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[理系による「ファッション」考察] 経営者としての川久保玲とコムデギャルソン

Comme des Garçonsにおける"川久保玲"は、あくまでコムデギャルソンのデザイナーとして認知されるように感じますが、今回は違う視点で考察します。

まず、"コムデギャルソン"、というブランドに関してです。一見、奇抜な服を作っており、"一体誰がこんな服を着るの?"、という声が聞こえてきそうですが(実際、自分はhomme plusですが、こぞって着てました)、自身の認識では、服の既成概念を着る人に問う・着る人を試す、なんとも挑戦的なブランドです。


例えば、
洋服におけるポケットの存在意義は何か?

とか、
洋服と鎧は何が違うのか?

を問いつつ、
それでも着れるものなら着てみなさい、と試されているようで、洋服マニアからはなんとも着ることにチャレンジしたくなるブランドです。

実際、そのシーズンの立ち上がり(発売初日)は、洋服狂が店舗でホクホク顔で試着する光景が見られます。

よって、川久保玲さんはデザイナーとして評価されることが多いのですが、個人的には、この攻めまくったブランドの会社を50年継続できている経営者としての能力のほうが気になります。つまり、いくらデザイナーとして優れていても、キャッシュを継続して稼がないと会社としては持続できなく、自身の表現を継続できず、それをどうしてきたかです。

自身がコムデギャルソンを着始めたのは(メンズですが)、確か2010年前後からだと思うので、下記は、そこから自身が見てきたこの会社の経営戦略です。

まず、ブランドをいくつかに分けています。今回は3つを紹介します。
comme des garcons homme plus
comme des garcons homme
comme des garcons play

comme des garcons homme plusは、コンセプト的に最も攻めたブランドで、価格帯も上記の3つの中で一番高いです。恐らく、ビジネス的には一番リスクが高いですが、川久保玲さんが一番表現したい服になります。

comme des garcons hommeは、homme plusほど攻めておらず、それほど洋服に興味のない方でも着やすいです。価格帯は一般の服よりは高いですが、ビジネスリスクとしてはhomme plusよりは低いです。洋服狂ではないが、服への感度が比較的高い方向けでしょうか。

comme des garcons playは 、商品のほとんどがTシャツで、"攻める"という概念は上記2つに比べるとがぜん低いですが、ビジネスの利益率としては一番大きいのでは、と推測しています。

仕組みとしては、
comme des garcons hommeで稼ぐ、 comme des garcons playで稼ぎまくる。

稼いだキャッシュをcomme des garcons homme plusに投資。

homme plusはビジネス的にうまくいかないことがあるが、攻める服を作るというブランドを確立・維持できる。

このブランド認知により、comme des garcons homme、comme des garcons playは売れ続けキャッシュを生み、comme des garcons homme plusに再度投資できる。つまり、川久保玲さんの表現したいこと・やりたいことは継続できる。

のループを構成しています。

といったように、自身がデザイナーとして本当にやりたいことが継続できるように、キャッシュを稼ぎ続ける仕組みを自身で確立し、ベンチャーの生存率が20年後で0.3%の中、50年会社を継続させているとても優れた経営者なのです。

デザイナーとして優れた方はおられると思いますが、経営ができる優れたデザイナーは世界的にもかなり少ないのではないでしょうか。

また、JunyaWatanabe/渡辺淳一、sacai/阿部千登勢、kolor/阿部潤一、等々後進のデザイナーも育てた功績も考えると、世界的には希少すぎる優れた経営者と明言できるのです。

な知識をもって下記を読まれると、興味深くコムデギャルソンの世界を知れると思います(ちなみに、わたくしは、SWTICHの回し者ではありません~)。


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