デリシュ(2021年)【今日は映画感想の一品料理となっております。ボナペティ。あ、あ、お客さま、それは食べ物ではございません!】
フランス映画。
フランス大革命前。
フランスにはいわゆるレストランという文化がまだなかった。
フレンチ料理は貴族のためのもので、
旅館は寝る場所であり、うまい料理を出す場所ではなかった。
そんな時代、実力は誰よりもあるシェフなのに、
ジャガイモタルトを作ったから、
(これの品名がデリシュ、トリュフを入れてるので、甘いお菓子ではない)
「という理由で公爵の不興を買い、路頭に迷った男が主人公だ。
息子と共に実家に戻って(妻はずっと以前に病死したらしい)
ふてくされているところ、
謎の女性が弟子入りしたいと押しかけてくる。
そこは街道が通る村で、料理屋をやるにはうってつけの場所だった。
とはいえ、すぐには決心がつかない。
なんといっても、レストランという言葉がまだ存在しない時代。
それに、腕を惜しむ公爵が、
愛人と立ち寄る機会に料理を供せとの仰せがやってくる。
いちどは期待に応えようとするが、公爵はまたしても・・・
ついに決心して料理屋を作る決意をするが・・・
なーんてな感じで始まる料理の物語。
料理人と謎の女性との関係性進展はもちろん、
革命前夜のご時勢で、庶民を見下す悪役に件の公爵を配置して、
さあ、準備は整った。
しかし。ちょっと待て。
あらすじなどは紹介動画に任せて、
(もはや映画紹介を放棄)
今回は背景を説明してみよう。
まずは、ジャガイモの存在感だ。
ジャガイモは言わずと知れたインカ帝国の主食である。
帝国軍はジャガを食って南米の覇権を取ったわけだけど、
ご存じのようにこいつには毒がある。
なので、ヨーロッパに持ち込まれた当初は、
綺麗な花を観賞する程度で、食用にはまったく考えられていなかった。
むしろ食べたら死ぬ「悪魔の花」と恐れられていたのである。
しかし、光に当てたり、芽を食べたりしなければ問題ないということが分かってからも、いやいや、いちど出来上がった偏見はなかなか解かれなかった。しかし、ジャガは冷涼なヨーロッパではどんなところでも育つ。
飢えた貧民にとってこれ以上の食い物はない。
ドイツではプロイセンのフリードリヒ大王が。
フランスではルイ16世とマリーアントワネットが。
あの手この手で国民食としての普及を図るようになったのだ。
なので、革命前夜は、
ようやくジャガの真価が欧州でも知られるようになった時代なのである。
さて。
本作はドラマとしては問題なく成功作だと思う。瑕疵はない。
目の肥えた人には物足りなさを感じるかもしれないが、合格点だと思う。
かつてあるマンガでインディーズアートの訳の分からなさを観た後は、
普通の作品が輝いて見える、とかいうシーンがあったけど。
いつもいつも時代の革新ばかり求めちゃいけない。
まあ、そういう意味で普通の作品なので、気軽に楽しんでください。
深い哲学とかそういう作品ではなく、ご家庭で楽しめる映画でしたね。
映画紹介のサイトを観ると。あんまり日本語訳に対応していない感じでどこかおかしいのだけど、とりあえずデリシュの作り方が載っているので、腕に覚えのある方は作られてみてはどうだろう? トリュフは何か別のもので代用するとして。
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