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ジーンマッパー(著:藤井大洋)【この読書紹介は200MBもあるコンパイル前のソースコードだ。いったいどこで】

東南アジアで生息している完全デザイン稲の農場に異変発生。
そこでは謎の奇病によって、
遺伝子デザインする前の旧い稲に変異してしまった、
デザイン作物が出現し始めていました。
不気味なバッタの大量発生と共に。

これは遺伝子作物のバグなのか?
事態を重く見た企業は、
開発エンジニアたちに調査を命令。

しかし10年ほど前にインターネットが崩壊したときに、
古い稲の遺伝子標本は亡くなってしまっていたので、
どうにかしてその情報をサルベージするべく、
旧インターネットから情報を掘り起こすエンジニアを探し出します。

そこから現地の農業へ行き、
バグだらけで精神がおかしくなる対BC汚染スーツに身を固めたりしつつ、
バッタや稲の異常な遺伝子サンプルを調査しようとするのですが、
バッタは自然に消滅してしまったり、
検査した器具がことごとく壊れてしまったりと、
作業はうまくいきません。

さらに同僚の隠された過去の情報も提示され・・・

******


この先生が脱サラして最初に書いた小説。
いきなりデビューしてあっという間に大御所になったという、
近未来SFミステリ。

↓ 二作目。

ITやバイオ、
完全デザインされた人工生物や、
拡張現実によって人間の自己認識まで書き換えられる社会が、
描写されています。

適度に複雑な展開があり、
読者の思考を誤らせるレッドへリング(偽の解決方向)も適度に用意されており、
ミステリとして読者を楽しませてくれる分には及第作です。

ただ処女作と言うことで実験的に作られているようにも感じるので、
全力投球という感じではないような雰囲気ですけど、
読んで損した、という作品では明らかにないですね。

キャラ設定は役割に割と忠実に作られており、
主人公は主人公らしく、味方は味方らしく、
悪役は悪役らしく、という人物の深みが感じられない点が、
まあ欠点といえば欠点でしょうが、

ハードSFなどは登場人物に関して、
割と互換可能な一般性能を求める傾向が強いので、
こういうキャラデザの物足りなさは許容範囲なんだと思います。
キャラデザは平凡なんです。

ハードSF枠なんですね。

凝っているのは登場する技術設定。
技術からそれによってもたらされる時代や、未来の社会設定ですけど、
あるいは過去の事件など(インターネット崩壊事件など)
近未来なのでそこまで突拍子もないものではないです。

遠未来だと逆にチンプンカンプンになるので、
これは仕方ないです。

良作だと思います。
伝説に残る作品とまでは言えません。
ただ「あれ読んだことある」と自慢できるような枠なのだと思います。

大作名作ではないけど知る人ぞ知る良作って、ありますよね。

GENE MAPPER -full build-

厳密にはこのタイトルなんだけど、
カタカナに丸めたタイトルにしました。


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