オービタルクラウド(著:藤井大洋)【オービタルな読書紹介、クラウドのマンションです。今なら好評申し込み中】
昨日のプラネテスで、ケスラーシンドロームを紹介しましたが、
今回はそれを人為的に引き起こすテロ・・・
といっても古風な衛星軌道兵器とかではなくて、
超マイクロ衛星群「オービタルクラウド」を使った宇宙テロに対して、
主人公たち西側の宇宙開発者が立ち向かうというSFになっております。
日本のSFなので日本人が主役です。
著者の藤井先生は脱サラしてプロSF小説家になったという、
SF小説書いてる庶民からするとアイドルみたいな人です。
その人の2作目。上下巻。
「スペーステザー」というちっこい虫みたいな衛星を軌道上にばらまきます。
このマイクロテザー(紐です)は、電磁波の風みたいなのを浴びて、軌道上を帆船みたいにふわふわと軌道変更することができます。
テザー推進と言います。
この大群をデブリ攻撃に使おうとするもの。
ただ開発したイランの科学者は、
「俺のメカが勝手に使われている。誰が作ったんだ?」
とか言っていたので、どうやら彼も被害者のよう。
どうも斬新なアイデアで何か考案しても、予算が下りずに諦めていたものらしいのです。
主人公の日本人男性は、本業はJAXA関係ですけど、
趣味でネットブログ書いてるだけ。
他にも趣味でネットブログ書いているプロ同士で、
あれやこれやの対策を考えたりします。
この事件による軌道ホテルのリソースが失われてしまい、
客員の救出タイムリミットが迫ります。
どうにかして救出タイムリミットまでにテザーを排除しなければなりません。
そこでSF的な解決策をあれやこれやで出して、
・・・・というお話。
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なんていうかいわゆるハードSFでして、とても技術よりです。
ですから超文系の人には混乱されるかもしれませんが、
一方で登場人物の思想信条などが語られるシーンもあり、
理系から文系まで横断的にテーマが出てくるので安心してください。
ただやっぱり、技術よりというか、
ひたすら技術の話に終始している印象が強かったです。
最後の、心に爪痕を残すエンディングがスキです。
あたら優れた才能がどこかに消えてしまう。
こういう終わり方は印象に残るんだよね。
向上心を求められそうな終わり方だ。
でも欲を言えば、もうちょっと何か欲しかった。
ハードSFの物足りなさも感じた。
まあでも、ハードSFとしてはこれでいいのかもしれない。
この物足りなさがないとハードSFとは言えない。
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