記事一覧
【短歌】ある日のほんとう
うまれる前 ラジオが友だちだったころ わたしは風とはなしができた
デパートの屋上メリーゴーランド いつかのほんとう今日の通せんぼ
まっ白にくもっためがねの向こう側 にせものの霧がたちこめている
12時のプールのあとのぬれた髪 青いくちびる もやしのナムル
たったひとつのほんとうなんてないというたったひとつのほんとうがある
ちいさなドラゴンの話
わたしは絵を描くのがすきな子どもで、絵を描きながらお話をつくるのがすきな子どもだった。絵を描くのとお話をつくるのとそれを口に出すのと、すべて同時進行で、喋りながら絵を描いていた。中でも当時お気に入りだったのが、きのこの家に住む女の子の話だ。彼女は、毒きのこ代表みたいな、赤に白の斑点もようのきのこの家で、ちいさなドラゴンと暮らしている。ドラゴンなんだけど、飛んでるシーンを描いたことは1度もなくて、女
もっとみる