミー

灰かぶりのシンデレラは

汚れた悲しいがらくたの

美しい姿を知っている

灰を被ったがらくたから

金目のものだけをつまみ上げる人は

汚れた宝に気づかない

宝島へ渡るにはどうしたらいいかと

人々は途方に暮れている

もう少し金目のものを纏わねば

あそこの輝きに負けてしまう と悩んでいる

ミーダス・タッチは

今ある幸運の埃を払う

あなたの手をかけた場所から

錦の波が広がっていく

もっとみる
〈詩〉リビング

〈詩〉リビング

ところ変われば重宝されて

ところ変われば邪険にされて

ときに壁の花となる

孤独のうちに

5分の1ほどいるという

我が同志を想う

幸いだと気が付いたのは

テレビは消せるということ

チャンネルは選べるということ

インターホンを覗いて

堂々と居留守ができるということ

やっと片付いてきた私の場所に

全てを迎え入れることがなくても

傷つく人も 悲しむ人も

いない

今は静かに 遠

もっとみる