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今日の1冊 『深夜特急』

順番が前後してしまいましたw
木曜が本紹介の日で、金曜が教育についてでした。

まあ読んでる皆さんにはどうでも良いことだと思いますので、
今日は昨日投稿するはずだった本紹介、やります。

第2回の今日は、沢木耕太郎の『深夜特急』です。
この作品は旅好きのバイブルのようなものなので、
知っている方も多いかと思います。

沢木耕太郎さんは、著名なノンフィクション作家で、
この『深夜特急』は沢木さん本人が実際に旅をして経験したことを基に書かれた紀行小説です。

つまりは沢木さん自身の旅の様子を描いた作品で、80年代〜90年代の日本における「海外1人旅ブーム」に火をつけるのに一役買ったと言われています。

旅の目的は、インドのデリーから乗り合いバスのみでイギリスのロンドンまで行く、というものです。

行程は日本→香港→マカオ→バンコク→ペナン→シンガポール→カルカッタ→ブッダガヤ→カトマンズ→ベナレス→カブール→テヘラン→アンカラ→イスタンブール→ギリシャ→イタリア→スペイン→ポルトガル→パリ→ロンドンです。

長いですねえ。

『深夜特急」シリーズは、当初産経新聞で連載されており、単行本は全3巻。
新聞での連載分が1、2巻。連載終了後に旅の残りを書き下ろしたのが3巻となっています。

文庫版は全6巻です。

この『深夜特急』が、なぜ「バックパッカーのバイブル」と言われるようになり、旅ブログなどを気軽に読み書きできるようになった現在でもその輝きを放ち続けているのかは、その「フィクションっぽさ」にあると思います。

読んでみると分かると思うのですが、「これ本当に実話なの?」と思ってしまうくらいに次々とトラブルや面白い出来事に巻き込まれていきます。

高校生の時、夢中になって読んでいた僕は、これが本当だろうが嘘だろうがどちらでも構わない、そう思えるほどに魅了されてしまいました。

あらすじをなぞるだけの本紹介はしたくないので、
僕がこの『深夜特急』にどんな影響を受けたのかについて話していきます。

『深夜特急』に描かれているのは、有名な観光地や史跡を訪れる観光案内のような内容ではなく、その人にしかできない旅の模様です。

場所ではなく、人との交わりを楽しむ。
そんな旅の姿勢に、僕は魅了されていきました。

この場所は良かった、絶景だった、この世界遺産は良かった。
そんなことなら誰でも言えるし、描ける。

ですが、『深夜特急』には、
その場所に住む1人1人の人間にフォーカスが当てられ、
時には親切にされ、時には騙されながら、
喜怒哀楽のジェットコースターのような旅が続いていきます。

その旅模様に、文面から鮮やかに浮かび上がるその情景に思いを馳せ、
「絶対にこんな旅を、自分にしかできない旅をいつかするんだ」
と僕は思ったのでした。

それが、大学入学後の歩き旅に繋がっていくわけです。

そして、文庫版の巻末の対談で沢木さんがしていた、
「旅に出るのにふさわしい年齢」という話は、その後の僕の人生にも深い影響を与えました。

沢木さん曰く、旅に出るのにふさわしい年齢は「26歳」だそうです。

残念ながら僕はもう過ぎてしまいましたが、僕は本気でこの26歳という年、つまりは去年に、旅に出る気でいました。

歩いて東京まで→歩いて日本一周→?
次は世界しか無いだろう!と思い、
歩いて世界一周という壮大な旅を計画していたのですが、その計画実行の年は26歳の年でした。

なぜ26歳なのかと言うと、沢木さん曰く「丁度良いから」だそうです。

何が丁度良いのか、説明します。

大学を卒業して、新卒で社会人になるとしたら、22歳。
社会に出て働くことに慣れるにはだいたい3年。
そして1つ目の会社を辞めるかどうかの節目もだいたい3年。

その次のタイミングで旅に出るのが最適、ということだそうです。

そして、27歳以降になってしまうと、社内で責任のある立場になってしまったり、結婚や家庭を築くなど、1人旅には制約となりうるライフイベントが待っている。

大学生の貧乏旅では深みが生まれない。
27を過ぎると制約が多い。

程よく社会の何たるかを知り、
若すぎす、老いすぎていない。

そんな26という年が、丁度良いというわけです。

この、科学的なエビデンスなど無い論を、僕は素直に信じ、
「26歳になったら旅に出るんだ」と高校生の頃からついこの前まで本気で思っていました。

それも色々あって一旦考え直すことになり、結果的に行くことにしていても某ウイルスのせいで無理だったのですが。。。

しかし、僕が今の、情熱を燃えたぎらせている仕事に出会うことになったのも、
旅をしたからでした。

僕の中にある「チャレンジャーマインド」みたいなものも、旅によって培われたものです。

そんな、僕にとって大切な旅というものに出逢わせてくれたのは、
他でもないこの『深夜特急』です。

だから、沢木耕太郎さんと『深夜特急』には、感謝してもしきれません。
もしいつか子どもが生まれたら、絶対に読ませたい本です。


小野トロ

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