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みんな違ってみんな良い

皆さんこんにちは。

いきなりなんだこれってなる人もいると思うんですけど、これはユクスキュル博士の「生物から見た世界」という本の環世界と環境世界という考え方の図です。



今日はこの環世界と環境世界について話していきます。

なぜかって?

つい先日閉会式があったオリンピックのテーマである多様性の本質が学べると思ったからです。

※それぞれの環境世界に適応してきた目の多様性


まずはこの難しい言葉たちをわかりやすくしていきましょう。笑

環境世界とは、その文字通り客観的(神の視点)
に見て自分の周りを囲む環境です。
ここで重要なのが、この環境世界は誰にとっても同じ世界ということです。
つまり、僕にとっても、あなたにとっても、犬や猫にとっても、海は海ということです。

それに対して、環世界自分の主観を通して感じるそれぞれの環境のことです。
少し難しいかもしれませんが、環境世界と繋がっている僕たちの受容器(シャボン玉の膜をイメージしてもらえるとわかりやすい)を司る器官(肌や目や鼻など)を通じて、環境世界の情報が主体の内的世界、つまり脳もしくは情報処理機関に届き、(知覚世界)それらの情報に対して反応する事で生じる(作用世界)機能環体系環世界といいます。

もう少し具体的に説明します。

もしライオンが目の前に現れたとします。

僕たちの脳はアドレナリンコルチゾールといったホルモンを一気に分泌し、逃げるか戦うかの判断を下します。アドレナリンで闘うか、コルチゾールで逃げるかを判断する一連の流れを知覚世界
といいます。

そして、それらの判断によって分泌されたホルモンによって実行される運動神経や筋肉そして受容器に伝わる作用までの一連の流れを作用世界といいます。

この全体的な流れが環世界です。

主体を通してしか環境世界を見れないということです。


難しいですね笑

要はそれぞれのフィルターを通して世界を見ているよってことです。

さっきの海の例えに戻ると、環世界では私にとってもあなたにとっても、犬や猫、巨人にとっても感じている海はきっと違うでしょう。
もちろんこの記事も。

※上写真 人間から見た世界と犬から見た世界
 下写真 イルカから見た人間

それぞれの主体の環境世界に対する受容器の構造が物理的に異なり、化学的な作用も異なるため、主体に生物学的な差異が生じます。

※色覚スペクトルの差異

さらに時間と空間によって、同じ主体の知覚も作用も変化します。

つまり環世界が変わるということです。

ユクスキュルはこれをトーンの変化と説明しています。

夏休みに見る仲間たちと観る海と、失恋直後に観る海では違うように感じるはずです。
これは海は変わらないが、主体の環世界のトーンが異なるから と言えます。

お腹が空いている時に食べるハンバーガーと満腹の時に食べるハンバーガーでは全然違いますよね。

デートで吉野家に行くのも違いますよね。

これが環世界は時空によっても支配されているということです。

※同じ主体によるトーンの変化


この「生物から見た世界」という本は、主観と客観環世界と環境世界という生物学的概念で捉え直して比較し、僕たち人間を含む生物は客観的世界を、それぞれのフィルターを通して主観という複雑で連続的な相互作用に基づいて観ているだけだと説明し、そこに優劣はないという生物学的多様性を用いた哲学的な問いに帰結しています。

簡単にいえば"みんな違ってみんな良い"

本のタイトルにピッタリなめちゃくちゃイケてる結論に至るのです。
完璧な構成ですよね笑

※メラニズムとアルビノ

僕たちはみんな感じ方も考え方も違うけど、視野を広げて他者を思いやる努力を惜しんではいけないと思います。


社会的分断の進む現代では、特に教養が思いやりの領域を広げてくれると、僕は思っています。

教養はシャボン玉の膜を破ることなく、主体の中に入りこむことができる優しさになり得るはずです。

たしかにこの本は少し難しいかもしれないけど、時間をかければ誰でも読めるし、解釈の自由度も高いので多くの人に読んで欲しいです。
視野の広がりを身をもって感じることができるはずです。

この記事が皆さんにとって、知的好奇心を刺激するような内容であれば嬉しいです。

御精読ありがとうございました。

オマケ

多様性をうまく表現した一言

人には人の乳酸菌 by ビオフェルミン
その人にはその人の地獄がある。 by 宇垣アナ








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